三谷・新撰組44話で、三谷は将軍・慶喜の前で新撰組・近藤と見回り組み・佐々木に対薩討伐の是非について議論させる。これは完全フィクションではあるが、それゆえ三谷の考えがわかる。つまり近藤に「戦争を避け落ち着いてからお上(天皇)に理解してもらおう」と言わせている。一方、佐々木は武断で決着をつけてしまおうと主張している。この44話の冒頭、ガキンチョのむつひとクンが王政復古の大号令の檄を飛ばすシーンが出てくる。王政復古がガキンチョによってなされたという史実をちゃんと表現した映像を、おいらは、はじめてみた。そんなガキンチョにいつかは理解してもらおうとする近藤は誠の人であり。そしてなによりナイーブなのである。三谷は近藤が西郷や大久保や岩倉のようなニヒリストではないことを描いているのである。もし、佐々木案で一気に御所を陥れ、万が一、むつひとクンが死んだとしても、新しい天皇が即位して、むつひとクン(16歳)は平家に担がれて壇ノ浦で死んだアントク天皇みたいだねー、でおしまいである。
明日の夜、新撰組は錦の御旗で蹴散らされ滅亡への道をころがりはじめる。なぜ、錦旗(キンキ)なんて布切れにたちすくんだのかね、と現在生きるおいらは思うが、新撰組はじめ会津、幕府軍は錦の御旗を額面どおり受け取ったのであり、布切れなんて!と思う自分は天皇に恐れおののかない薩摩のチンピラ兄ちゃんと同じメンタリティだなと気づき、おどろかれぬる。