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Thank you for the music

好きな音楽のこと、あれこれ。その他諸々もあり。

側田「No Protection」(香港)

2006年04月05日 17時31分53秒 | CD紹介
 05年の新人賞を総なめにして、CDわずか1枚で香港コロシアムソロコンサートを開くという快挙を成し遂げてしまった側田。今月のコンサートもチケット完売、勢いは止まる気配もない。
 1曲目に、自身が子供の頃の録音と思われる歌を入れている。可愛い声(^^)なるほど、子供ながら上手い。よく録音が残ってたものだ。親も音楽的な才能に期待してたのかな? 続く2曲目にも子供の頃の声をサンプリングに使っているようだ。こちらはエフェクトがファンキーなレゲエのリズム。今ふうで洒落てる音だ。
 「夢女」はクールなジャズボサで、叔父のTed Loがキーボードやギターでバックアップ。ユージン・パオのギターソロ、カッコいい! 今ヒットチャートに上がってきている「Volar」は少しHip Hop入ってるノリのいいクールな曲。実はこういうの好きだったんだ~。アメリカ暮らし長かったんだから当然だよね。
 ほかはバラードが多いが、低音域を丁寧に歌っていて、前作よりも説得力大幅アップした感じ。“素の部分が見えなくてつまらない”と前作の紹介で書いたが、静かに語りかける低音部はそうでもないぞ。何よりも、全体に本人が気持ちよさそうに、しっかり曲に感情移入して歌っていて、同時に完全に自分でコントロールしているところがいい。
 「You'll shine again」は「我不是好人」の自作詞英語版。やはり、自分の気持ちをより深く表現するには英語らしい。最後の「Dream Away」はギター弾き語りで聴かせてくれる。いつも帽子をかぶっているので“実はハゲ?”疑惑がある彼だが、こんな風に自分のために歌ってくれたら、ちょっとくらいハゲててもかまわない!と思った女の子は少なくないと見た(笑)
 前作は、まず側田という歌手を受け入れてもらうという狙いで作った分、手探りの部分があったが、今回は側田はもう受け入れてもらえたので、やりたいことをいろいろ盛り込んで、本人も満足度が上がってると思う。そして、ソロ歌手としてやっていく覚悟をしっかり決めた感じがする。(今思うと、前作では、「だめだったらミュージシャンに戻ればいいや」みたいな、おそるおそる歌ってるところがあったような。。。)
 No Protection、もう誰かに守ってもらうことなく、立ち向かっていく側田。香港ポップスを担う一人になっていっておくれ。
 
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張敬軒「春・夏・秋・冬」(出身:中国 活動:中国/香港)

2006年04月05日 00時28分42秒 | CD紹介

 最近香港にいることが多いようなので、活動拠点は中国/香港としたが、曲目・ジャケ写は大陸・香港どちらも同じなのでバージョンは分けないことにする。
 香港映画「擁抱毎一刻花火」に出たり、香港の歌手・王[艸/宛]之(イヴァナ・ウォン)とデュエットしたりと、すっかり香港でもおなじみになった張敬軒(ヒンズ・チョン)。シンプルなスーツ姿は相変わらず爽やか青年だ。
 今回は自作曲が「Hurt So Bad」(「擁抱毎一刻花火」の主題歌)「不要」「絶頂愛情」の3曲のみで、プロデュースもいろいろな人が参加しているのが面白い。先行オンエアでヒットした「過雲雨」は伍仲衡、今ヒット中の「Hurt So Bad」は金培達(コーラスも聞かせてくれる)、包小松、InvisibleのAlexなど。
 王[艸/宛]之とのデュエット「随イ尓」は、広東語でヒットした「手望(守望版)」の北京語版で、王[艸/宛]之が北京語詞も書いている。「手望」は地上と天国の絶唱!だったが、「随イ尓」は、彼がほかの女性に心を移したと思って身を引こうとする女の子と、「誤解だよ、別れたくない~」と訴える男の子のすれ違いラブソング。男女が違う歌詞でかけあったりハモったりするスタイルの曲に合ってる題材かもしれない。(余談だが、香港のマスコミは何かとこの二人をくっつけたがる^^; どちらもシンガーソングライターで、純情そうな、内気そうな感じが雰囲気合ってると思われてるらしい。そうそう都合よくいかないでしょう
 意外なのはフォークロック「有一首歌」。今まで歌ったことないタイプの曲だが、高音部で切ないフィーリングが出てくる彼の声には実は合ってたのかも。これからも歌ったら面白そうだ。
 最後の1曲、「絶頂愛情」はスローなジャズで渋い大人の声のお父さんとデュエット。歌っている二人も幸せで、聴いているこちらも幸せになれそう。いいな、こんな父と子。
 発売間際なのにアルバムタイトルが決まっていないなんてニュースもどこかで読んだが、「春・夏・秋・冬」は「過雲雨」の歌詞に出てくる。アルバム全体にもぴったりのタイトル。変な言い方だが、“他流試合”をしたことでボーカルに深みが出て、全体に垢抜けて、商品として格段に質が高くなったと思う。ますます活躍してくれそう
春・夏・秋・冬 @YesAsia.com

