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パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

パリ カフェツアー vol.6 哲学カフェとマレ地区

2011年12月09日 | パリカフェツアー



 さて、いよいよツアーも終わりの方に近づきました。
それでもやっぱり毎日がハイライト。11月27日、この
日曜日のメインはなんといっても哲学カフェ。
ここに影山さんと来たかったのです!!


 その前の週に哲学カフェに参加して、この人数と
熱気の中では4人くらいが限度かなあと思わされ
(いつも60人くらい来ていて席取り合戦になっている)
哲学カフェはどうしても行きたい人だけ!あとはみなさんヴァンブで
蚤の市を楽しんでください、と言ってみたけど
フタをあけてみると参加者は六人くらい。つまり半分が哲学カフェ。


 ちょっと大丈夫かな?と思ったけれど早く行けば
席は見つかるものなようでなんとか入れてほっと一息。


 この日はカフェに詳しい友人のすすめもあって、
朝バスチーユのマルシェの横にあるカフェで朝カフェを
してみるのがおすすめだよ、と言われ 急遽それも
組み込んでみた。私の大好きなバスチーユのマルシェの横には
本当に素敵な一角があり、そのカフェにはじまり、
イタリアのお惣菜屋さん、こだわりセレクトのワイン屋さん、
とてもかわいいパン屋さんに、奥にはカフェダンダストリーが
立ち並ぶという なんだかそこにいるだけで幸せな道があるわけです。




 朝ご飯はこの日ばかりは宿でとらずに
(でもかなり素敵な朝ご飯がでるんですよ!)
ここまで待って、みんなで朝食セットやらタルティーヌ
(バゲットにバターやジャムを塗ったもの)やら
クロワッサンやエスプレッソなんかをたのんでほっと一息。
憧れてた割に 入ってみると特にどってことないカフェだったけど
ここでマルシェ帰りの人や売り子の人たちがちょっと
一杯やりにきている そんな姿が本当に素敵なんだなあ。
影山さんは朝カフェに感銘を受けてたらしく
クルミドでもぜひ朝時間を!と盛り上がってきたそうです。


 さて、10時半に間に合うように急いで歩いて
バスティーユの哲学カフェ、カフェデファールにご到着。
うわっ やっぱり席がない!と思ったものの、トイレに行こうと
席を立って奥に行ったら奥の方は空いている。一度も
行ったことはないけど、みんなで寄って固まっていられるのなら
そっちに行こう!とダッシュで席替え。それから
哲学カフェはだいたいこんな流れで、と説明をして
数分もすると始まってった。さて、通訳は可能なのでしょうか、、、




 はじまってみると今回のテーマは相当難解!!
いつもだったら1時間もすればだいたい話の流れが
みえてくるけど 今回はそうとう「理解しなければ」という
付加がかかっていたにも関わらず難かしかった。
テーマは「秩序と正義」についてで、哲学的には
クラシックな問いらしいけど、正義のもとでの戦争だとか
秩序をもたせるためにはそれなりの大義名分が必要だけど
どこまでだったら統制しても構わないのかとか
でも統制力のない社会では不正義ばかりがまかり通ることになるとか
かなり抽象的な議論があっちにいったりこっちにいったり
言葉をとらえなおしたり 言葉をさかさまにおいてみたり
もうこうなるとフランス語の詩の授業のようで
そうとう何を言っているのかわからない。

 私はフランス語が理解できなかったのだろうか?と
かなりへこんでしまいましたが、その後出会ったマダムとは
普通に会話ができたので、やっぱり哲学的な問いや
話をするときに使う言葉の用法というのは独特なんだなあと
思いました。フランス的洗練さの最たるものというか、、、


 だからこそ 哲学カフェは フランスを理解する上で
すごく面白いとは思うのだけど。ちなみに前回「哲学が
現代に果たしうる役割はあるのかどうか」みたいな問いで
哲学する、思索する とはどういう意味かを知ったのですが
それは「通常そうだと思われている価値観に、そうじゃないと
言う、疑う」ことなのだそうです。それってまさに
フランス的価値観で、だからオルタナティブがありうるというか
少なくともそれを模索することを良しとしている
だからそれが発見される可能性も大いにある、そんな国が
フランスなのかなと思いました。




 そう だから 私がやったこのツアーも
言って見れば「哲学する 「フィロゾフェ」する旅」だとも
言えるのだなあと思って感慨深くなりしました。
だって日本で当たり前だと思っている価値観だけが
当たり前なわけじゃないって それを見てもらいたいわけだから
そこに揺らぎが生じて何かがぐらりときて崩れて行く時に
それは危険なことなのだけども 何かが生まれることもある、、、
(複数の生がひょっこりと顔をのぞかせるところから
創造がはじまる、、、それは通常の日常に混乱をきたすかもしれないけれど)
そんなことを 10年前の留学で 価値観をどっさりと崩された
私は身体で学んだ気がします。(あまりに痛かったのは事実ですが)


