「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

緑岳~白雲岳 大雪山の光と星と

2012-08-28 21:34:23 | 表大雪

2012年8月25日~26日の登山記録:

層雲峡の高原温泉登山口から緑岳を経て、白雲小屋へ。

テント泊して、星を観る。そして、朝陽を浴びて黄金色に輝く山々を目に刻む・・・というのが、今回のテーマ。

濃い青空、いまだに雲はもくもくと、夏だ。

花を散らしたチングルマの風車がそよぎ、季節は移ろう。

うきうきと快調に登るが、緑岳の山頂に着くと、厚い雲が主峰の旭岳を覆っていた。

雲が切れている白雲岳に向かう。稜線には、早くも色づくウラシマツツジ。

無数のトンボがとんでいく。なぜかダイセツタカネフキバッタが目につく。

標高2000mの世界。

チングルマの風車

緑岳山頂から望む白雲岳 左手の旭岳は雲の中

紅葉のウラシマツツジ・・・トンボ三匹が映ってた・・・

ダイセツタカネフキバッタ

 

ウラシマツツジ

リシリリンドウ

 

谷に残る万年雪を渡ると、白雲小屋キャンプ指定地。夏と秋の端境期とあって、さほど人は多くない。

晩夏に咲くタカネトウウチソウやミヤマサワアザミが静かに迎えてくれた。

テントを張り終えて、40分ほど歩るくと夕暮れの白雲岳山頂に立つ。

湧き立ち、流れていく雲のなかに、たったひとり。愉しいのか、寂しいのか・・・

残雪と白雲岳

 

白雲小屋キャンプ指定地

タカネトウウチソウとミヤマサワアザミ

白雲岳の山頂

 

暮れなずむ白雲小屋とキャンプ場

 

闇が湧いてくると、雨が降り出した。

うとうとしていたら、テントを打つ雨音がいつのまにか鎮まり、しかも明るい。

午後9時前のこと。外を覗くと、半月がテントを照らし、大地に影がのびていた。白雲岳の輪郭もはっきり。

ナキウサギがピッと金属質の声をたてた。

月夜がこんなに明るいとは知らなかった。明るすぎて頭上の星があまり見えない。

23時ごろ、半月が雲に隠れながら視界から消えていくと、漆黒の空は満天の星。明日の快晴を確信し、わくわくする。

23時15分すぎに、テントの中で大地が揺れた。標高2000mで感じる地震。ラジオは帯広、釧路の震度5弱を伝えていた。

午前4時ころ、テントのまわりは霧に包まれていた。重たい気分に沈んでいると、東の空に赤い光が差す。

午前4半になって、あわてて東斜面の登山路を上って、小泉岳方向を目指す。

大雪山の夜明けが始まっていた。

小泉岳方向の朝焼け

白雲岳分岐から見た凌雲岳、桂月岳、黒岳、烏帽子岳・・・

朝陽を浴びて輝く白雲岳

 僕の長い影

斜光の朝

白雲小屋の頭上に、午前5時25分の飛行機雲 

 

ダイセツトリカブト

光の競演は一時間ほど。ふたたび山々は深い霧に包まれていく。

質素な食事をしてから、雨に濡れたテントをたたむ。

クマよけの鈴をちゃりんと鳴らして、視程の効かない登山路を黙々と下った。

 

霧に包まれた白雲岳避難小屋

 

■登山記録

09時15分:高原温泉から入山  09時45分:見晴らし台

10時00分:第一花園        10時15分:第二花園

12時15分:緑岳 山頂       12時45分:緑岳山頂を出発

13時45分:白雲岳避難小屋    16時10分:避難小屋を出発   16時30分:白雲岳分岐  16時50分:白雲岳 山頂

17時05分:白雲岳 山頂発    18時00分:テント場に戻る

04時30分:テント場出発      05時10分:小泉岳 山頂付近→テント場に戻る

06時25分:テント場出発      09時10分:高原温泉登山口に戻る

  大雪山高原温泉 700円  

午前9時半に訪れると、日帰り入浴は午前10時半から。「どうぞ、大広間でお待ち下さい」という親切な言葉。

青白色の源泉が心地良かった。キノコカレーやコーヒーを愉しむ。

■これまでの登山記録 

 

03年09月15日:銀泉台~赤岳~「白雲岳」
04年09月26日: 高原沼周遊~高原温泉~「緑岳」
05年08月14日: 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」

05年09月24日:黒岳~北海岳~「白雲岳」~小泉岳~赤岳~銀泉台

07年09月17日:銀泉台~赤岳~小泉岳~「白雲岳」~北海岳~黒岳記録(プロローグ)  記録① 記録② 記録③

09年07月12日: 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」~高根ケ原   

12年08月25~26日 高原温泉~「緑岳」~「白雲小屋」~「白雲岳」



          



羅臼平から知床連山の三ッ峰へ

2012-08-17 22:34:35 | 道東の山々

                      登山前日の知床連山 右から羅臼岳、三ッ峰、サシルイ岳・・・

■2012年8月15日の登山記録:

知床連山の最高峰・羅臼岳(1660m)の山頂は踏まずに、その雄姿を隣の三ッ峰(1509m)から望む。

できれば三ッ峰のさらに隣のサシルイ岳(1564m)まで行ってピストン下山・・・というのが今回の目標だった。

前日、ウトロの標高60mのオロンコ岩に登って、知床連山の夕景を望む。

マジックアワー。それは、登山意欲をかき立てる神々しさだった。

知床連山を照らした夕日かせオホーツク海に沈んでいく

 