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昔のアルバム出ています

2006年04月04日 15時16分22秒 | CD紹介
 最近香港で、かなり前に発売されたCDの再発売がブームになっているようだ。復刻版ならぬ復黒版と呼ばれる。(刻と黒の発音が同じで、昔のLPレコードの黒にひっかけているらしい。)移籍して去っていった歌手の古い曲のベストを、元の所属会社が出すのはよくあったが、昨今は古い版権を元々持っていたレコード会社から買い上げて発売していると思われる会社もある。
 蘇永康のデビューアルバム「失眠」と2ndアルバム「不要離開我」も、先ごろ再発売された。発売元はNew Century Workshop(HK)、蘇永康のほかに林憶蓮や倫永亮、夏韶聲などの昔のアルバムを再発売している。林憶蓮の「野花」なんて名盤の復活はちょっと嬉しい(^^)
 ちょっと気になるのは、再発売の場合、歌手本人に印税などの収入がちゃんと入るのか?ということ。それと、発売前に歌手の承諾は取っているのか? まあ、一般に版権は歌手本人じゃなくてレコード会社が持ってるから、いちいち承諾は取らないかもしれないが、、、。蘇永康の再発売も、多少は彼の収入になってくれるならいいんだけど。
 写真の李聖傑は香港じゃなくて台湾だが、02年の東方魅力からのデビュー盤よりさらに前の、99年の幻のデビューアルバム再発売。ロックレコード移籍後のヒットを受けて、版権を持っていた会社が出してきたようだ。全体の雰囲気は02年のアルバムに近いかも。曲によってはちょっと“ムード歌謡”っぽくなってしまうが(笑)、大人のポップスで悪くないと思う。なんで99年には売れなかったんだろう? 99年といえばJay周杰倫がデビューした年で、たしか同じ新人発掘番組に出ていたと聞いている。タイプが全然違って、同時期のデビューなら両方が売れてもおかしくないのに~と思うけど、売れる売れないは水物というか、時の運みたいなものがあるんだろう。
 それから、発表当時に聴いてもあまりいいと感じられなかった作品が、後の作品を聴いてから聴くと、よりわかりやすくなっていい印象を持つこともある。「痴心絶對」や「手放開」を聴いた後だからかえっていいのかも。(実をいうと、蘇永康の「不要離開我」もその口で、次の「生命色彩」を聴いた後でよかった。先に聴いていたら好きになれたかどうか微妙^^;)
 李聖傑はこの時期、英語名をPete Leeとしていたようだ。Sam Leeに変えて少し運が向いてきたかな? 香港だと李燦[王/深-シ](王編に深の右側、以前は李燦森だった)と間違われそうだけど^^;
 昔のアルバム再発売は、楽曲が資料としても受け継がれていくような気がするので、悪くないと思う。たとえ動機は「売れたら儲けもの」ってことだったとしても。
Cold Coffee @YesAsia.com
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コンピレーション「自作自樂」(香港)

2006年03月16日 03時36分21秒 | CD紹介
 発売前に紹介したが、聴いた上での感想を改めて。
 最初は、「まあ、こんなもんかな」と思った。やはり、歌うことを専門にしている歌手のようにはいかない。声量が乏しかったり、音程が不安定だったり。けれども、なんとなくまた聴こうかな、という気分になる暖かさがある。
 ダントツ歌が上手いのは馮翰銘。ソロでもCD出せるんじゃないの?と思うくらい、甘い魅力のある声だ。金培達は先ごろベルリン映画祭で銀熊賞(「イザベラ」で音楽賞)を受賞蘇永康も出演している「星願」でもバックで少し歌っているそうで、味のある低音だ。鼻歌のようにEric Kwokが歌う「夕陽無限好」は、詞がなくてもその楽曲の良さが伝わってくることに驚く。
 出版された歌と、歌い手の男女が逆になっている歌もある。馮穎は麥浚龍(ジュノ・マック)に提供した「雌雄同體」を、徐繼宗は薛凱(フィオーナ・シッ)が歌った「男孩像イ尓」を歌っていて、それぞれ雰囲気悪くない。
 かつて歌っていた張佳添(元・黒盒BlackBox)や徐偉賢は、また自分でもたまには歌ってほしいと思わせる。シンガーとして活躍中の王[艸/宛]之、藍奕邦はさすがの歌唱力。王[艸/宛]之の歌は、気のおけない女友達とお喋りしているようなリラックスした気分にさせてくれる。藍奕邦の「斷尾」は、オーソドックスなバラードの劉浩龍バージョンとはまた違った、ブルースのような感覚だ。
 実は、全ての曲で作曲者本人が歌っているわけではない。Demoテープの歌を録音するという仕事もあるのだ。歌手をめざして修行中の人、趣味でやっている人、さらには歌の授業の一環として録音した人(張繼聰)もいる。プロの歌手ではないが歌の作り手でもない人たちの歌が、案外よかったりする。歌手が歌うときにつける色みたいなものがなくて、素材としての歌が強く感じられるせいだろうか。たまたま好きじゃない“色”の歌手が歌ったせいで食わず嫌いだった曲を見直した。Demoやコーラスの仕事をする一方で、自分のCDもたまに出すなんて活動スタイルもいいんじゃないだろうか。
 ジャケットに、Demoテープがどんな段階を経て実際の歌曲として世に出ていくかが説明されている。レコード会社が歌手の要望にあわせてDemoを選別、テープで使われた歌詞は歌手のイメージに合わせて別の詞が当てられることも多い、など。Demoの詞がそのまま採用になる場合もあるが、出版されたほうの詞と比べるのも面白い。Demoの詞と出版される詞が違う言語(広東語⇔北京語など)になることもあるようだ。
 Yahoo!音樂でこのアルバムのメイキング特番MVが見られる。何人かの作曲者たちが出演して、自分の音楽について語っているので、広東語がわかる方はぜひ見てみてください。
自作自樂 @YesAsia.com
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曹格「格格blue」(出身:マレーシア 活動:台湾)