 さて、そんな哲学カフェが終わって、私なりに
一生懸命わかったこととか、フランス的価値観と
日本との違いとかを説明し、なんとなくみんなも
わかってくれたようなのでちょっと一息。それから
参加者の男の子が愛用のポラロイドで店員さんの姿を
撮ってみたり。私だけでなくこの店にくるけっこう
多くの人はこの店の店員さんの対応のやな感じさに
腹を立てているようですが、意外と人間だったんだ!と
温かい一面をみたりしました(でも次の週一人で来たら
やっぱり冷たかった。団体でくると何か対応がいい)




 その後は蚤の市組と待ち合わせ、バスチーユの
マルシェでぶらぶら歩き。お昼ご飯を買ってみたり
誰かと一緒にだべってみたり 私はなんだかやたら
熱く語ってしまってお昼を買うのも忘れてました。




 それからおすすめのカフェ、カフェダンダストリーに
全員で入る。このカフェは向かいあって3店舗くらいあって
中に入るとやたらいろんな空間が広がっていて 今回も
奥に案内されて へーこんな空間あったの!と驚きました。
それでも店内はほぼ満員。それもそのはず、ここは
インテリアのセンスもすごくよく、照明は間接照明が
そこかしこにあってかっこいいし、植物もたくさんあって
ちょっとオリエンタルな感じだし、これでもか!と飾られている
古びた肖像画も、黄色みがかった壁も全てが心地いいのです。
お洒落なんだけど気取らない、自然体な自分でいられる、
まさにパリの良さを体現しているような現代のカフェ。



 しかも値段が安くておいしい!私は鴨のコンフィを
注文しましたが たしか13ユーロくらい。他の
メインも11ユーロくらいでいくつか選べて驚きでした。
それに団体でわんさか注文したにもかかわらず
でてきたのもすごく早かった。みんなどれもこれも
美味しい!これも食べてみて!!といって
たくさんまわし食べしてました。


 心地よくってつい時を忘れてしまえるカフェダンダストリーの
後はお待ちかねのマレ地区へ。マレでは自由行動を
沢山しようと思っていたものの、結局みんなの
行きたいところがだいたいかぶっていたりしたので
自由行動はちょとだけになってしまいました。


 バスチーユを抜け、石造りの美しいヴォージュ広場に行って
「そういえばここで素晴らしい経験をしたんです。この
空間でオペラを歌っている人がいて、、それが石造りの
壁に響いてものすごく感動的だったんです!」と話していたら
そのまさに2分後くらいにその人がそこにいた!!なんとまあ!




 あまりの感動に彼に話しかけてみると喜んで歌ってくれる。
私はといえば、ガイドをしないといけないというのに
この時ばかりは我を忘れて感動にふけり どうしても立ち去れませんでした。
本当に素敵な時を過させていただきました。ありがとうございました!!


 パリってね こういうのが街角にありうるからいいんですよ、、、と
感動しならがら話していると、今度は街角のジャズ隊発見。ここでも
みんなで立ち止まる。ジャズのグループのおばあちゃんはみんなの前で
踊ってて「これが夜だと一緒に踊りだす人もいるんですよー」と話す。
そういうパリの雰囲気がたまらなく私は好きなのです。夜のシテ島、
サンジェルマンデプレなんかで 音楽に合わせてつい男女が
踊りだす。そう ここは音楽で満ちている街。先日なんか
サンミッシェルの噴水の前に本物のでっかいピアノを持ち出して
生演奏をしている人がいた。彼らのレベルのよさといったら!!
さんざん私も日本の街路で足をとめてきたけれど やっぱり
全然違うんだなあ、、、


 ウィンドーショッピングをしながらようやくカフェの立ち並ぶ
(といってもどこもかしこもカフェだけど!)ヴィエイユ・ド・タンプル通りに
行って、自由行動にしたらこのあたりのカフェに入ってみてくださいねと言う。
それからクルミドの人たちが見たがっていた、カフェマメヒコの
モデルになったというパンコーティディアンの前まで行って
じゃあ解散!と自由行動。私は女性陣3人についていって
ポンピドゥセンターをちらっと見たり、またその前でやっていた
マイケルジャクソンの踊りをやっている人に釘付けになって
あーここに蓮太郎がいたら!!と思ってしまったり
レペットというバレエ用品屋さんに行ったりしてたらもう時間がない。


