「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ゴンドラを利用して富良野西岳へ

2011-09-10 23:36:27 | 夕張山系

中央左の鋭鋒が富良野西岳 (帰路に撮影)

 

2011年9月10日 富良野西岳の登山記録 :

天気も芳しくなく、高山の紅葉ピークにも少しだけ早い。スキー場のロープウェイを利用すれば手軽に登れる富良野西岳へ。

国道237号から仰ぐ、凛々しく力に満ちた立ち姿がいつも気になっていた。

登山口のホテル敷地は人気の観光スポット。天候が回復するまで森の中のドラマ・ロケ地を散策する。

昼になって待望の日が差し、100人乗りのゴンドラに乗り込んだ。

標高890mのロープウェイ山頂駅から10分ほど急登すると、稜線に出る。

雨に濡れた笹や下草が足に触れ、ズボンを濡らす。たまらず、雨具を身につけた。

稜線から望む富良野西岳は国道から仰いだ鋭鋒ではなく、おだやかな曲線を描いている。

どんよりとした雲の合間からわずかに青空が覗いた。山頂に着くころの展望に期待をつなぐ。

 

 富良野西岳を見ながら稜線歩き

 

振り返ると富良野の街並み

 

山頂は白色の岩塊

 

稜線に出てから一時間半ほどで狭い山頂に。ウラシマツツジが、うっすらと色づいていた。

少々日は差しているものの、田園の向こうの十勝連峰は未だに重い雲が覆っている。

眼前に鋭く立つ芦別岳の山頂も、雲流に隠されていた。

風が強い。まもなく雲は散るのであろうが、ロープウェイの最終便が気になる。

黄金色に染まった富良野の稲田に、豊穣の匂いを感じて下山する。

狭い山頂

田園地帯の向こうの十勝連峰は雲の中

 

 

雲流に頭を隠す芦別岳(左)

 

この山は国道237号から、すくっと目立つ鋭鋒。登山中の稜線から望む姿は円山だ。

下山後、スキー場に向かう道路を振り返っても、意外となだらか。右隣りの「北の峰」が尖っている。

山は見つめる位置により、その姿を変える。

スキー場に向かう道路から見た富良野西岳(左)   中央が「北の峰」

  

 

国道237号から見た富良野西岳  (左は芦別岳)

 

登山記録

12時10分:ロープウェイ山頂駅(標高890m)から入山

12時20分:稜線に出る

12時40分:最終リフト(標高1209m)

13時50分:山頂(標高1331.1m) 上り1時間40分

14時05分:下山開始

15時15分:ロープウェイ駅到着(下り1時間10分)

 

万華の湯 980円  

国道237号沿い。露天風呂から仰ぐ斜光の十勝連峰が美しい

帰路、雲が散った十勝連峰

 

あと二日で、中秋の名月(上富良野町にて)

 


ゼフィルスが舞う森

2009-07-11 13:31:02 | 夕張山系
自宅から40キロほど、長沼町の長官山に。昼までに戻る用事あるので、きょうはこの低山と決めた。

出会いを期待していたのはゼフィルス。サフィアのように輝くミドリシシジミ類のことで、語源はギリシャ神話の「西風の神」だという。

長官山(254m)は、田園地帯に浮かぶなだらかな丘陵。

馬追温泉の登山口から入るが、茂った下草が前日の雨で濡れていて、長靴にすればよかったと悔やむ。靴が沁み、ズボンも濡れた。


(写真: 長官山の連なり)

落葉広葉樹の天然林にトドマツが整然と植林されていた。

少々、暗い森に夏の訪れを告げるイチヤクソウやクルマユリが涼しげに咲いていた。

日差しがないためか、蝶との出会いもなく、あっというまに山頂に着く。

展望台と小さな看板があった。明治24年、第3代北海道長官が眼下を展望したのが山名の由来だという。


(写真: クルマユリ)


(写真: 山頂から望む田園風景)

20分ほどすると雲間から光が差し、気温も上がって、樹冠に蝶が舞い始めた。

思っていたより大きなシジミ蝶だ。翅を揺らす合間に、青い色も肉眼で確認できる。

残念ながら、僕には種の識別が難しく、おそらくオオミドリシジミか?

それともジョウザンミドリシジミ?

木の葉の高い位置にとまってテリトリーを誇示している。

実に鮮やかなエメラルド色。森に秘められた宝石のようだ。

そっと近づいて、下から見上げたら翅の裏は茶色だった。彼は20分ほど舞って、視界から消えた。


(写真: オオミドリシジミ?)