2006年02月09日 03時57分12秒 | CD紹介

 なぜか会員になっている台湾のラジオ局HitoRadioのメルマガから見たMV―街中を歩きながらアカペラで歌う―がよかったので、さっそく注文してしまった。昨年ヒットした光良のアルバム「童話」で「少年」をデュエット、曲提供の実績多数。MVでは骨太な感じだったが、いざ聴いてみるとけっこう繊細なボーカルだ。
 9歳のときに「Superwoman」を聴いたのが音楽を志すきっかけだそうで、1曲目にそのカバーをもってきた。英語のオリジナルの歌詞が女性の立場から「私はsuperwomanじゃないの、もっとちゃんと愛して」と歌っているのに対し、空気のような存在だった女性に去られ(かけ)、「僕が悪かった、帰ってきて」と歌うアンサーソングになっている。すごい高音のファルセットも使い、思い入れを全部ぶつけている感じ。(少し前にどこかでこの歌のカバーを聴いたような・・・と思っていたら、鄭秀文が「Sammi vs Sammi」で歌っている「多得他」だった。こちらは「恋は終わったけれど彼のおかげで一人で生きる勇気が出た」みたいな詞になっている。オリジナルは王[雨/文]で初出は90年「YOU'RE THE ONLY ONE」。)
 これ以外は全曲自作曲で、自作詞も2曲ある。プロポーズソング「世界唯一的イ尓」は甘~く聴かせ、「情人節快樂」は許されない恋の一夜の逢瀬を切な~く聴かせる(マレー語の低いモノローグが南っぽくて面白い)。「Fall in love」はうって変わってファンキー、コーラスを従えて堂々たる歌いっぷりだ。「笑我笨(バカだと笑って)」「沈黙玩具」の振られてもあきらめられない情けない男ぶりに対し、「燭光晩餐」「數到五答應我(5数えたら答えて)」の自信たっぷりの口説きぶりとがらりと変わる表現もばっちり。いかにも中華風な「姑娘」なんかを入れるのは、マレーシアで育った華人の、中華への憧れみたいなものだろうか。「I believe I can fly」と決意表明(?!)の「刮目相看」で終わる。
 のどの奥をヒクッと鳴らすような音や本来伸ばす音をブチッと切る発音は、周杰倫や林子良がよくやるのと似ている。一気に声を出さないで、ちょっとじらすように出してくるのが特徴かも。発音は南方系だが丁寧で、ベタな歌詞もまじめに歌ってくれると説得力が出てくる。やっぱり言葉を大切に歌うことは大事だよね。
 プロデューサーの[シ余]惠源は、張恵妹や齊秦・齊豫などと組んできたベテラン。うちの長男のお気に入り[台阝]正宵「一千零一夜」も彼のアレンジだった。さらに懐かしい名前は、プロデュースとコーラスに参加の永邦。04年にカバーアルバム「REFILL」で張國榮の「追」を歌っていた。彼のMVは、ストーリー性があって心にしみる映像なので好きだったのだが(なぜか歌手本人は脇役)、新譜が全然出ないのでどうしているかと思っていた。音楽業界にいるのなら、またどこかで出てきてくれるかも。
 満を持してのデビュー、ロックレコードから売り出している最中だが、実は以前にデビューしたことがあるようなのだ。ワーナー台湾のサイトによると、2001年11月の第1屆金曲紅人獎で大馬區最有潛質新人獎に黄國俊とともに選ばれている、らしい。試聴サイトで検索したら、正規版かどうかはわからないが、それらしいCDのジャケが出てきた。今の姿を見てしまったあとでは、似合わないとしか言いようがない茶髪 「笑我笨」はその幻のデビュー曲らしい。。。実は2度目のデビューだとすると、「刮目相看」の決意表明は深い意味を帯びてくる。
 ジャケや歌詞カードの写真を見ると、過去はすっかり捨ててきた感じだ。タバコは吸ってるわ(それもかなり短くなるまで)、背中にタトゥーは入れてるわ(本物かフェイクか知らないが)、絶対アイドル路線ではない(JJ林俊傑あたりがやったら、ファンに泣かれてしまう^^;)。
 音域が広いのが自慢らしいが、低音でスローだとちょっと弱いので、そこを強化すればかなりいけると思う。声のためには、タバコはほどほどにね~。じっくり成長を見守らせていただきます
格格blue @YesAsia.com

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<予告編>コンピレーション「自作自樂Demo Project」(香港)

2006年02月04日 02時48分46秒 | CD紹介

 発売前だが紹介してしまう。曲目と歌い手の名前を見ているだけで、よだれが出そうなんだもの
 香港の音楽クリエイターたちが、ほかの歌手に提供してヒットした曲を自分で歌っている。自身が歌手としてアルバムを出している人もいるし、バックボーカルをよくやっている人もいるから、歌わせても上手いのは不思議でもなんでもないだろう。Demo形式なので、知れわたったオリジナルタイトルとは違う曲名のものが多い。
 主だった曲と歌い手をあげると、、、歌手としても活躍している人では王[艸/宛]之で鄭秀文の「戀上イ尓的床」、藍奕邦で劉浩龍の「斷尾」、Eric Kwokで陳奕迅の「夕陽無限好」、張繼聰で古巨基の「必殺技」など。最近は表に出てくることが少ない張佳添(黒盒BlackBoxというグループで活動していた)や徐繼宗(星盒子Boxxというグループにいた)の名前もあるし、アレンジやプロデュースでおなじみの馮翰銘や金培達も味わい深いボーカルを聴かせてくれている(馮翰銘・金培達・謝杰の3人の歌はYahoo!雅虎香港・音楽で試聴できます)。きわめつけは雑誌や新聞に音楽評を書いている柳重言が許志安の「今年没聖誕」を歌っている。どんな歌になるのか、気になるぞ~! なんだか全曲オリジナルと聞き比べてみたくなってきた。
 台湾では同じような企画のコンピレーションが何枚か出ているが、香港では初めてじゃないだろうか? BEYONDの黄家駒の事故死をきっかけに、それまで安易なカバーに頼っていた香港音楽業界で、オリジナルを大切に創造することをより評価しようという流れが出てきていたが、ここへきてはっきり目に見える形になってきた気がする。ああ、発売が待ち遠しい

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何韻詩「梁祝下世傳奇」(香港)

