「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ヒグマと接近 天塩岳の山行き③

2007-08-30 21:26:36 | 道北の山々
8月26日の登山記録③:
[7時25分:入山  8時:前天塩岳ルート分岐  8時40分:ヒグマと遭遇
9時20分:ハイマツ帯  9時40分:前天塩岳山頂 10時40分:天塩岳山頂]

天塩岳山頂から西天塩岳と円山を展望しながら、新道コースを下る。ウラシマツツジの赤い絨毯の中に、見慣れない赤い実が鈴なりに。初めて見るエゾゴゼンタチバナ。よく見かけるゴゼンタチバナとは、葉のつき方が違った。(写真:エゾゴゼンタチバナ)

11時20分、西天塩岳近くの避難小屋に。この100メートル手前の登山路にクマの糞。あまり新しくはなさそう。登山者が珍しがって、ストックでつついた跡がある。この山塊は、クマの気配が強いことを再び実感。

               ヒグマの糞です

避難小屋では、数人の登山者とクマ談義に花が咲く。独りで歩きたくない心境なので、クマと遭遇したときに、ご一緒させてもらった男性2人の後をついて下りる。振り返ると、前天塩岳と天塩岳が並んでいた。

              前天塩岳(左)と天塩岳

13時20分、登山口に戻る。十勝岳で味わったような膝の痛みはなく、比較的登りやすい山であったことがわかる。
クマとの出会いも、向こうから逃げてくれたので、なんとも幸運な山行きだったと感謝。
無事、下山してみれば全ては楽しい思い出と化す。

温泉は、帰路の水田地帯にある一軒宿の協和温泉。素朴な温泉につかったあとに食べたきのこラーメンがおいしかった。



ヒグマと接近 天塩岳の山行き②

2007-08-28 21:12:26 | 道北の山々
8月26日の登山記録②:

[7時25分:入山  8時:前天塩岳ルート分岐  8時40分:ヒグマと遭遇]

ヒグマと遭遇してから、先行の2人と一緒にひたすら上を目指す。
9時20分に樹林帯を抜けて、ハイマツ帯に。やがてガレ場に達する。ここからは雲の中で、視界不良。おまけに強風で、よろよろ歩きを強いられる。赤く色づいたコケモモの実とウラシマツツジの紅葉に心癒される。稜線では秋が始まっていた。
                              (写真:コケモモ)

9時40分、前天塩岳の山頂に。全く何も見えずにがっかり。強風で滞在時間ゼロで天塩岳とのコルに下る。雲の流れが早く、振り返ると、前天塩岳が構えていた。

            前天塩岳の山頂(1540m)


          振り返ると雲が晴れて、前天塩岳(左)


10時40分、天塩岳の山頂。すさまじい強風だが、一瞬の晴れ間を期待して10分ほど我慢する。願いが通じたのか、行く手の西天塩岳と円山をまわる新道コースが姿を見せた。前天塩岳、天塩岳、西天塩岳、円山。ここは、ゆったりと構えるたおやかな山塊だった。残念ながら期待していた遠望は効かず、対面の大雪山は雲に隠れたままだった。


           天塩岳山頂(1557.6m)


        下山の新道コース 西天塩岳(左)と円山

ヒグマと接近 天塩岳の山行き①

2007-08-27 22:03:00 | 道北の山々
8月26日の登山記録①:
午前7時25分に天塩岳ヒュッテ前の登山口から入山。8時に旧道と前天塩岳ルートの分岐に。ここを左に折れて、前天塩岳を目指してジグザクの道を登っていく。    

斜め左手背後で「ガサッ、ガサッ」と、笹を激しく揺らす異様で大きな音。先行の登山者が斜面から落ちたかと振り向くと、黒茶の固まりが笹薮を駆け下りてきた。
「カラスだっ」と信じたかったが、一瞬、歯が見えた。 

 ク  マ  だ !