(写真: 翅の裏側は茶色)

■登山記録
08時30分:入山
08時55分:山頂
09時35分:下山開始
10時00分:登山口に戻る

右腕がかゆくて視線を向けると、小さな虫。ダニかも。3匹見つけて振り落とした。夏草が茂っているところは注意が必要だった。



冬隣り 万字炭山ズリ山

2008-11-15 22:52:48 | 夕張山系
(写真:階段が続くズリ山)


30年ほど前に閉山した万字炭山跡地のズリ山に登った。ズリとは石炭を掘った際に出る不要な石のこと。捨てる度に高くなり、山となった。
万字の集落は、岩見沢から夕張に向かう山間に今もひっそりと続いている。
炭鉱の跡地は広大な森林公園に造成されて、その頂上が目指すズリ山だ。
往時は砂礫の山だったのだろうが、今は植林の成果で周りの山と見分けがつかない。

駐車場には「クマ出没注意」の看板。今年10月に出たそうだ。
ハイキング気分で来たので、クマよけの鈴も自宅に置いてきた。こんな時期に歩くのも、自分一人で、ちょっと不安に。
時々、手を叩いて「人が歩いているよ」と知らせる。
森の中のところどころに、炭鉱施設が寂しく朽ちていて、木々に包まれた姿が栄枯盛衰を物語っていた。

(写真:炭鉱施設の廃墟。屋根の上に木が生えていた)

最終アプローチは、公園化の時に作られた直線755段の階段だ。
駐車場から20分ほどで山頂に立つ。眼下にはかつて栄えていた万字の集落。
周りの山々の広葉樹は葉を落とし、カラマツだけが深い黄金色に染まっていた。
冬が隣りにいることを知る。

(写真:ズリ山頂上から見た万字地区)


(写真:カラマツが寂しき光る冬隣り)


 メイプルロッジ 800円。
岩見沢・毛陽地区の温泉ロッジ。リンゴ畑の一角にある。閉校した小学校の跡地だという。
エントランスの暖炉とソファに癒された。近くの直売所でリンゴ二つ買って帰宅。















御大師山 栗山町 ファーブルの森

2008-06-15 22:36:43 | 夕張山系
(写真:オオムラサキの幼虫)

栗山町の御大師山(115m)の斜面の一角に「ファーブルの森」がある。
国蝶オオムラサキが舞う、環境の再生を目的にした森だ。

(写真:飼育観察舎)

飼育観察舎に植えられた食樹のエゾエノキの葉には幼虫とサナギがぶら下がっていた。体長は想像していたより大きくて、5センチ前後もある。
サナギは葉裏の緑色と同化した見事な変身ぶりだ。

(写真:オオムラサキのサナギ)

森の遊歩道にも植樹して育てたエゾエノキが並ぶ。袋で保護された枝葉に幼虫の姿が目立った。森に放つことはせず、サナギになったら飼育舎に移すとのこと。羽化は7月10日前後がピークだという。是非、また来よう。

(写真:遊歩道のエゾエノキ)

御大師山には四国八十八ケ所霊場があり、観音地蔵が山腹に並んでいる。開拓時代から信仰を集めてきた里山なのだ。小さいながらこんもりとした森が心地よかった。頂上は園地になっていて展望台も。残念ながら老朽化していて立ち入り禁止だった。丘陵の裾野に流れる川と田植え直後の水田が織りなす田園風景がのどかだった。

霧のシャワー 美唄山

2008-06-01 22:21:34 | 夕張山系
(写真:美唄山・奈井江林道の露頭炭)

南西部は雨で、札幌より北は曇りという天気予報で、美唄山(987m)へ。落石のため通行止めということで、登山口がある林道終点まで行けず。渓流の奈井江川沿いの林道をなんと6キロも歩く。新緑、滑滝、エゾサンショウウオの卵、さらに露頭炭が顔を出して、意外と退屈しない。
ノビネチドリが咲いていた。

(写真:ノビネチドリ)


(写真:エゾサンショウウオ)


弱い霧雨のなか、1時間半歩いて、ようやく登山口。といっても、ここも林道の枝分かれで、今まで見たこともない急勾配の林道だ。標高を稼ぐに連れ、新緑に加えて、いまだに春紅葉も綺麗だ。雨滴に包まれた山容と空気がみずみずしい。

(写真:新緑シャワー)

1時間10分ほど林道を急登し、ようやく登山路分岐に。きれいに整備された尾根沿いの道の両脇は、ギョウジャニンニクの群落が続く。まるで畑を歩いているみたい。
初夏の花ツバメオモトやハクサンチドリも咲いていた。去年、積丹半島の両古美山で、山菜採りのおじさんが、「ハクサンチドリが咲くと、タケノコも採り頃だ」と言っていたのを思い出す。笹薮に目をこらすと、確かにひとつ、ふたつと顔を出していた。山肌は春浅い彩りだが、足元の花々とタケノコは確かに6月の始まりを告げていた。