2006年01月18日 04時16分50秒 | CD紹介

 「梁山泊與祝英台」という中国伝統の物語がある。東晋(317年~420年、今の南京に都をおいた王朝)の浙江に祝英台という娘がいた。女性が学校に入ることを許されなかったため、男装して杭州の学校へ。会稽から来た学生、梁山泊と親しくなる。3年間共に学ぶが、梁山泊は祝英台が女だと気づかない。学業半ばで故郷に帰った祝英台を2年後に訪ねて初めて女だと知り、梁山泊は結婚を申し込むが、すでに嫁ぎ先が決まっていた。(この時代、もちろん親の意向で決められたことだろう。)悲しみのあまり死んでしまった梁山泊の墓のそばを祝英台の花嫁行列が通りかかかったとき、突然大風が吹き、墓が割れた。祝英台は自ら墓の中にとびこみ、梁山泊と共に葬られることを選ぶ。やがて墓の中から2匹のの蝶が出てきて、いっしょに飛んで行きましたとさ・・・
 中国人なら誰でも知っている有名な話で、越劇(浙江・紹興あたり)・川劇(四川)・粤劇(広東)などの伝統演劇の演目にも入っている。映画にもなっていて、63年にショウ・ブラザースが黄梅調(歌あり踊りありの伝統演劇をそのまま映画にする手法)映画で制作。最近では94年の徐克(ツィ・ハーク)監督、呉奇隆、楊采[女尼]主演の「梁祝」がよく知られている。03年にはアニメも作られ、蕭亞軒、劉若英、呉宗憲が声を担当したそうだ。(以上は維基百科を参考にしました)
 昨年、この題材を現代に置き換えたロック調のミュージカル「梁祝下世傳奇」が上演され、その主役を何韻詩(デニス・ホー)と周國賢(エンディ・チャウ)が演じた(でも何韻詩の役は祝英台じゃないらしい)。このアルバムは、そのミュージカルをコンセプトに作られている。それでイントロが「蛹(さなぎ)」アウトロが「蝴蝶結(蝶結び)」と、各曲のタイトルもストーリーを踏まえたものになっている。ピアノだけでドラマチックに物語の幕を開ける「化蝶」、歌謡曲調の曲で色っぽく迫る「不是吟詩的時候」、力強いロックの「長不大」、ヒットした「汽水樽裡的珈琲(ソーダ瓶の中のコーヒー)」はどこかトランスジェンダーを仄めかす歌詞だ。「十八相送」は伝統演劇「梁祝」の名場面の一つで、梁山泊が祝英台を送ってゆくシーン。歌詞の内容もそれに合わせて、家まで送っても別れがたい二人の話。「勞斯・莱斯」は男同士の恋愛を示唆する歌詞(黄偉文作詞)だが、TVBのMVではさすがにそのままの内容では放送に問題があると思われたのか、男の子とボーイッシュな女の子の話になっていた。伝統楽器の笛を使った、メロディの美しいこの曲は、2005年度十大勁歌金曲の一つに選ばれた。ちなみに勞斯莱斯はRolls-Royceの音訳。
 ロックのサウンドにオーケストラやストリングスをからませたテンポの速い曲があるかと思えば、ピアノ一台のバラードや軽いジャズ風と、いろいろなタイプの曲調をしっかり歌いこなしている。新人の頃から独特の風格がある子だったけど、ますます貫禄が出てきて、安心して聴いていられる。96年の新秀で優勝したところは見てないが、梅艶芳に可愛がられていたようだ(ちょっとボーイッシュなところ―イメージも性格も―アニタに似てるかも)。梅艶芳の最後のコンサートでは、草[虫孟]許志安たちと一緒にゲストで出て、ステージ狭しと走り回っていた。2004年の7月から約半年間、それまでずっと録画だったのを全て生放送することにして話題になったTVB勁歌金曲の司会を務めた。
 一昨年、EMIから東亞に移籍後、制作に自身が深く関わるようになって、より彼女らしさを出せるようになった気がする。これからもっと人気が出てもいいと思う。
梁祝下世傳奇 @YesAsia.com

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李崗霖「祈祷」( 台湾)

2006年01月04日 01時15分33秒 | CD紹介

 李崗霖(アレックス・リー)のデビューアルバム。試聴もせずに買ったがジャケ買いではない(そんなにイケメンでもない^^;)。淡水の古跡でのイベントで蘇永康といっしょになった時、「憧れの蘇永康を目の前で聴けて嬉しい」とコメントしたのを読んで、蘇永康に憧れる子がどんな歌を歌うのか、聴いてみなくちゃ!と思って、買ってみた。
 1曲目の最初の一声から、蘇永康が好きというのがわかる気がした。なんか、息づかいが似ているような・・・。やや濁りが入ってる声だがそれが却って魅力。韓国ポップスのカバーが6曲。自作曲3曲、ロック系女性アーチスト趙之璧の名前もある(懐かしい・・・元気かしら)。メインのプロデューサーは中華系でアレンジは韓国人、ソウルと台北で録音。全体にK-POPっぽい雰囲気があるが、韓国人が韓国語で歌ったらくどくなりそうな曲も、すっきりと気持ちよく聴ける。聞きとりやすい北京語の発音がすんなりと歌詞の世界をイメージさせてくれる。歌い方は案外、日本のバンドのリードボーカルにありそうな感じかも。(それでなんとなく親しみが持てるのかな?)
 最後にアルバムタイトル曲のピアノ演奏(カラオケではない)が入っている。なんと演奏しているのは、韓国の有名なプロデューサー、キム・ヒョンソク。私がK-POPで一番好きなソン・シギョンのプロデューサーだ。より良い音を求めて、音楽人はひょいひょい国境を越えていく。これからもこういったコラボレーションは増えていくだろう。
 次もこんな雰囲気でいくのか、また違うイメージを出していくのか。順調に伸びて欲しいと思う新人がまた出てきた。
祈祷 @YesAsia.com

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方大同「Soulboy」(出身:ハワイ 活動:香港)

