「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

冠雪の大雪山・旭岳

2011-09-25 22:59:11 | 表大雪

 冠雪した旭岳(五合目の旭平から)

 

2011年9月25日 旭岳~間宮岳~裾合平の登山記録:

大雪山の最高峰・旭岳が22日に初冠雪を迎えた。

19日に周辺を歩いたばかりだが、日本で一番早い雪見の誘惑に吸い寄せられる。

午前六時、始発のロープウェイに乗り込んで森林限界の五合目へ。

白い霜に縁取られたチングルマの紅葉が、ぴりっと引き締まった静謐な朝を告げる。

風弱く、磨かれた姿見の池が逆さの噴煙と冠雪を映し出す。

山頂にかかる雲の傘が少々気になるが、澄んだ青空の大きさに心が躍った。

凍てつく草紅葉

姿見の池

六合目付近

 

高度をかせぐにつれて、登山路右手に見える十勝連峰やトムラウシ山、忠別岳の展望が迫力を増す。

40キロほど離れている旭川の街なみは雲海に隠れていた。

八合目を過ぎると、日陰の積雪が次第に固くなる。

足ににチカラを集めて、慎重に進む。

 

忠別岳

 徐々に登山路が雪に包まれていく

日陰は圧雪状態

 

九合目を過ぎると、雲が前後左右から押し寄せてきた。

たどり着いた山頂も雲の中。山頂標識に「エビのしっぽ」(樹氷)がついていた。

風が弱いせいか、寒さはあまり感じない。熱いコーヒーを飲みながら、雲が切れるのを待つ。

三十分して、一瞬の雲間に来し方が姿を現すと、頂きに登山者の歓声が上がった。

しかし、雲の勢いは強く、すぐにミルク色のベールに包まれる。

さらに二十分待つも、成果なく。お鉢平を目指して裏旭のコルに降りる。

山頂標識

一瞬、雲が切れる

裏旭のコルに降りて、お鉢平に登る

 

お鉢に上って間宮岳の分岐に達すると、すさまじい風と共に雲が散った。

日を浴びた山並みが青空を刻む。

爆裂火口のクレーターを覗くと、積雪の一筋、一筋が川の流れのようだ。

クレーターを囲む稜線を中岳分岐から左に折れると、やがて硫黄臭漂う中岳温泉に。

20分ほど天然の足湯を愉しみ、疲れを癒す。

リフレッシュして、チングルマが紅葉する裾合平へと向かう。

 お鉢平の間宮岳分岐を左に進む

クレーターも雪景色

 

中岳分岐から中岳、北鎮岳方向を望む。ここを左に下る

中岳分岐を下って見返すと北海岳

中岳温泉

裾合平から望む北鎮岳と中岳

 

裾合平から望む山体の紅葉は芳しくない。

ウラジロナナカマドは立ち枯れたまま、台風で葉を散らしていた。

チングルマの草紅葉も遅れているのか、あるいはくすんでいるような気がする。

それでも年に一度、この時期の大雪山の紅葉である。

秋と冬の際を歩く、充足感に満たされた。

熊ケ岳

 

■登山記録(09年9月12日と同じ行程)

06時15分:姿見駅(五合目)から入山

07時10分:七合目

07時45分:九合目

08時00分:旭岳山頂(2290m) 50分間滞在

08時50分:裏旭のコルへ向けて下り開始

09時05分:裏旭コル

09時30分:お鉢平 間宮岳分岐

09時55分:お鉢平 中岳分岐

10時30分:中岳温泉 25分滞在

11時35分:裾合平分岐

12時40分:姿見駅

大雪山白樺荘 前泊したところ、下山後の入浴は無料

旭岳の登山歴

  •  03年09月07日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  04年08月28日 姿見駅~旭岳山頂~姿見駅
  •  04年09月04日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~黒岳~黒岳ロープウェイ駅
  •  04年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  05年08月06日 姿見駅~旭岳山頂~北海岳~北鎮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅
  •  08年10月05日 姿見駅~旭岳六合目から引き返す
     09年09月12日 姿見駅~旭岳山頂~間宮岳~中岳分岐~裾合平~姿見駅     
  •  11年08月01日 旭岳山麓~姿見池
  •  11年09月19日 旭岳五合目周辺 

 



 

 

 


紅葉遅い旭岳 冬に備えるホシガラス

2011-09-19 23:27:48 | 表大雪

 稲田と旭岳の山並み(帰路に撮影)

 

2011年9月19日 旭岳・姿見の池 周辺 登山記録:

 

三連休の最終日。ようやく、雨が上がったので大雪山の旭岳へ。

正午過ぎの遅いスタート。ロープウェイの姿見駅を降りて、片道一時間のトレッキングと決めた。

紅葉が遅い。例年より一週間ほどの遅れか。

赤く染まるはずのウラジロナナカマドの葉も黄色く、立ち枯れ状態だ。

チングルマの赤い絨毯も始まったばかり。

とはいっても、気温六度。薄着の行楽客は鼻を赤くし、肩をすぼめていた。

寒さに鎮まる沼は鏡のよう。

水鏡に映った防寒具のカラフルな色彩が、確かに進む季節の歩みを伝えていた。

 

 

ウラジロナナカマド

チングルマの紅葉とエゾオヤマノリンドウ

 

旭岳と鏡沼

鏡沼に映る登山者

 

浅い紅葉の登山路に、ハイマツの松ぼっくりが大量に散らばっていた。

ホシガラスの食跡だと思う。

周囲を見渡すと・・・

ガレ場とハイマツ帯を数羽のホシガラスが、ひっきりなしに往復している。

松ボックリをガレ場に運んでは、突く。

そして埋める。

近づく冬を前にした貯食の習性。こうして種が散り、ハイマツの海原が拡がっていく。

 

 

当麻岳の浅い紅葉

ズームインすると、秋色に

 

食い散らかされた「松ぼっくり」

ハイマツの実

 

ハイマツの実を運ぶホシガラス

貯食するホシガラス

 

■登山記録

12時45分:姿見駅から入山  裾合平方向へ

14時00分:姿見駅から2キロと少々の地点でUターン

15時30分:姿見駅

 


ゴンドラを利用して富良野西岳へ

2011-09-10 23:36:27 | 夕張山系

中央左の鋭鋒が富良野西岳 (帰路に撮影)

 

2011年9月10日 富良野西岳の登山記録 :

天気も芳しくなく、高山の紅葉ピークにも少しだけ早い。スキー場のロープウェイを利用すれば手軽に登れる富良野西岳へ。

国道237号から仰ぐ、凛々しく力に満ちた立ち姿がいつも気になっていた。

登山口のホテル敷地は人気の観光スポット。天候が回復するまで森の中のドラマ・ロケ地を散策する。

昼になって待望の日が差し、100人乗りのゴンドラに乗り込んだ。

標高890mのロープウェイ山頂駅から10分ほど急登すると、稜線に出る。

雨に濡れた笹や下草が足に触れ、ズボンを濡らす。たまらず、雨具を身につけた。

稜線から望む富良野西岳は国道から仰いだ鋭鋒ではなく、おだやかな曲線を描いている。

どんよりとした雲の合間からわずかに青空が覗いた。山頂に着くころの展望に期待をつなぐ。

 

 富良野西岳を見ながら稜線歩き

 

振り返ると富良野の街並み

 

山頂は白色の岩塊

 

稜線に出てから一時間半ほどで狭い山頂に。ウラシマツツジが、うっすらと色づいていた。

少々日は差しているものの、田園の向こうの十勝連峰は未だに重い雲が覆っている。

眼前に鋭く立つ芦別岳の山頂も、雲流に隠されていた。

風が強い。まもなく雲は散るのであろうが、ロープウェイの最終便が気になる。

黄金色に染まった富良野の稲田に、豊穣の匂いを感じて下山する。

狭い山頂

田園地帯の向こうの十勝連峰は雲の中

 

 

雲流に頭を隠す芦別岳(左)

 

この山は国道237号から、すくっと目立つ鋭鋒。登山中の稜線から望む姿は円山だ。

下山後、スキー場に向かう道路を振り返っても、意外となだらか。右隣りの「北の峰」が尖っている。

山は見つめる位置により、その姿を変える。

スキー場に向かう道路から見た富良野西岳(左)   中央が「北の峰」

  

 

国道237号から見た富良野西岳  (左は芦別岳)

 

登山記録

12時10分:ロープウェイ山頂駅(標高890m)から入山

12時20分:稜線に出る

12時40分:最終リフト(標高1209m)

13時50分:山頂(標高1331.1m) 上り1時間40分

14時05分:下山開始

15時15分:ロープウェイ駅到着(下り1時間10分)

 

万華の湯 980円  

国道237号沿い。露天風呂から仰ぐ斜光の十勝連峰が美しい

帰路、雲が散った十勝連峰

 

あと二日で、中秋の名月(上富良野町にて)