alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

ストレス

2012年01月29日 | 福島見聞録


 福島でよく「避難するストレスと残った時のストレスを
天秤にかけてみると、、」という話を耳にした。
どっちにしても ストレスがある。それをだいたい
見積もってみた上で どっちの方が 自分にとって
堪え難く どっちだったら少しはましかと判断をしてみるらしい。


 私たちが初日に訪ねた まるで絵本から出て来たような
雪の降り積もる山の中にある素敵なお家に住んでいる奥さんは
旦那さんが外国人で フランスにも夏の間避難をしたし
3人目のお腹にいるお子さんを外国で産んだらと強くすすめられていたけど
ストレス天秤にかけて やめることにしたらしい。

 彼女が話してくれたフランスでのストレスの話はよくわかる。
優しくはしてくれるけど しつけに相当きびしいあちらでは
常に子供の行為に気を張ってなければならなかったこと
言葉の違い それから飛行機に乗るときに 旦那さんも
いないのだったらどうやって2人の子に目をやっていられるだろう?
お腹にはもう一人いるというのに 3人を女一度で見るのは
それだけで並大抵のことではない。

 そんな経験をしてきて ちょっと嫌になってしまった彼女は
もう外国での出産はやめることにして、福島に残ることにしたという。
そこには素敵なお家もあれば、旦那さんも、見知った顔の
気心の知れた人たちもいる。そうしていつでも話ができる。
例え料理はミネラルウォーターで、子供達には家の中で
遊びなさい と言わなくてはならなくっても 彼女にとっては
こちらの暮らしの方がそれでも気が楽 というわけだ。



 山形で私たちがお話を伺った女性は郡山から避難をして来た人で
郡山が好きで帰るたびに本当に戻りたいと思うけれども
子供が戻るたびに症状を出し、どんなに自分が帰りたくても
母としてその症状はみてられないので山形にいる、と言っていた。
山形は縁のあったところなんですか?と聞いてみるとそうではなくて
県の借り上げ住宅があったから。お家を見ると本当にもう
普通にお家で、とてもひとときだけ、というような仮住まいな感じがしない。
彼女の場合は仕事を持てているらしいけれども、子供を
保育園に預けられなくて働けない女性も沢山いると言っていた。
そんな人たちは節約に節約を重ねても10万円くらいかかるらしい。
するともう避難してから100万くらい使ってしまって
いよいよ貯金が底をついてきた人たちもいるそうだ。
そうして彼らは泣く泣く帰ることになる。例え線量が高くても。
(福島市や郡山市に関しては相変わらず避難に関する
手当などは一切出ていないと思います。「今後のための
保証金」みたいな大人8万円、子供40万円という
わけのわからない(なんかあったらそれでどうにかしてねと
言っているようにしか思えない)お金がそろそろ配られるらしいですが)


 人間にとって 一番苦しい 身体に悪い影響を
及ぼすものは 放射能よりもストレスなんだろか、、、
私は福島から帰って来て頭の中が不安やら憤りやら
抱え込んだことやらであまりにいっぱいになり
結局3日寝込むはめになり まだ外出もできない状態ですが
それは放射能どうこうじゃなくて 激しいストレスによるものだろう。
ストレスは放射能みたいに「5年後」とかっていうスパンじゃなくて
「10日後」とか、けっこう早い時期に自分の身体に相当なダメージを
残すのだとしたら、私は放射能の直接的影響よりも、
多大すぎるストレスで、これから病んで行きそうなお母さんが沢山いるんじゃないかと思う。


 「私、がんばろう福島って言葉が一番嫌いなんです」
と吐き出してくれたお母さんはもうすでにがんばれることは
全部がんばっていた。子供のための会合にも参加して
誰も応じてくれない取材にも何度か応じて、もちろん子供の
ための気もつかって 一生懸命やっていた。
そのうえ「がんばろう」なんて言われてしまうと
もうそんな力はないよ、もういい加減にしてよ!と思うのだろう
本当に 福島のお母さん、そして全国で放射能を気にしている
お母さんは精神的に限界に来ているんじゃないかと思う。
だってこんなの耐えれないよ、だれかそんなのまっぴらな
嘘でした、本当は何もありません、って言ってくれたらいいのに、、、
と心の底では思いたくなるのだろう。


 「福島にはね 放射能に対して色んなレベルの人がいるんです。
福島産の野菜でも気にしないわって人がレベル2くらい?
西日本の野菜じゃないと絶対食べないっていう人がレベル8くらいかな
レベル9はね、そうね そういう人はもう避難した人。」
と笑いながら語ってくれた人がいた。彼女は自分をレベル7から8くらい
だと言っていた。相当気をつけていきているけど でも福島に
残っている人。避難というレベルまで 針が振り切れてはいない人。
「お店もまだだしたばかりだし、、でも次に爆発があったら絶対逃げる!」
と言っていた。

 今にして思えばこのレベル8くらいというのが一番苦しいだろうと思う。
どうやったら彼女にはそんな生活が可能なのだろう?
彼女はパスタをゆでる時すらミネラルウォーターを使うと言っていたけど
じゃあお風呂の時は?気にならないわけはないだろう
外食の時は?「それは他の楽しみってことで気にしないことにしているの!」
たしかにそうしないでは外食の楽しみは放射能を気にした途端
すっかり気持ちも萎えてしまう。私だったら?もう耐えられないから
レベルを落としていくだろうな 「そんなこと言われてももう無理!
身体もお金も持ちません」と。本当に気をつけているお母さんたちは
すごいと思う。だけど私だったらそれだけで病気になってしまう。


 「武田教授のブログ?あー昔はけっこう読んでましたね。毎日。
でもある時から気分悪くなって来て もうやめたんです。
今は2週間に一度くらい。」そう言っていた人もいた。その気持ちが
今の私にはよくわかる。あんなの毎日真剣に読んでいたら 恐ろしすぎて
身がもたない、たとえ情報が正しくっても 知らないでいた方がましだと思う。
そういえば日本には「知らぬが仏」って言葉があった。
「だからね 生きてくために どんどん自分を許してくんです。
もうここまではいいことにしよう。マスクつけなくてももういいじゃん って
一回はずしちゃったんだから。だから私は理由を失って
もうしなくなりました。」と他の人が言っていた。


 激しい苦悩とストレスのあと 福島に残ったものは
「ものすごく気にする人」と「もう何事もなかったかのように
日常を送っていたい人たち」だった。だからきっと後者の人は
何か誰かにいわれると 強く反発したくなったりもするのだろう
「もう知ってるよ!」「いまさらなんだよ!」「じゃあどうやって
この中で生きていけっていうんだよ!」知らなかったことにして
何事もなかったことにしたい もう波風なんてたてたくない
そんな中 で 生きて行く それが福島で生きるということ
福島だけでなく 放射能の危険の中で生きるということ


 人間には そんな機能は元来備わっていないと思う

 そんなストレスに一年中さらされて生きてられる程
人間の精神力って 強くできてるものなのだろうか?
私の場合は到底無理だ、、、「目に見えない」
放射能を気にして生き始めてしまったお母さんたち
子供の健康より前に 私はお母さんたちの精神状態が気になります

フランスに行くなら

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