2005年12月21日 17時14分01秒 | CD紹介

 方大同、英語名はKhalil Fong(カリル・フォン、でいいだろうか)。この人も十一狂潮Cyber Liveで見た。張繼總(ルイス・チョン)、葉宇澄(ユージン・イップ)とのセッションがとってもよかったので、それで名前が記憶に残っていた。最近、チャートに名前が出始めたと思ったらアルバムリリース。年末賞レースに名乗りを上げてきた。このジャケット写真ではジェントルな雰囲気だが、歌詞カードにはティアドロップのサングラスにキャップでヒップホップなイメージもある。
 全曲、北京語。ほとんど自作曲。作詞も6曲。ひとことで言うと、R&B。サウンドは、陶か王力宏を思わせる。単語の途中に息継ぎを入れる独特のリズムは、デビュー当時の周杰倫を思いださせ、自分でコーラスを重ねていく音作りは林子良のようでもある。・・・今までなら、間違いなく、台湾デビューするタイプだ。だいたい、全曲北京語なんだし、、、? が、「Prologue」では、英語・北京語・広東語の3言語ボイスオーバーでしゃべっている。十一狂潮でも広東語で曲紹介してたし、広東・香港に何らかの縁があって(両親のどちらかor祖父母の誰かの出身地とか)、あえて香港でデビューすることにしたのかもしれない。また、台湾でデビューしたらただの2番煎じ扱いされかねないが、香港だったら新鮮な印象を出せると読んだかも。
 先行オンエアした「妹妹」はノリのいいR&B。「春風吹」は一人アカペラコーラスに軽く打ち込みを合わせている。「毎天毎天」はスローなドゥワップ、「叫我怎麼説」は同じ音・フレーズを繰り返しながら徐々に盛り上がり、クールなボサノバ「哪怕」はロマンチック。「南音」では敬愛するStevie Wonderに重ね合わせて盲目の二胡奏者・Ah Bing(漢字は書いてない)を題材にしている(ストーリー性豊かな詞は林夕)。「趕場」ではストリングスを使ってブルーなムード、最後は懐メロ「等著你回來」を叩くアコースティックギターとスクラッチ、ハンドクラップでファンキーに決めてくれる。全体に工夫は凝らしているが作りすぎてない音で、すっきりしていると思う。
 Hidden Trackにはラジオドラマ風の会話が入っている。場面は学生街のカフェテラスらしきところ。
「ここ、空いてます?」
「空いてますよ、どうぞ」
「何飲んでるの?」
「・・・カプチーノ」
「本読んでるの?」
「復習してるの」
「今日は日曜日なのに?」
「明日試験があるから」
「試験か、、、僕はリラックスしてるよ」
「フフフ」
「君の名前、あててみようか」
「いいけど?」
「ええと、、、アシュトリー」
「え?どうしてわかったの?私のこと知ってたの?」
「違うよ、そこの本に書いてあったから」
「なぁんだ(笑)で、あなたは?何ていうの?」
「うーん、、、言いにくいんだよね」
「何それ、そんなにすごい名前?言ってみて」
「うん・・・Khalil」
「え?何?」
「Khalil」
「カ、リ、ル?」
「まあそんなところ、、、Khalil」
 この会話を聞くかぎり、広東語は日常会話に問題はないようだ。広東語詞の曲を入れてもよさそうだが入れなかったのは、何か方針があるんだろうか? 自分の曲には北京語詞が合ってると思っているのか、あるいは歌だとちょっと自信がないのか。作詞もできるということは、北京語は学校でちゃんと習っているのかもしれない。
 いずれにしろ、このサウンドと北京語詞のアルバムをひっさげて香港でデビューしたことに、彼と香港ポップス界の両方に大きな意味があるような気がする。

<追記>
 プロフィールや雑誌インタビューによると、お母さんは香港人で、上海に住んだことがあるとか。英語→北京語→広東語の順にできるそうで、お母さんとの会話は広東語が多めとのこと。「R&Bには北京語の響きが合う」と考えて北京語を選択したとか。頷ける気がする。
Soulboy @YesAsia.com

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側田「JUSTIN 」(香港)

2005年12月14日 02時17分20秒 | CD紹介
  “Do you wanna hear Kei-jai sing~”
 今年3月の古巨基のコンサート。古巨基が衣装替えに引っ込んだところで、コーラスのメンバー(男性2人、女性2人)が舞台に登場。男性の一人が朗々と歌いだした。あとの3人がコーラスで合わせ、アカペラでしばらく歌っているうちに古巨基が再登場、何曲かコーラスメンバーといっしょに歌った。あとでメンバー紹介の時、「Justin、Justin、I love you~」なんて基仔が歌いながら紹介していたJustinが側田だとわかったのは、さらに後のことだった。
 名前を見て日本人かも?と思っていたが、十一狂潮Cyber Liveに出たところは、どう見ても香港人(笑) なんと、側田はJustinの広東語読み音訳(ぢゃってぃん)なのだ。姓はLo。プロフィールによるとアメリカ育ちの29歳。
 元々、雷頌徳のチーム・On Your Markで作編曲やバックバンドにコーラスと、“幕後人”として活躍。特に古巨基に提供した「大雄」や「傷追人」などが大ヒット。古巨基のコンサートで彼を見てその才能を評価した黄柏高(パコ・ウォン)と契約、ソロ歌手デビューの準備が始まったらしい。夏から秋にかけて「好人」「Erica」などが先行オンエア。他の歌手に提供した曲も次々ヒットして、かなりの知名度になったところで待望のアルバムリリースとなった。初日に1万5千枚売り上げたという話で、昨今の香港ではありえないくらいの売れ行きに、来年コンサートを開く企画まで始まってしまった。アルバム1枚しか出していない歌手が香港コロシアムでコンサートをしたら、さすがに史上初
 CDを聴くと、べらぼうに巧い。11トラックのうち6トラックが自作曲で、プロデュースしている曲もある。雷頌徳のチームなので、雷頌徳プロデュースが多い。コーラスも全部自分でこなしていて、メロを歌うときの主役らしい華やかな歌い方と、コーラスの役割をこなす歌い方が、きっちり歌い分けられていて、クレジットを見るまで全部自分でやっているとは思わなかった。声自体は甘いバリトンで、ものすごく個性があるというわけではないが、曲によって少しずつ声の出し方を変えたり、とにかくversatile(芸達者)な歌い手としか言いようがない。ミニー・リパートンの「Loving you」とアーヴィング・バーリンの「White Christmas」を入れるあたり、季節感もあってハートウォーミングなアルバムになった。
 このCDを聴く限り、アルバム1枚しか出していなくてもコンサートの1回や2回できるかもしれないと思う。曲を提供した歌手がゲストで出てくれれば盛り上がるし、洋楽のカバーをうまく入れれば曲数も稼げるし。実現したら香港まで見に行っちゃおうかしら
 ところが、ファンの声をネットで見ると、「“作状”(わざとらしい)で好きじゃない」という人たちもいるようだ。なるほど、あまりにも職人的に巧すぎて、かえって歌手の個性というか、素の部分が見えなくてつまらないのかもしれない。今までこういうタイプの歌手は香港にいなかったから、聴き慣れなくて落ち着かないかな。将来伸びそう、大化けしてスターになりそう、という新人らしい雰囲気もあまりないかも(應昌佑あたりと比べてしまうと、そんな気がする)。じゃあ、どうする?
 シンガーとして飛躍するなら、あえて自作曲を入れずに全曲他人の曲で構成するアルバムを作るとか(On Your Markの連中と一時的に離れるとか)してみるのも手だと思う。(張敬軒も一度やってみてほしい^^;) これだけヒット曲を作ったら作曲の依頼も当分忙しいだろうから、普通の歌手より間隔を置いて高いクォリティを維持したアルバムを忘れた頃に出すのがいいかも。幕の“前”に出てきたけれど、あんまり宣伝活動は好きそうじゃないし、演技系の仕事も似合いそうにないから、幕の“後”と“前”を行ったり来たりしながら、好きな音楽を作っていくのがベストかな。(雷頌徳の真似して映画に出たりしなくていいからね~)
 香港でこんなアーチストが出てきて売れたということは、絶対大きな変化の第一歩だ。そういう意味でも、2005年は意味のある年になると思う。
Justin @YesAsia.com

