語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【言葉】医療機関の危機管理 ~モンスターペイシェント~

2019年02月27日 | 社会
 近年、多くの医療機関に警察OBがリスクマネジメント対策の一環として採用されているが、その多くはリスクマネジメントを学問として勉強している者ではないのが実情だった。医療機関が彼らに期待するのはクレーマー対策、反社会的勢力対策、医療事故対策が主である。また、医療機関に勤務しても実質的に経営を掌握する理事長や院長と直接のパイプを持つのではなく、事務長やリスクマネージャーと呼ばれる者の下に配置されるケースが多かった。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017)の「第一章 政治生命」から引用

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 防犯協会、交通安全協会、警察懇話会の三団体は警察協力三団体と呼ばれる。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017) 「第二章 情報収集」から引用

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 病院内には院内交番と呼ばれる様々な相談や苦情を受理する場所がある。元々は医事課の課員が対応していたが、外来ではモンスターペイシェントが、病棟では様々な形の院内暴力が横行するようになると、医事課員だけでは対応できなくなった。
 これは川崎殿町病院だけでなく都心部で開業している多くの病院にも共通する傾向で、これを受けて各病院は警察OBを採用してその対応に当たるようになっていた。
 モンスターペイシェントとは医療従事者や医療機関に対して自己中心的で理不尽な要求、ひいては暴言・暴力等を繰り返す患者や、その関係者等を意味する和製英語である。その原因には一般人の医療知識の乏しさがあるといえるが、かつて厚生労働省が医療機関に奨励した「〇〇様」という患者の呼び出し方が、過度なお客様意識を患者に与えたという意見もある。
 これに対応するために警察OBを職員に雇うほか、暴力行為を想定したマニュアルを作成して、院内暴力の早期発見・通報のために監視カメラを設置する等の対策をとる病院が増えていた。

□濱嘉之『院内刑事』(講談社+α文庫、2017)の「第三章 院内交番」から引用
 
 【参考】
【言葉】情報マンの条件

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