(1)決済に日銀券だけが使われる場合・・・・実際にはこうした取引は行われないが、理解しやすい。
(ア)操作:買いオペ
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・日銀が日銀券を増刷して銀行に渡す。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・銀行が得た日銀券はマネーストックに入らないため。
(イ)操作:売りオペ
(a)マネタリーベースの変化
減・・・・銀行保有の日銀券を日銀が回収
(b)マネーストックの変化
不変
(ウ)操作:市中消化国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
不変・・・・日銀券が銀行から民間主体に移るだけだから。
(b)マネーストックの変化
増・・・・上記により銀行券が金融機関の外に出るから。
(エ)操作:日銀引き受け国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・政府が日銀券で預金を引き出して民間主体に渡すため、日銀券発行残が増えるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・上記により日銀券発行残が増えるため。
(2)決済に預金が使われる場合・・・・実際にはこうした取引が行われる。
(ア)操作:買いオペ
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・代金は銀行が日銀に持つ当座預金に振り込まれる。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・日銀当座預金はマネーストックに入らないため。
(イ)操作:売りオペ
(a)マネタリーベースの変化
減・・・・代金は日銀当座預金の引き落としで払われる。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・日銀当座預金はマネーストックに入らないかため。【(ア)-(b)と同じ】
(ウ)操作:市中消化国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
不変・・・・銀行の日銀当座預金は国債購入で減り、財政支出で増えるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・財政資金の支払いで民間主体の預金が増えるため。
(エ)操作:日銀引き受け国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・政府の日銀当座預金が減り銀行の日銀当座預金が増えることで支払いが行われるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・財政資金の支払いで民間主体の預金が増えるため。【(ウ)-(b)と同じ】
【注1】定義。
・マネタリーベース=日銀券発行残-銀行の日銀当座預金残
・マネーストック=日銀券発行残-銀行保有日銀券残+民間主体の預金残
【注2】(1)および(2)は、マネタリーベースおよびマネーストックがさまざまな操作によってどう変化するかを示す。
ただし、銀行は日銀当座預金の変化に対応して貸出を調整しないものと仮定する(調整すればマネーストックが変化する)。
なお、(1)および(2)は、次の関係が成り立つ。
・(エ)+(イ)=(ウ)
・(ウ)+(ア)=(エ)
【注3】(ウ)および(エ)の詳説。
・(ウ)-① 市中消化の国債発行・・・・銀行が保有している日銀券はマネタリーベースだが、マネーストックではない。これが政府保有になることによって、マネタリーベースは減少する。
・(ウ)-② 財政支出・・・・政府保有の日銀券が銀行以外の民間主体に保有されることによって、マネタリーベースもマネーストックも増加する。
・(エ)-① 日銀引き受けの国債発行・・・・日銀は日銀券を増刷して政府に渡すが、通貨当局内部の取引なので、マネタリーベースもマネーストックも不変。
・(エ)-② 財政支出・・・・政府保有の日銀券が銀行以外の民間主体に保有されることによって、マネタリーベースもマネーストックも増加する。
【注4】留意点。
・(ウ)①+(ア)=(エ)① ・・・・このためマネタリーベースで差がある。
・(ウ)②=(エ)② ・・・・マネーストックが増えるのはこの過程においてだ。
・マネーストックは(ウ)と(エ)で差がないが、銀行が貸出を増加させればマネーストックは(エ)のほうが大きくなる。
□野口悠紀雄『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社、2013.1)の第1章補論4
↓クリック、プリーズ。↓
(ア)操作:買いオペ
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・日銀が日銀券を増刷して銀行に渡す。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・銀行が得た日銀券はマネーストックに入らないため。
(イ)操作:売りオペ
(a)マネタリーベースの変化
減・・・・銀行保有の日銀券を日銀が回収
(b)マネーストックの変化
不変
(ウ)操作:市中消化国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
不変・・・・日銀券が銀行から民間主体に移るだけだから。
(b)マネーストックの変化
増・・・・上記により銀行券が金融機関の外に出るから。
(エ)操作:日銀引き受け国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・政府が日銀券で預金を引き出して民間主体に渡すため、日銀券発行残が増えるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・上記により日銀券発行残が増えるため。
(2)決済に預金が使われる場合・・・・実際にはこうした取引が行われる。
(ア)操作:買いオペ
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・代金は銀行が日銀に持つ当座預金に振り込まれる。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・日銀当座預金はマネーストックに入らないため。
(イ)操作:売りオペ
(a)マネタリーベースの変化
減・・・・代金は日銀当座預金の引き落としで払われる。
(b)マネーストックの変化
不変・・・・日銀当座預金はマネーストックに入らないかため。【(ア)-(b)と同じ】
(ウ)操作:市中消化国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
不変・・・・銀行の日銀当座預金は国債購入で減り、財政支出で増えるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・財政資金の支払いで民間主体の預金が増えるため。
(エ)操作:日銀引き受け国債で財政支出
(a)マネタリーベースの変化
増・・・・政府の日銀当座預金が減り銀行の日銀当座預金が増えることで支払いが行われるため。
(b)マネーストックの変化
増・・・・財政資金の支払いで民間主体の預金が増えるため。【(ウ)-(b)と同じ】
【注1】定義。
・マネタリーベース=日銀券発行残-銀行の日銀当座預金残
・マネーストック=日銀券発行残-銀行保有日銀券残+民間主体の預金残
【注2】(1)および(2)は、マネタリーベースおよびマネーストックがさまざまな操作によってどう変化するかを示す。
ただし、銀行は日銀当座預金の変化に対応して貸出を調整しないものと仮定する(調整すればマネーストックが変化する)。
なお、(1)および(2)は、次の関係が成り立つ。
・(エ)+(イ)=(ウ)
・(ウ)+(ア)=(エ)
【注3】(ウ)および(エ)の詳説。
・(ウ)-① 市中消化の国債発行・・・・銀行が保有している日銀券はマネタリーベースだが、マネーストックではない。これが政府保有になることによって、マネタリーベースは減少する。
・(ウ)-② 財政支出・・・・政府保有の日銀券が銀行以外の民間主体に保有されることによって、マネタリーベースもマネーストックも増加する。
・(エ)-① 日銀引き受けの国債発行・・・・日銀は日銀券を増刷して政府に渡すが、通貨当局内部の取引なので、マネタリーベースもマネーストックも不変。
・(エ)-② 財政支出・・・・政府保有の日銀券が銀行以外の民間主体に保有されることによって、マネタリーベースもマネーストックも増加する。
【注4】留意点。
・(ウ)①+(ア)=(エ)① ・・・・このためマネタリーベースで差がある。
・(ウ)②=(エ)② ・・・・マネーストックが増えるのはこの過程においてだ。
・マネーストックは(ウ)と(エ)で差がないが、銀行が貸出を増加させればマネーストックは(エ)のほうが大きくなる。
□野口悠紀雄『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社、2013.1)の第1章補論4
↓クリック、プリーズ。↓