<追記>
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コンサートCD
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應昌佑「CHARLES」(香港)

2005年12月10日 00時24分30秒 | CD紹介
 後に“あの2005年”と特別な意味を込めて呼ばれるようになるんじゃないかと思うくらい、今年の香港の新人は凄い。実力があって人気も出そうな、ビッグなアーチストに育ちそうな歌手がぞろぞろ。激戦が予想される賞レースを前に、まだCDを出していなかった歌手たちが、ここ数週間で続々リリースしてきた。
 その中の一人、黎明の東亞唱片所属の應昌佑(チャールズ・イン)。女性新人の衛蘭(ジャニス)と並んで、黎明の秘蔵っ子としてコンサートで歌わせてもらったり、映画のサントラに参加したり、じわじわと売り出してきた。私はネットでイベントを見るで紹介した十一狂潮Cyber Liveで見て、デビューを楽しみにしていた。
 先行オンエアは衛蘭をフィーチャーした「24」。側田の軽快な曲に、衛蘭の声とのからみが可愛らしくてぴったり。弦楽アンサンブル風アレンジの「怎會失戀」はオーソドックスに力強く、「逢星期四」はグルーブ感たっぷりに歌いこなす。(これも側田の曲で、高音と低音の間ではずむようなメロが広東語のリズミカルな響きを引き出している。)
 私が思わず狂喜乱舞したのは「不能愛戀 只能暗戀」。夢飛船DreamzFMの「不値得」カバーだった(^^) この曲は夢飛船の2ndに収録されていて、制作発売のHypeRecord公式HPによれば、シンガポールローカルのチャートで1位になったらしい。聞き比べたらキーをほとんど下げることなく、ファルセットにそれほど苦労もせずに歌っているのがわかる。オリジナルは林毅心のファルセットに3度上と下のコーラスで挟んでいるが、應昌佑はオクターブ下にコーラスで厚い音にしていて、それでもファルセットのメロがびくともしないのはたいしたものだ。「愛してくれないなら僕の心の中だけで愛してる、それなら失恋することはない」という林夕の詞も含蓄があって面白い。それにしても、おそらくシンガポールでしか知られていない曲をどこから探してきたのか、、、アルバム10曲の内7~8曲がカバーという時代は、世界中どこからでもいい曲を調達していたけれど、今はそういう時代じゃないし。プロデューサーが雷頌徳なので、蘇永康あたりからの情報かな?(梅艶芳と夢飛船の曲をカバーして以来、蘇永康は彼らを高く評価していて、インタビューなどで名前を挙げることも多い。ちなみに蘇永康と雷頌徳はプライベートでけっこう仲良し^^;)
 ほとんど雷頌徳プロデュースだが、最後の2曲は伍樂城と陳輝陽。はっきり彼らの曲の特徴が出ていて、プロデューサーの期待通りに歌える芸達者なところが見える。ライブで見たよりもずっと声量もあれば音域も広いので、将来は音楽劇やミュージカルなんかに出ても面白いかも。
 ところでこのアルバムはMV4曲入りのAVCDなので、Bliss「We Are」に書いたように、いつも使っているプレーヤーでは再生できない。普段次男に貸している古いCDプレーヤーを取り上げて聴いたが、さすがに古くて時々音がとぶ^^; 新しいの欲しいけど、AVCDを持っていって片っ端から試聴して、AVCDが再生できるのを買わなきゃ(今後も香港はAVCDが出るだろうし)。今の日本で発売されてるものではダメだったらどうしよう。香港までプレーヤー買いに行く?!
應昌佑Charles @YesAsia.com
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王[艸/宛]之「ivana王[艸/宛]之」(香港)

2005年11月03日 04時45分11秒 | CD紹介
 ふと気づいたら、CD紹介で紹介したCDは全部男性アーチストのアルバムばかりだった。いい加減に女性アーチストの作品も紹介せねば!というわけで栄えある(?!)第1号は大豊作の評判が高い今年の新人のひとり、イヴァナ・ウォンのデビューアルバム。名前の真ん中の字は草かんむりの下に宛と書く。
 プロフィールによると、2000年のCASH流行曲創作大奬を受賞した後、張學友鄭秀文許志安薛凱など、多くの歌手に楽曲を提供。作詞、作曲両方こなし、広東語のみならず北京語の詞も書ける。曲もきれいだが歌詞も丁寧に韻を踏みつつストーリー性があって、独自の世界にひきこまれる。藍奕邦の女性版と言ってもいいかも?
 声は細くて高い、中華圏の女性歌手によくあるタイプだが、キンキンうるさくなくて、柔らかい、優しい感じ。こう書くと「癒し系」に分類されそうだが、それだけでじゃなさそうだ。声量はそれほど大きくないが、いっぱいいっぱいな感じではなく、余裕があって安心して聴いていられる。ボサノバ風の曲なんかとっても爽やかで気持ちいい。曲調や歌い方は王菲を彷彿とさせるものがあるが、よく聴くと違う。王菲はちょっと投げやりな声の出し方をする部分があって、そのレイジーなムードが魅力のひとつだけど、イヴァナは一音一音、包み込むように歌っている気がする。全曲自作で、どの曲も自分の子どものように、大切に世に送り出しているんだろう。その音楽への愛情が曲に乗って聴く者の心に響く。
 ミュージシャンは案外いろいろなタイプの人が参加。Jim Lau、劉志遠、Alex Fung、ギターのDanny Leung、ドラムのMelchior Sarreal、プロデュースにはベテラン金培達や、Invisible Men(たぶん陳奐仁のこと)の名前もある。上質の素材(楽曲)はどんなシェフ(ミュージシャン)が料理してもばっちり、なんだろう。
 発売は5月なのですっかり紹介が遅れてしまったが、このタイミングで紹介する気になったのは、アルバムには収録されていない新曲「手望」がヒットしたから。そして、同じ曲でタイトルを「守望」と変えたバージョンで、張敬軒をフィーチャー! これはぜひぜひ聴いてみたい・・・商業電台の会員の方は、903専業推介の第42週で2位にランクインしているので聴いてみてください(商業電台は有料会員じゃないとアーカイブが聴けないのが残念)。「手望」(一人で歌っている)はTVB勁歌金曲でMVが見られる。
 才能と将来性では、マジで今年の新人中一番かも。あ、ジャケに顔が出てないけど、色白で大人しそうな、地味なキャラ(アイドルじゃないからモウマンタイ)。音楽好きの人に聴いてほしいアーチストだ。こんな人が出てくるんだから、香港ポップス界も捨てたもんじゃないんだって。前にも書いたけど。
ivana王[艸/宛]之 @YesAsia.com
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劉浩龍「PAST&PRESENT」(香港)