(写真:ツバメオモト)


(写真:ハクサンチドリ)

30分ほどの尾根歩きで山頂に。屈強の自衛官7~8人が先着していた。反対側の美唄コースから登ってきたという。レジ袋にはタケノコも。
山頂には1901年(明治34年)設置という「一等三角点」が。大雪山、夕張岳、芦別岳、空知の街並みが一望らしい。残念ながら雲にに包まれ、展望は得られなかった。
姿は見えなかったが、美唄側から笹刈りの音が響いていた。山開きの準備なのか。
濡れたチシマザクラが恥ずかしげに山頂を囲んでいた。一等三角点の大展望は得られなかったが、6月の思わぬ花見に恵まれた。

(写真:一等三角点)


(写真:チシマザクラ)

9時35分:林道通行止め地点から歩き始める

11時05分:林道・登山口(頂上まで4.2キロの標識)
12時15分:登山路取り付き(頂上まで1.4キロの標識)
12時45分:山頂
13時05分:下山開始
14時30分:林道・登山口

16時   :通行止め地点に戻る

「ピパの湯・ゆーりん館」 600円  露天風呂から望む樺戸連山と田園地帯が気持ちよい。茶色の湯は、お肌すへすべ系。清潔で心地よい施設だった。隣接の地場農産物直販所で、太いアスパラ一束300円を買って帰る。



晩夏の夕張岳(9月3日)

2006-09-04 22:31:12 | 夕張山系

【写真:ミヤマアケボノソウ】

早朝に夕張・清水沢のコンビに到着。
おにぎりで腹満たすも、雲が重たく、パラパラと小雨も。
どうしようかと逡巡する。
まあ、せっかく来たので登山口まで偵察に。
長い林道を行くうちに・・・しだいに晴れてきて、「おいで、おいで」と山に導かれるように午前8時に入山。最終入山者だ。

9時25分に石原平。横浜から来た男女熟年4人組に追いつく。
ここから一息で望岳台。ぐっと視界が開ける。
「晴れ」ではないが高雲なので、芦別岳、十勝岳もすっきりと見えた。

 

【写真:芦別岳】
 
10時10分に前岳湿原の入り口。目指す夕張岳も間近に見える。
ここからは、お目当てのミヤマアケボノソウがいっぱい。
グレーブルーのシックな竜胆だ。すでに終盤だが、開いた花もに会えて、満足。

 

【写真:夕張岳】

11時5分に「吹きとおし」に到着。
固有種ユウバリソウのドライフラワーがにょきにょきと乱立。
よーく探すと、ユウバリリンドウの残花もたくさんある。
姿は羊蹄山のオノエリンドウに似ている。
ダメか・・・とあきらめかけたとき、数輪の紫色が目に入る。
帰らないで、登ってよかったなあ。
あとで調べたらユウバリリンドウの別名はエゾオノエリンドウだった。

  

【ユウバリリンドウ】

11時35分に山頂(1667.8m)に。
ここまで16人の下山者と1匹の犬とすれ違い、頂上は横浜4人組と僕のみ。
毎年のように北海道に来て山登り三昧をしているらしい。
1人は今年ついに100名山を踏んだという。
横浜4人組が下山したので、山頂は貸切りになる。
トンボが無数に舞っていた。落ち着く晩夏の一瞬。
が、帰路のクマ対策も考えて、横浜組みを追いかけるように12時に下山開始。
クマ鈴は多いほうがいい。
14時50分下山。

 【写真:夕張岳 山頂】

温泉はレースイの湯。夕張市が買い取ったリゾートホテルの中にある。600円。
悪くはないが、街の空気にになじんでない。
映画の街を標榜する市内に目立つのはレトロな映画看板の数々。
財政破綻で夕張映画祭も廃止になり、まさに夢の跡。
看板をはずすのは惜しい。どう活用するのか。商店街の知恵と力も問われている。

                  
【写真:ホテル マウントレースイ】           【写真:映画看板】
  
※過去の登山歴 04年7月3日


ユウバリリンドウ

2006-09-03 21:18:32 | 夕張山系
きょうは夕張岳に向かう。
ユウバリリンドウとミヤマアケボノソウが見たかった。
花期は終盤だったが、なんとか間に合う。
財政破綻の夕張市の今も見たかった。
登山後、訪れたマチは驟雨のあとの斜光で、輝いていた。
若いころ、夕張にはよく通った。目撃したのは炭鉱の大事故、閉山ラッシュ、そして観光への急傾斜。炭都・夕張は二度死んだ。
男性的なヤマ(炭鉱)と、優しい花の名山。
ユウバリがどこにも負けないもの、それは炭鉱文化と自然。素朴な誇りを大切にすればいい。


