生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

1465 ・経済成長優先でいいのでしょうか――ムヒカ大統領のスピーチ

2012-12-25 06:48:37 | 日記

おはようございます。                                                                              生き生き箕面通信1465(121225)をお届けします。

・経済成長優先でいいのでしょうか――ムヒカ大統領のスピーチ

 明日首相に選出されることを既定の事実として、安倍晋三氏は新内閣の最重要課題を「デフレからの脱却――経済成長最優先」と決めました。これを実現するためには強引な策も辞さないと、「インフレターゲット2%」を打ち出し、日銀にもこの方針に従え、という態度です。従わないなら、日銀法を改定してでも、従わせて見せると力づくでねじ伏せるつもりのようです。白川日銀総裁の任期は、来年3月までですが、これを機に交代させる意向が伝えられています。「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の信長方式です。衆院での圧倒的多数を武器に、早くも安倍ファッショ体制が露骨になりつつあります。

 しかし、経済成長最優先でいいのでしょうか。経済は何のために成長させようというのでしょうか。経済を成長させるのは、私たちの生活が豊かになり、幸せになるためのはずです。しかし、経済を成長させれば、私たちは本当に幸せになるのでしょうか。「幸せ」の意味を考えてみる必要があります。

 先日、フェースブックで、ウルグアイのムヒカ大統領のスピーチが届けられました。今年6月にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国際連合会議」(リオ+20)でのスピーチを改めて紹介したものです。

 ムヒカさんは、スピーチでこう訴えています。世界で豊かな生活をしている人の代表としてドイツをあげ、「世界のみんながドイツ人のように車を持つようになれば、世界はどうなるでしょう」と問題を投げかけました。そして、現在世界を覆っている「グローバリゼーションの潮流」に疑問を呈しています。「私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか。あるいはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか」と。本当にここが最も大事な点だと思います。私たちはグローバリゼーションの流れに逆らうことはできないと思いこませています。しかし、立ち止まって、「本当にそうなのか」と考えることが大切です。「私たちの本音は何なのでしょうか?現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?」

 「私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか」「西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億〜80億人の人ができるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?可能ですか?それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?」

 「このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で『みんなの世界を良くしていこう』というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか?」。ムヒカさんは、続けて「根本的な問題は私たちが実行した社会のモデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということです」「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と、強調しました。

 「自分にこんな質問を投げかけます:これが人類の運命なのか?私の言っていることはとてもシンプルなものですよ:発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです」「幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません」

 

 「我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。

 「現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません」

 「ハイパー消費が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです」

 「このハイパー消費を続けるためには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。ということは、10万時間持つ電球を作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会にいるのです!そんな長く持つ電球はマーケットに良くないので作ってはいけないのです。人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません」

 「石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。私の謙虚な考え方では、これは政治問題です」

 「私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です。私の国には300万人ほどの国民しかいません。でも、世界でもっとも美味しい1300万頭の牛が私の国にはあります。ヤギも800万から1000万頭ほどいます。私の国は食べ物の輸出国です。こんな小さい国なのに領土の90%が資源豊富なのです」

 「私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために戦いました。そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。なぜか?バイク、車、などのリポ払いやローンを支払わないといけないのです。毎月2倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます」

 ムヒカさんは、「世界一貧乏な大統領」だそうです。個人財産の87%を寄付し、今は自分の家とトラクターがあるだけだそうです。

 今朝の朝日新聞社説は、「アベノミクス 「危ないミックス」は困る」と注文をつけました。しかし、この社説も、私たちの生活を根本から見直そうという問題意識はありません。やはり、「成長路線」を是として上での注文にすぎません。私たちは、ムヒカさんが投げかけた疑問を真正面から受け止め、根本からの意識改革を迫られる時代に生きている、といえそうです。

 

 


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