語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】村野四郎「暗い雨のなかで」

2015年10月14日 | 詩歌
   悩みはしられていない
   愛は学ばれていない  リルケ

 分解された人間が
 ここまでたどった旅路の果に
 やっぱり待っていた
 この黒い死の弥撒
 海のむこうから流れてくる
 熱い物理学の雨の歌だ
 この国の女は 立て膝をついて
 くらい廂の下から
 アヤメの花をながめている
 はてしなく濡れるその紫のあたり
 ひととき ぼんやり
 顔もなければ 名前もない
 ふしぎに艶めく幻影を見るのだ

□村野四郎「暗い雨のなかで」(『亡羊記』、政治公論社、1959):第11回読売文学賞
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 【参考】
【詩歌】村野四郎「モナリザ」
【詩歌】村野四郎「芭蕉のモチーフ」
【詩歌】村野四郎「変な界隈」
【詩歌】村野四郎「塀のむこう」
【詩歌】村野四郎「さんさんたる鮟鱇」
【詩歌】村野四郎「無神論」
【詩歌】村野四郎「鉄棒(二)」
【詩歌】村野四郎「高障害」
【詩歌】村野四郎「競争」
【詩歌】村野四郎「鉄槌投」
【詩歌】村野四郎「拳闘」
【詩歌】村野四郎「棒高飛」
【詩歌】村野四郎「槍投」
【詩歌】村野四郎を読む(4) ~鹿~
【詩歌】村野四郎を読む(3) ~さんたんたる鮟鱇~
【詩歌】村野四郎を読む(2) ~体操~
【詩歌】村野四郎を読む(1) ~飛込(二)~




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