「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ギンザンマシコ飛ぶ 旭岳

2011-08-01 20:14:50 | 表大雪

    ワタスゲ咲く 旭岳一合目の天女ケ原

 

2011年7月30日(土) 旭岳の登山記録

ロープウェイに乗らないで、旭岳五合目の姿見の池を目指そう。

いつもはゴンドラの窓から見下ろす森の中を歩き、花園で静かな時を過ごそうと思った。

アカエゾマツの森を進むと、天女が原に出る。湿原に夏を告げるワタスゲやエゾカンゾウが咲いている。

湿原と湿原を結ぶ荒れた登山路には華奢なアカモノが見ごろを迎えていた。

 

エゾカンゾウ

ミヤマリンドウ

アカモノ

 

湿原を抜けると、山腹を縫うジグザクな登山路を行く。

今は廃止になったが、かつてロープウェイには「天女ケ原」という中間駅があった。

小学生のころ、父親とふたりで「天女ケ原」で降りて、「姿見」まで歩いた記憶がある。

その理由は覚えていない。当時は駅がここまでで、花と山の写真が好きな父が息子を友としたのかもしれない。

・・・森の中の岩道。花も空も覚えていないが、するすると出てきたアオダイショウ。

捕まえようとして、父に止められたことが瞼に焼きついている。

確かに既視感のある道を大人の目の高さで歩く。

木も岩も子どもにとっては、もっと丈があつた・・・

 

四合目に出ると、台地に続く緩やかな傾斜となる。山肌を埋めるウラジロナナカマドの柔らかい緑が心やさしい。

このウラジロナナカマドが赤く染まった錦秋を想像してみるのも楽しい。

登山路の脇にはエゾノツガザクラやアオノツガザクラが鈴なりだ。

マルハナバチがあちこちで吸蜜して、ぶんぶんと空気を震わせているのも夏らしい。

ウラジロナナカマドの柔らかな緑色

 エゾノツガザクラとマルハナバチ 背景はアオノツカザクラ

登山口から二時間で、登山者で賑わう五合目・姿見の池に到着。

池に映っているはずの巨大な山体は重い雲に覆われ、硫黄臭のある噴気と重なっていた。

 

 

姿見の池

標高1650mの周辺は、姿見駅の恩恵で軽装のハイカーや観光客でも賑わっている。

見たかったチングルマは終盤だったが、エゾイソツツジが咲き誇っていた。

クジャクチョウ、ミヤマカラスアゲハ、コヒオドシ、名前のわからないセセリの仲間が吸い寄せられている。

一瞬、雲が流れて青空を背負った頂上の一部が顔を出す。

エゾイソツツジとセセリの仲間

コヒオドシ

山頂の一部が顔を出す

 

帰路、野鳥の撮影スポットに立ち寄る。

いつも十数人が大砲のような長ダマを構えいる場所だが、本日はひとりだけ。

しかも退屈して散歩している。

出ないんだなあと安心していたら、ハイマツの海原から赤い胴体が目に飛び込んできた。

ギンザンマシコだ。

遠くに一羽。夢中になってカシャカシャしたら、近くにもっと赤い一羽が顔を出す。

大サービスと思ったら、「近くの赤」の隣にメスまで顔を出して、三羽ですいすいと飛んで行った。

長ダマの男性は東京から来たとのこと。しかも6月末に続いて二回目の来訪。

「あと4ケ月があるが、今年の運を全部使った」と満面の笑みを浮かべて喜んでいた。

雌雄と今年生まれた若鳥が一緒に行動しているのかしらと話もはずみ、楽しい時間を頂いた。

近くのオス

 

親子?スリーショットわかりますか?  

 

■登山記録

10時15分:ロープウェイ山麓駅横の登山口から入山(1100m)

10時45分:一合目 天女ケ原(1200m)

11時10分:二合目

11時25分:三合目 山腹を登る

11時40分:四合目 ハイマツ帯(1550m)

12時00分:ロープウエィ駅分岐

12時20分:五合目 姿見の池(1665m)

14時30分:ロープウェイで下山(10分 片道1500円)

 大雪山白樺荘 

500円 新しくてきれいでユースの趣あり。しかも、温泉街の最安値も嬉しい。

旭岳青少年野営場 

500円 標高1000mアカエゾマツの森の中。ログハウスのトイレも実にきれい。

今夏から少し変化を求めてテント泊を始めてみた。

夜、霧が晴れた。照明灯に集まって来る蛾を見ていたら、スッー、スッーと空を切る生きものがいる。

おそらくコウモリだと思った。虫を食べているのだろうか。

夜明けとともに野鳥のコーラスで目覚める。ヒガラが蛾を追いかけて空中で捕食するシーンを見た。

遠くでクマゲラが飛ぶときの鳴き声が聞こえる。クルッ、クルッ・・・

散歩して戻ってきたら、その雌雄が鳴き交わしてアカエゾマツの幹にとまったのには、驚いた。

 

逆光のシルエット写真  2羽映っているような気もする