芦別岳③アフター登山で富良野観光

2006-07-11 21:26:56 | 夕張山系
【写真:雲立つ山頂】

■9時4分 頂上到着。雲がどんどん湧いてきて、夕張岳はすぐ消えた。
十勝連峰も全容見えぬまま、霞んでいく。入山禁止の「きりぎし山」は、目前なので恐竜の背骨のような稜線が良く見えた。単独登山者で会話がはずみ1時間滞在し、10時下山開始。調子に乗ってアップテンポで下りていったら、右ひざが痛み出す。まずい。
去年、羊蹄山であまりの痛さで、斜めになったり、後ろ向きになって下った悪夢が甦る。
あわてて、サポーターを装着。だましだまし、ゆっくりと下山する。
ちょっと痛かったが、なんとか下りられた。。だから、サポーターを用意していた!
13時10分登山口に到着。

■麓郷の「夫婦食堂」の「冷やしマイタケそば」が、絶品だった。太くてコリコリして、
20キロ走ったかいがあった。富良野産ソバの手打ち。
     
【夫婦食堂】          【北の国からロケ地 富良野岳が丸見え】
  
■十勝連峰、トムラウシ山がまるみえの「万華の湯」(中富良野の国道沿い)で汗流す。
980円はちょっと高いが、広くて清潔で、絶景。    
       
【十勝連峰】         【万華の湯】         【トムラウシ山】


芦別岳②山の天気は変わりやすい

2006-07-10 23:18:26 | 夕張山系

【写真:山頂にて】

■4時30分入山。暗い森を黙々と登る。途中で少々、日が差し始めるが、眺望なし。
次々と現れる太いミズナラの大木に見とれるのが唯一の気分転換。

■5時58分に見晴台。ようやく富良野の田園地帯と十勝連峰が霞む。ここから樹間に眺望があるはずたが、雲で何も見えない。
 【見晴台】

■6時48分に鶯谷(1114m)。登山口から3.6キロ。半面山まで1.1キロ地点。
一段とガスに包まれ、嫌な感じ。
  【鶯谷】

■7時32分に半面山(1400m)。青空が近くなり、鋭鋒が見えてくる。「晴れてきた!」うきうきしながら、熊の沼のコルを歩き、雲峰山(1560m)へ登る。
  【半面山から見た芦別岳(左)と雲峰山】
 【半面山から雲峰山に登山中に見た日高方面】

■8時17分に雲峰山。芦別岳の鋭鋒、雲海に見え隠れする十勝連峰、日高山脈など。
芦別岳頂上に立つ登山者の「点」も青空に刻まれている。やはり早起きは三文の徳。
先行者、いずれも単独登山の3人が、疲れた、きついを連発しながらも、9時まで
登ると笑み浮かべて出発。
1人、また1人、下山者とすれ違いながら頂上を目指す。
   
【雲峰山から見た芦別岳の鋭い稜線】     【芦別岳の山頂】

■9時4分
3人プラス僕の4人が頂上に。抜かれた覚えの無い学生2人と、確かに抜いていった
元気おばさん1人と中年男性1人のあわせて4人が立っていた。みな、すがすがしい
満面の笑み。旧道コースにひろがる広大な台地と、鋭鋒の稜線。汗かいた労苦の末の
大展望に、達成感。だからやめられない。
が、十勝連峰は雲に見え隠れ、夕張岳も5分後にベールに。山の天気は変わりやすいを
実感。



芦別岳①曇り空だが、晴れを信じて

2006-07-09 22:44:27 | 夕張山系
【写真:雲峰山から見た芦別岳山頂】
今年の目標、暑寒別岳、ニペソツ山につぐ第三弾は芦別岳。「夏山ガイド」によれば比較的容易な「新道」コースも「上級」にランクされている。
数年前、家族でキャンプしたとき、こんなに鋭い山が富良野にあるなんて・・・と、
びっくりした記憶がある。
簡易宿泊施設に前泊し、4時に新道コース登山口。重たい曇り空ながら、十勝岳
方向は日が差している。きっと晴れると念じる。
さすがに人気の山。続々と登山者がやってくる。うす暗いし、熊も不安なのでグループの後についていくことにする。準備体操しながら、時間潰して4時30分に出発。
天気予報の午前6時から「晴れ」に期待しながら、長い登りが始まった。