いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

ラストオーサーは私に; Science のはやぶさ試料6論文を読んだょ

2011年08月30日 19時25分20秒 | ぐち

■週末、Scienceの惑星探査機「はやぶさ」が回収してきた試料を解析した結果の6論文を読んだょ。
 Hot Topic: Hayabusa—Dust from Itokawa

これまで、さんざん、はやぶさプロジェクトについて愚痴を言ってきた。これは、別に、正しいことを語るというものはなく、ただただおいらの、ねたみ・ひがみ・そねみに基づくルサンチマンの発散に他ならない;

試料採取目的惑星探査機『はやぶさ』の残念について

塵(ちり)で筑波山がわかるのか?イトカワって筑波山より小さいのね、知らなかったわ。

「現場はぎりぎりのところで一生懸命がんばっている」けど、紛失しちゃった!   

セシウムで汚れちまった梅を干す、そして、「宇宙村」の滅亡を希求する。

●6論文読んだけど、基本的認識は変わらず。

なんのことはない、普通コンドライトはS型小惑星から来たってことを直接示したということなんだろうけど...。あんな研究費かけてやることかね?

ただ、イトカワはやせ細って、そのうち消える!にはびっくりした。この結果は、直接サンプリングじゃないとわからなかったことだろう。

いずれにせよ、「太陽系の起源とその後の惑星進化を明らかにすることに寄与するという目標」にはそんなに貢献していないと、おいらは思う。

でも、このScienceの特集に結果を出した研究者たちは、相対的には、偉いよね。なぜなら、報道によれば、ここに出てきていない研究者にもはやぶさの試料が渡っているはずだから。別に、このScienceの特集に出す必要もないのだけれど、結果出せないとなると、それこそ、そんな研究費かけてやることかね?といいつのりたくなる。

■Scienceの6論文+第3者(?)によるopening remark [6論文の概略紹介]に関するメモ;

0. opening remark  Krot

水/水素を含んだ鉱物が今回見つからなかった。これじゃ地球の水の起源が分からないよ。やはり、揮発性成分のありそうな小惑星を探査しなくちゃね。やっぱ、はやぶさ2号だ!


1.Nakamura 論文 

はやぶさの回収してきた1500に及ぶ塵の中に、鉱物的考察ができる鉱物群(mineral assemblage)を見つけたよ。それらは密着していたょ(thermally anealing)。鉱物組成からLLコンドライトだったょ。そして、鉱物組成を地質学的温度計に適用すると、最高の平衡温度が800℃くらいだったょ。イトカワは今はちっぽけだけど、一時期は20kmに及ぶ岩体だったのさ。そう想定しないと、鉱物どうしが密着した状態とその鉱物の組成が示す800℃を経験したことを説明できないょ。さらに電子顕微鏡でみると、鉱物にディスロケーションがあったんだ。衝撃の痕跡だょ。一時期は20kmに及ぶ岩体にも、ある日ある時あるきっかけで衝突がおきたたんだょ。


2.Yurimoto 論文 

鉱物の酸素同位体を測ったょ。酸素って鉱物の中で一番多い元素なんだ。そして酸素には同位体があるんだょ。その同位体の比率が"指紋"みたいなものさ。あまたある鉱物の出身を分類するのに重要な指標なんだ。"指紋"というより"お国訛り"って言った方がいいかな。とにかく、"お里"がわかるのさ。イトカワの塵を分析したさ。そしたら、やっぱりL~LLコンドライトだったよ。酸素同位体でも温度を推定したょ。600-700℃だったのさ。

3.Ebihara 論文  

金属の元素分析でも"お里"が知れるのさ。イトカワの塵にはイリジウムが相対的に少なかったんだょ。イリジウムが少ない環境でイトカワの塵はできたんだ。その環境ってのはイリジウムみたいな元素が少ない、のこりかすが多いところだったのさ。

4.Noguchi 論文   

イトカワの起源のことじゃないんだ。今のイトカワの塵のおかれた過酷な環境について。太陽風など宇宙空間を吹き荒れる"風"でイトカワの塵は毎日ダメジを受けている。そして塵の表面が変化しているんだ。この変わっちまった表面のことを考慮いれた上で、遠くから小惑星を観察した結果(スペクトル解析)を検討しないと、ダメなんだ。その風化を回収試料の中に電子顕微鏡観察で直接見つけたょ。

5.Tsuchiyama論文

イトカワの塵の形状を観察、測定したょ。イトカワには溶融した証拠は見当たらなかったょ。1.Nakamura 論文 の結果(イトカワは800℃くらいになった)と重ね合わせると、800℃と融点の間の熱状態にイトカワはあったんだょ。今回のサンプリングで一番の問題である、回収した試料のバイアスについても考えたんだ。


6.Nagao論文

太陽風など宇宙空間を吹き荒れる"風"を受けたイトカワの塵の(希)ガスの同位体組成を測定したょ。そうしたら、びっくり。イトカワの表面には古い塵が無いんだょ。古い塵はみんな表面から次々離れてしまった。つまり、イトカワは日に日に痩せて行っているんだょ。このままじゃ、1~10億年で消えちまうのさ。

あばよ!

Save the last dance for me (邦題:ラストダンスは私に) - The Drifters