クマの出没が相次いでいるという登山路を黙々と進むと、三時間で羅臼平に。

キャンプ指定地なので、カラフルなテントが目に鮮やかだ。

ここから右に折れると羅臼岳。左に折れると三ッ峰だ。

タカネトウウチソウやオトギリソウの美しさに見とれながら登る。

コケモモが赤く結実し、ウラシマツツジが、うっすらと色づき始めていた。

オホーツク海から吹きつける冷たい風が早くも秋の気配を運んできたのだろう。

三十分で三ッ峰の山頂に。

羅臼岳を正面に見据えて左手にクナシリ島、右手にウトロの街を望む。

羅臼岳山頂には人の列が続く。しかし、こちらはたった一人、孤高の山頂。

知床半島を突き抜ける風の野趣に、ちょっと身震いした。

羅臼平から望む三ッ峰(実際の山頂は映っていない右側の奥に)

三ッ峰の斜面から望む羅臼岳 タカネトウウチソウが風に揺れる

コケモモ

三ツ峰の山頂(左の岩峰)

ウラシマツツジが早くも色づき始めていた

三ッ峰山頂から望む羅臼岳 右手は斜里町ウトロ

 

三ッ峰から下りて縦走路に戻り、サシルイ岳方向に進む。

見えた道筋は、いったん下りて、長いコルを歩いて、さらに上る。片道1時間半という感じ。

往復三時間は少々荷が重く、ここを本日の折り返し地点とした。

縦走路から見たサシルイ岳

 

朝4時半から登ったので、下山は昼過ぎ。 岩尾別温泉・駐車場下に作られた無料露天風呂で汗を流す。

たっぷりと時間があるので、山から見えた知床五湖へ。

クマ出没で遊歩道は全面閉鎖。クマを避けるための高架木道だけが通行可能で「一湖」まで歩く。

三十年数年ぶり二度目の知床五湖に、歳月の早さを噛みしめた。

一湖から望む知床連山

一湖で採餌するエゾシカ

羅臼岳の大沢から見下ろした知床五湖

 

■登山記録:

04時30分:岩尾別 木下小屋から入山     

05時00分:「ここから熊の採食場」表示看板

05時05分:オホーツク展望台           

05時30分:「650岩峰」(ここまで熊の採食場)

05時45分:弥三吉水                

06時00分:極楽平

06時30分:仙人坂                 

06時45分:銀冷水

07時00分:大沢入口                       

07時40分:羅臼平  

07時50分:羅臼平 出発                    

08時15分:三ツ峰の山頂

09時00分:羅臼平に戻る                    

09時30分:下山開始

12時00分:登山口に戻る

 

  「岩尾別温泉の無料露天風呂」 (脱衣所なし、混浴)   公共日帰り温泉「夕陽台の湯」500円   「夕陽のあたる家」 500円

 キャンプ地 「国設知床野営場」 1日400円×2日  

 

過去の登山記録

2010年8月10日 羅臼岳

 

 


むしむし・・・春香山

2012-08-12 20:02:01 | 札幌・小樽周辺の山々

                                   「山見の丘」から望む春香山

 

小樽市銭箱に近い春香山に登る。

連日のオリンピック・テレビ観戦疲れで、入山は午前11時半と大幅に出遅れる。

下山する人たちと、次々とすれ違う。

森を少々歩くと、カラマツの施業が活発な林道に出る。

直射日光がつらい。

ひたすら登るが、森への取り付け口がわからない。

すると、谷側から、登山者の鈴の音。見下ろすと、林道直下に緑陰の登山路が伸びていた。

直射から逃れたものの、むしむしとした森の中。

噴き出す汗。

ジャコウソウの紅とエゾアジサイの青に一瞬の涼を得た。

カラマツの施業

ジャコウソウ

エゾアジサイ

 

木材の集積所跡の「土場」を経て、銭函峠、そして山見の丘へと、黙々と登る。

むしむし・・・が耐えられない。

東海大学の銀嶺荘を見届けて、下山しようかなと心中で葛藤が始まる。

東海大学・銀嶺荘

 風格あふれる山荘を見たら、少し元気が出る。

山頂まで30分という標識にも背中を押された。

石狩湾を望む山頂。わずかそよぐ風が、汗を優しくさらってくれた。

 

山頂から望む石狩湾

 

07年4月21日撮影 山頂から望む銀嶺荘と石狩湾

 

■登山記録

11時30分:桂岡コースから入山

11時45分:林道に出る

12時10分:鈴の音に助けられて登山路に入る

12時40分:土場

13時00分:銭函峠(定山渓方面との分岐)

13時10分:山見の丘

13時15分:東海大学・銀嶺荘

13時45分:山頂(907m)   上り時間 2時間45分

14時00分:下山開始

15時50分:登山口に戻る   下り時間1時間50分

■過去の登山歴

 07年04月21日

 04年11月21日


暮れなずむ藻岩山

2012-08-11 21:49:37 | 藻岩山

どんよりとした曇り空に、青色がにじみ始めた。夕方に藻岩山に登る。

西に傾いた陽が緑陰を照らす。

エゾアジサイは、残り花が少々。すでに山は晩夏。

エゾアジサイ

エゾヤマハギ

31番目の観音地蔵にベニヒカゲがとまっていた。

斜光のハイライトを浴びて、この空間が神々しい。

観音地蔵とベニヒカゲ

 

藻岩山の山頂から

夕焼け

 

山頂は夏休みの行楽客で賑わっていた。

夕景を背に、闇が迫る森を下る。