「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

残雪の大雪山を行く 高原温泉~緑岳~白雲小屋~高根ケ原(3)

2009-07-15 20:30:14 | 表大雪
(写真: 高根ケ原は広大な溶岩台地)

白雲小屋から、いよいよ高根ケ原に下る。忠別岳までおよそ10キロに渡る広大な熔岩台地だ。大雪山の広さを物語る。

風衝地と呼ばれる吹きさらしの砂礫地で、積もることなく飛ばされた雪が断崖絶壁の斜面に堆積している。

スレート平を経て、一時間ほどで「高根ケ原分岐」に着く。左側の三笠新道を降りると高原沼だが、ヒグマの密度が濃くて、通行禁止となっている。

雪の斜面を凝視するも、動く黒い点はなく、なんかがっかり。ヒグマも見たい!


(写真: 白雲小屋から2.5キロ、高根ケ原分岐。行く手のピークは忠別岳)



(写真: 高根ケ原と雪壁斜面。ヒグマは見当たらず、裾野は高原沼)


(写真: 高原沼群のうち、最大の空沼。カラヌマだけに秋には干上がっている)


高根ケ原分岐の周辺はお花畑となっていて、大雪山固有種のキバナシオガマやホソバウルップソウの大群落が広がっていた。

初めて見る新鮮な光景が胸をつく。だから、わくわくする山歩きがやめられない。


(写真: 高根ケ原分岐のキバナシオガマ群落)



(写真: 高根ケ原分岐のホソバウルップソウ群落。正面は東大雪の石狩連峰)


30分ほど進むと、コマクサの群落が続く。ちょっとした出会いの期待が高まり、胸躍る。

コマクサはウスバキチョウの幼虫が唯一食べることができる「食草」だ。

やがて黄色のチョウがせわしく飛び交う。蜜を吸い、ハイマツにとまり、砂礫で休み、2羽で交差したりと、忙しい。

この周辺を平ケ岳というらしいが、平坦なのでどこがピークかわからない。標高は1700mほどだ。

ウスバキチョウは氷河期からの生き残りで、大雪山固有のチョウ。小型のアゲハチョウ類で、モンシロチョウほどの体長だ。

6月28日、赤岳のコマクサ平で撮影できなかっただけに、今回はなんとかフレームに収まってくれて、楽しいと喜ぶ。


(写真: コマクサの群落)


(写真: 蜜を吸うウスバキチョウ)



(写真: 砂礫地で休むウスバキチョウ)


コマクサの群落が途切れたところで、来た道を振り返る。

雪渓断崖の向こうに、2時間半ほど前に立った緑岳がそびえていた。

5時40分に入山して、4時間半あまり。忠別岳への未練を残して、ここで戻ることにする。


(写真: 高根ケ原の雪壁と緑岳)

■登山記録
05時40分: 高原温泉から入山
06時20分: 第一花園
06時45分: 雪渓抜けてハイマツ帯に
07時50分: 緑岳の山頂(10分休憩)
08時15分: 板垣新道分岐
08時40分: 白雲小屋(10分休憩)
09時45分: 高根ケ原分岐
10時15分: コマクサ群落(平ケ岳周辺)
14時20分: 登山口に戻る

大雪山高原温荘 700円 
登山口、標高1260mの一軒宿。源泉かけ流しで「日本秘湯の会」会員。青みがかった白濁の湯が気持よい。露天風呂から見える忠別岳の雪壁が美しい。

■緑岳の登山歴
04年09月26日: 高原沼周遊~高原温泉~緑岳
05年08月14日: 高原温泉~緑岳~白雲小屋
09年07月12日: 高原温泉~緑岳~白雲小屋~高根ケ原


(写真: 05年8月14日の第一花園)


(写真: 04年9月26日、高原沼から見た緑岳)



(写真: 06年9月30日、空沼・・・カラヌマから見た高根ケ原)