2005年10月19日 04時42分18秒 | CD紹介

 ウィルフレッド・ラウの3rdアルバム。発売直後に注文しそこねたので、久々に某大型CD店に行ってみたのだが、2nd「Singing in the ring」しかなかった。中華系専門店に回ってみたが、「ウィルフレッド・ラウ?聞かない名前ですね、新人ですか?」と言われてしまった^^; 仕方がないのでこれまた久々に国内の通販業者さんから購入。いつもより少し高くついてしまった。
 それでもお待ちかねの新作なので、期待して聴いてみたら・・・。「何考えてんの?!」先行オンエアの2曲は別として、後半はまるでイーソン(陳奕迅)なのだ! いかにもイーソンが歌いそうな曲を次々、そうでなくてもイーソンに似てると言われている彼が普通に歌ったら、ただの贋物になっちゃうじゃないか、、、これだったら早く聴きたさに高値で買うことなかったんじゃ、、、いささか後悔
 翌日、自分の印象が自分でピンとこなくて、もう1回聴いてみた。確かにイーソンに似ている。それは隠しようもない。でも、イーソン風の曲を歌うことでかえって彼自身の特徴が見えてくる部分もあるような気がしてきた。イーソンが力で押し切ってしまうところを、劉浩龍はひとつひとつ歌っていく。イーソンだとノリすぎて“いっちゃう”ような曲も、どこか抑制がきいている。イーソンならちょっと力を抜いたように歌うスローなメロディで、劉浩龍は静かな緊張感を保っている。もちろん、歌唱力や完成度からいえば、大人と子供くらいの差があって、ちょっと難しい曲では例によって“いっぱいいっぱい”なんだけど、どこか好感が持てるのはこの緊張感のゆえだろうか。
 先行オンエアは、超お喋りの彼女に向かって「Shut Up Baby」(黄偉文作詞)。香港人はとにかくお喋りだけど、それでも男の子は女の子の際限ないお喋りについていけないらしい^^; ドラムにFunky末吉、ベースにバーベQ和佐田が参加。もう1曲はきれいなバラード「二等天使」で、曲は雷頌徳のチームにいる側田(Justin)。昨今、ソロ歌手としても活躍しているが、この曲でメロディメーカーとしても実力を見せている。発売後にチャートインしてきたのは、1作目からずっと参加の藍奕邦作「戦友」。男の友情の歌かと思いきや、恋人というよりいい仲間で、やがて別々の道を歩むようになった女友達に捧げる想い、という歌詞だ。VCDのMVには陳文媛(ボボ・チャン)が出演。もしかして劉浩龍自身の体験?と思われるストーリーは、彼女の勧めで歌手コンテストに応募したり、デモテープを作ってレコード会社に持ち込んだり。最初と最後に、商業電台の新人賞を受賞したときの実際の音声が使われている(「金賞、、、劉浩龍!あなたよ、ずっと待ってたんでしょ」というプレゼンターの言葉が長い下積みの苦労を思い出させ、涙声の「これからも頑張ります、ありがとう」にじーんとくる)。
 雷頌徳プロデュースの「94340634」は、夜中に彼女が電話している相手(恋敵)の電話番号。94は「九死」、34は「心死」、06は「零落」「令落」を連想させる。今にも心が破れそう、みたいなイメージだろうか。愛称を再び曲名に使った「師兄急轉彎」は「Shut Up Baby」と同じくJames Tingのファンキーな曲で、歌詞は農夫。これもファンキー末吉とバーベQ和佐田参加でノリノリ。
 最後の2曲は北京語で、オリジナルの「很久没見」と「戦友」北京語版の「好兄弟」。北京語もだいぶん歌い慣れてきた感じだが、発音は未だにちょっと不安定、、、ネイティブのようにできなくてもいいが、同じ音はいつも同じように発音できるようにならないと、安心して聴いていられない^^; 広東語のようにLとNが混ざるのはやはり美しくないし、「作」と「走」が同じ音になってしまっては変だし。「自己」なんか、そんなに難しい音でもないと思うんだけどな~。(もっとも、香港人にとって北京語の発音は難しいらしく、北京語の先生たちが「発音だけなら日本人のほうがマシかも」というくらいではあるが・・・)頑張って練習しようね
 あえてイーソンと同じ土俵(?!)に立ってしまった劉浩龍。もしかして、イーソンは嫌いじゃないけどちょっと重い、濃いと感じているファンを、すっきり感と隣のお兄ちゃん的な親しみやすさ、カラオケで歌えそうなメロで取り込もうという作戦だろうか。この作戦はどこまで成功するのか? 映画やドラマにもぼちぼち出始めたが、演技力でもイーソンを越えられるか? 今度映画のDVD「擁抱毎一刻花火」注文しよっと。
PAST & PRESENT @YesAsia.com
 

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林海峰「三字頭」(香港)