 それでフランス人が大好きなカフェ、フェールアシュバルという
カウンターが有名が古き良き感じのカフェに行ってみんなで
カウンター初体験!これがまた、良かったですねえ、、、!
時間がなくても 3分しか残されてなくても ちょっと一杯
カフェに入れる そんな一瞬の気分転換を 雰囲気のいい店でやれる
それがパリのカフェの素敵なところ。
眠気覚ましにたったの150円くらいで入れる それで
5分で出て行ける そんなカフェが日本にもあったらいいのに
と思って今日探してみたら 日本ではそれが缶コーヒーだという
事実に気づいてちょっと衝撃的。




 さて、急いでパンコーティディアンに戻り、のんびりと
お茶をしながら、影山さんと、もう一人パリツアー企画で
盛り上がってた人と一緒にこれからどうしてったらいいかなあという
話をしていて、旅行代理店?とか何をすべきかの話をしていたまさに
その時、本日の壁がやってきました。「T君がお財布をすられました!!」


 ・・・。。。 


 ついに来たか、、、、


 ここは冷静にならなきゃいけない。影山さんのガイドをかりて
とりあえず大使館に電話してみる。ハイ日曜だからお休みです。
警察は?日曜の夜のパリ、最悪だ、、、やっているのか、、、
知人たちにかたっぱしから電話をかけて近そうな警察の場所を教わり
すられたT君を連れてそこまで行ってみることに。
それから我等は3時間くらい警察コースになりました。


 誰もが言う通りパリはスリの多い街。口をすっぱくして
気をつけてくださいねと言ってたものの、彼はかなりの現金をお財布にいれていて
それがそのまますられてしまった。もうそうなったら戻ってこない。
諦めるほかにないとフランス人はみんな言うけど 
一応警察で届け出だけは出しておこう。
警察で待ちに待たされ、ちょっと文句をいったら何故か
上にあげてもらって(どうしていつも交渉をすると余地があるのだろう?)
調書を書いてもらって一見落着?でもないけれど、、、


 夜のサンミッシェルを2人で通り すられたらしき
現場へ戻り 何と言ったらいいものか カフェでお茶でも
するのがいいのか それとも早く宿へ戻るべき?でも
どうしてこんなこととになったのだろう、、、と言葉少なになる2人。


 宿の直前まで来てみて「でももしかして 今は全て失ったかのように
見えるけど 本当は何かと出会う 人生が変わり始めるサインなのかも
しれないよ。そういえば私も全てを失ったと思った時に何かが
はじまっていっていたことがある、、、」と急にそんな言葉がでてきて
彼もなんだかそうかも!と思ったらしく 2人は急に前向きになり
じゃあ門出かもしれないから祝おう、とワインをごちそうすることにして
近所の店でワインを買って宿に帰ったらなんとごちそうが待っていた!!


 そこにはワインに美味しそうなごはんの数々 そして
あたたかいみんなの笑顔が待っていて 私もハッピーバースデーを
歌ってもらい(ツアーの直前に誕生日を迎えたのです)「今夜は
お腹が減っても何も食べるものがない、、、」と暗くなってた
2人の気持をみんなが吹き飛ばしてくれました。本当にありがとう
ございました。もともと生きる力の強そうなT君はその後一人で
パリに残り、バルセロナに渡り、無事日本についたそう。
そして後日私たちは偶然にもクルミドで再会し、パリに残った者同士の
お土産話に花をさかせることができました。。
旅にはいろんなことがあるけど 人生にはいろんな壁があるけど
それは神様が私たちをちょっと試しているだけなのかもしれなくて


 壁は乗り越えられない人の前には現れない、、、


 このツアーを通してそういうことが実感としてわかったような気がします。
私は警察で淡々と手続きをこなすことができ、お財布をなくした彼はそれでも
目的のバルセロナまで行って日本に帰って来れた、、、


 「壁っていうのは 
 その人を強くしてくれるためにあるのかもしれませんね」


 その日の夜に 私は宿のキッチンでちょっと感無量になりながら
そんなことを語ってた。不安なんてくそくらえ!きっとできるから
与えられてる なんだか見守られてる そんな気がする
そんな温かい気分になれた なんだか不思議な夜でした。


追記、、、

 クルミドコーヒーで遂に1月から哲学カフェ的なとりくみ
「クルミドの朝」が開催されることになったそうです。
テーマはその場に参加したひとたちの中からきめられるそう。
普段より営業時間を早めての、日曜の朝のひとときです。
よかったらいってみてくださいね!
「クルミドの朝、はじめます!」



フランスに行くなら

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