「うわっ」と思った瞬間、クマは僕を避けるように進路を変え、お尻を見せて笹薮を駆け下りていった。
「ウ ッ ー ー ー ー ー」という恐ろしい唸り声を発しながら・・・
距離は、わずか15メートルほど。声も聞こえるはずだ。8時40分ごろの事だった。

「逃げて行ってくれた」と思った。
少しでも離れたかったので、呼吸を整えてから、ジグザクを上に進む。死角になって見えないけれど、先行者が近いはず。1分ほどで、呆然と立ち尽くす男性2人と出会う。鏡があれば、僕の顔も見たかった。

「戻りましょうか」と言われたが、「クマから離れるのなら登りましょう」と一緒にひたすら歩く。僕はホイッスルを吹く。1人だったら、ここから新たな恐怖心と戦うことになっただろう。

彼らによると、ガサッという音が2箇所から聞こえたので、2頭いたのではないかという。となれば、僕が見たのはあまり大きくなかったので、1歳半程度の幼獣か。母クマが居たすれば、ぞっとする。先行者2人の気配を感じて、下に逃げたら、僕が歩いていたことになる。クマ避けの鈴を2個つけていたのが、良かったのか。
2人は、下にいた僕が危ないのではと心配だったという。

  (写真:旧道と前天塩岳ルートの分岐 ここから40分登ってクマと遭遇)




天塩岳は秋の気配

2007-08-26 21:54:27 | 道北の山々
道北の天塩岳に登る。頂上に近い稜線の高山植物が早くも赤く染まり始めていた。ウラシマツツジ、コケモモ、エゾゴゼンタチバナなど。草紅葉、燃える。
                       (写真:ウラシマツツジの紅葉)

途中、初めてヒグマと遭遇してしまった。その距離、おそらく15メートルほど。
「ウッー」という唸り声が、今も耳に残る。

十勝岳から美瑛岳へ 19日の山行き記録

2007-08-22 22:18:28 | 十勝連峰
 【登山口の望岳台】

19日の登山記録:
午前7時20分に望岳台から入山。美瑛岳、十勝岳、富良野岳など十勝連峰が、その名の通り一望できる。なだらかな泥流跡を、淡々と進む。

8時に美瑛岳と十勝岳の分岐に。標高1260m。撤去された避難小屋跡を過ぎると尾根にとりつき、急峻な砂礫の崖を登ってゆく。荒々しい大地に咲くメアカンキンバイとエゾノオヤマノリンドウが目を癒してくれる。
   

9時15分、斜面を登りきると、平坦な火山灰の台地に出る。標高1720m。左右は大きな旧火口となっている。右奥に目指す十勝岳、左手に美瑛岳が構えていて、圧倒的な迫力で迫ってくる。息を呑む光景だ。しばらく平坦な道を進む。空ではアマツバメの大群が風を切り、無数のトンボが舞っている。トンボは暑い時期は山の上にいて、涼しくなると平地に降りていくという。

         【平坦な台地に・・・十勝岳は見上げる高さ】

10時20分、十勝岳山頂(標高2077m)。ぐるり360度、富良野岳、下ホロカメットク山、美瑛岳などの大展望が広がる。トムラウシ山、東大雪も一望。


          【十勝岳山頂 手前は美瑛岳 その奥にトムラウシ山】

              【上ホロカメットク山  富良野岳】

              【下ホロカメットク山 境山】
時間がたっぷりあるので、目の前に構える美瑛岳に縦走することにする。10時35分に十勝岳山頂を出発。砂礫の道を進むが、道はけして明瞭でなく、踏み跡は幾筋も。ガスっている時は迷いそう。

頂上手前の10分ほど前から雲のベールが張り出す。
12時25分、山頂(2052.3m)到達時は何も見えず。山の天気は変わりやすい。もう少し早く視界が悪化していたら迷っていたかもしれない。