2005年10月16日 05時32分32秒 | CD紹介

 カタログの写真ではわからなかったのだが、ジャケットの透明カバーをはずすと、緑色の地はなんと人工芝。実はこの人、サッカー好きで、ミニサッカーの大会を開いてしまうくらい。歌詞カードの真ん中にもサッカーフィールドって一体、、、
 林海峰、英語名はJan Lamb。bがついてるのは間違いでもなんでもなくて、商売をやっていたお父さんが、ユニークで覚えてもらいやすいということでわざとbをつけたとか。姉の林珊珊は元アイドル歌手、今はプロダクション社長。ラジオDJも続けていて、蘇永康も出演した映画「星願」でもDJ役だった。弟の林曉峰もタレントで、司会が多いが役者としても鄭伊健主演の「古惑仔」シリーズに出ている。芸能一家ついでに、奥さんも歌手の彭羚
 本人は元々DJで、葛民輝と組んだ香港初のラップユニット・軟硬天師でブレイク。ソロでもユニークな企画のアルバムを出してきた。ラジオ局の幹部でもある。
 私はラップやヒップホップが好きなわけではないので、彼のCDはほとんど買ってないのだが、今回買ったのは「男子組」という曲に蘇永康が参加していたから(この曲には他に鄭中基古巨基梁漢文が参加)。MVも見たけど、5人が肩組んで歌ってるだけなのに、なかなか楽しかった。
 曲は陳奐仁(ハンジン・タン)が多いが、元・SwingのEric KwokやJeraldも書いている。恭碩良農夫(たしかインディーズ系のバンドやってる人)などの名前もある。アグレッシブすぎる曲もあるが、ちょっぴりジャズ調、ディスコ調、フォーク調や時代劇主題歌風の曲は面白い。最後の「流行曲」なんて、大真面目にバラードしてる。もっともその詞の内容がカラオケ。「歌っちゃうぞ~、ファルセットもビブラートもきかせて、感動もんだぞ~、コーラスは覚えやすいよね、いつでも歌える流行曲、着メロで歌うぞ~、ハモりをはずすなよ、もっともっと歌うんだ、金がなかったら入れるなよ、三連譜三連譜、リピートしてこのメロディ、絶対この曲賞を取るよ」・・・
 詞は全部林海峰自身で、その口調は思いっきり香港の兄ちゃんそのもの。地下鉄で電話してたり、飲茶で隣のテーブルだったり、聞こえる会話がそのまま歌詞になってるみたいだ。私にはひたすら懐かしく、俗語すぎてよくわからず このとてつもないローカル色丸出し加減は、香港人以外の人にはうけないだろうな、と思う。けれど、皮肉がきいてる歌詞の内容といい、たぶん香港芸能の伝統―香港人には懐かしい要素をうまく取り入れているような感じの曲調といい、質の高いバックの音といい、林海峰の才気が溢れている。
 さらに凄いのは、おまけのDVD。MVは3曲なのだが、ミニサッカー大会の模様だの(梁漢文も出場、本物のサッカー解説者も登場)、林海峰こだわりグッズとそれを作る職人との会話だの(この道何十年の靴屋の爺さんとか出てくる)、合計3時間半近い内容。モダンな、オールディーズな、街中の、田舎の、香港がつまっている(たぶん。まだ全部見てない!)。
 人をおちょくりながら、実は人々にエールを送ってるのかも。「流行曲」だって、“本地歌壇(香港の音楽シーン)、加油(がんばれ)!”と言いたいのかも?
 「香港芸能は最近元気がない」と評論家や業界の方々に散々言われているが、こんなのが出せる力はあるのだ。単に「日本人好みの大スターやコンテンツが出てこない」だけなんじゃないだろうか? 香港芸能界は別に日本や台湾や他の地域のために制作してるわけじゃない。香港人がいい!と思うものを作って、それがたまたま香港人にはツボだがよそではイマイチ、というだけなのでは?
 ちなみにタイトルの「三字頭」は、30代、30ウン歳、という意味だとか。本業である“しゃべくり”のトークショーを開き、大好評につき追加公演が決まった。娘に性教育する話なんか、カミさんが見に来ている前でするか? 字幕つきVCDが発売されることを切に希望するものである。
三字頭 @YesAsia.com

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何「漫遊」(中国)

2005年09月11日 00時00分29秒 | CD紹介

 名前はフー・ジォンと発音する。昨年「可以愛」でデビューしたとき、“3年ほどアナウンサーの経験がある”という話を聞いた。なるほど発音がクリアで訛りもないし、語るのと同じような暖かみのある歌い方がいいなと思っていた。今年2枚目が出て、ちょっと調べてみたら、驚きの事実が判明した・・・なんと彼は・・・アラビア語の先生だった!
 北京外国語大学のアラビア語科卒で、卒業と同時に先生(講師?)になったらしい。公式サイトの手記にそのへんの経緯が出ていた。つい最近までただの“先輩”だった人が、いきなり“老師”になったわけで、後輩はびっくりしたらしい。
 じゃ、「アナウンサーの経験」はどうなのか?というと、こちらはアナウンサーではなく「司会者」としてのキャリアが、なんと高校時代からあることがわかった。故郷の湖南省で、最初はラジオ、大学からはテレビで、今も続けている。。。ん?じゃ、北京と湖南省、しょっちゅう往復しているんだろうか?忙しそう~。それなのになんで歌手までやるんだろう^^;
 ・・・なんてことは、考えなくてもいいか。彼は歌いたくて、歌えるから、歌うんだろう。で、その歌だけど、なかなかいい。やや低めの声は落ち着きがあるけど軽やかで、フォーク調の曲によくあっている。少しロックっぽい曲でちょっとだけシャウトするのはまだ苦しいかも・・・。でも、インド風(中東風?)のサウンドにラップをのせたりするところ、アイデアも面白いし滑舌もさすが。
 作家陣は若手の実力派がそろっている。香港の林一峰達達楽隊の彭坦、最後を飾るのは胡彦斌。何が初出演のドラマ「正徳演義」の主題歌で、時代劇らしい曲。胡彦斌自身が歌ったらド演歌になるところだが(それはそれで嫌いじゃないけど^^;)、何が歌うと透明感があってこれも悪くない。
 そうそう、彼の所属事務所は蘇永康と同じ金牌娯楽。実力と人気のバランスがとれたスターを着実に売っていくノウハウがある会社だ。彼もそんなスターの一人になっていくかな?
漫遊 @YesAsia.com

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