寒いので12時35分に下山開始。山頂付近は爆裂の歴史を物語る光景だが、下りに連れて緑豊かな山容に変わっていく。砂礫に覆われた十勝岳との個性の違いも楽しい。
15時35分に望岳台の登山口に戻る。両膝が痛んで少々、辛かった。膝を痛めずに下山する術を知りたい。

ロッジ風の町営温泉「白銀荘」で入浴。600円。熱いお湯で癒されて札幌へ。



十勝岳~美瑛岳を縦走

2007-08-19 23:01:37 | 十勝連峰
【十勝岳】

白金温泉の望岳台から十勝岳に登る。荒々しい活火山に大地の鼓動を感じる。3時間で
頂上に着いたので、隣の美瑛岳に足を伸ばしてみた。十勝岳は砂礫の山だが、こちらは緑が息づく。今日は8時間歩いて、個性の異なるふたつの山を堪能。


【美瑛岳】

空が近い羊蹄山 

2007-08-18 21:21:15 | 羊蹄・ニセコ周辺の山々
             【父釜を囲む外輪山】
8月12日の記録:6時50分に倶知安の比羅夫コースから入山。針葉樹と広葉樹が混交する森を行く。8時40分に5合目に。6合目が近づくとハイマツが現われ、森を抜ける。ここからは低木とハイマツの長いトンネルが続く。

10時40分、ガレ場に達する。ニセコの山々の大展望がすばらしい。イワギキョウ、ハイオトギリ、チシマフウロなどのお花畑を登っていくと、青空がぐっと近づき、外輪山に出る。11時10分。道南の駒ケ岳も望めて、羊蹄山の見晴らしのよさを実感。

             【雲の向こうに駒ケ岳】

風が強く、何度も帽子を飛ばされそうになりながら、外輪山を歩く。オノエリンドウが今年も咲いていた。富士山の固有種なので、人為的に植えられたというのが定説らしい。
ユウバリリンドウに似た可憐な花だ。茨城県から来たという老夫婦に花の名を聞かれ、「富士山の花です」と補足したら、喜こばれて少々複雑な思いに。

            【富士山の花 オノエリンドウ】

11時50分、切り立った岩場の頂上に。外輪山のクレーター・父釜を見下ろすと、足が震える高度感。沸き立つ雲も力強い。

            【標高1898m】



12時10分、下山開始。16時5分下山。

温泉は比羅夫スキー場の「ゆころ」、600円。約20年ぶりの比羅夫。英語があふれて、オーストラリア人向けのマチに変身していた。ペンション風の小さな日帰り温泉で、源泉かけ流しが嬉しかった。帰路、中山峠から見た羊蹄山とニセコアンヌプリが
日没のシルエットとなって、わが身を送ってくれた。
  

過去の登山歴 
04年7月31日 真狩コース
05年10月9日 真狩コース
06年8月26日 京極コース





羊蹄山に登る

2007-08-12 22:17:44 | 羊蹄・ニセコ周辺の山々
         
エゾ梅雨も明けたか?きょうは晴れの予報。朝4時30分に自宅を出て、比羅夫コースから羊蹄山(1898m)に登る。久しぶりに山登りらしい山登り。頂上まで5時間かかった。
脚力落ちたみたいで、下山中に4回も転んでしまった。ケガなく午後8時に帰宅。疲れたが、この心地よさは久しぶり。

真夏のエゾアジサイ

2007-08-05 21:32:29 | 藻岩山
やっと週末に山に行けると思ったら、台風5号が襲来。温帯低気圧にかわった今日も、天候は全道的にぱっとせず、遠出はあきらめる。午後になって、藻岩山の雲がとれたので、
久しぶりに登ってきた。5月27日以来だ。木の葉も、下草も繁って、まるで緑のトンネルを歩いているようだった。草の匂いに、「ジィー、ジィー」と鳴く蝉の声。子供の頃を思い出させる、夏の空気だ。
雨に濡れたエゾアジサイが目に優しかった。