語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【独学】力が今、なぜ必要とされているか? ~学習量の足りない日本のビジネスパーソン~

2017年10月05日 | 心理
 (1)日本のビジネスパーソンは、海外と比べて圧倒的に学習量が足りない。
 侍留啓介・『新・独学術』の著者は、海外でMBAを取得後、米マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルタントとして働き、数多くの海外エリートたちに接してきた。その過程で痛感したのが、彼らと日本のビジネスパーソンとの学習量の違いだった。
 その背景は、日本と欧米の雇用環境の違いだ。
  (a)欧米・・・・仕事の内容に応じて給料を支払う「職務給」。だから能力が上がればより高い職務に就くことができ、その分給料も上がる。それ故、絶えず学び続ける。
  (b)日本・・・・個人の職務遂行能力で給料が決まる「職能給」。一般的に職務遂行能力は勤続年数で決まる。事実上、年功序列賃金だ。従って、勉強してキャリアアップしようというインセンティブが働きにくい。

 (2)だが、今や社会環境は激変している。
  (a)最も大きいのは技術革新による社会の変化だ。〈例〉フィンテック(ファイナンスとテクノロジーを掛け合わせた造語)という用語。IoT(モノのインターネット)という用語。
 ほんの数年前まで聞いたこともなかったが、今やさまざまな分野において欠かせない技術となっており、知らなかったでは済まされない。「昔取ったきねづか」にすがって生きていける時代はもう過ぎ去ってしまったのだ。好むと好まざるとにかかわらず、日本のビジネスパーソンも新しい知識・技術を身に付ける必要に迫られている。

  (b)長寿化と社会保障の先細り懸念から、高齢になっても働く人が増えているのも大きな変化の一つだ。60歳で定年となった後の「セカンドキャリア」について不安を持っている人は多い。天下りや子会社へ出向できる運のいい人はごくわずかで、ほとんどの人は新たに職探しをしなければならない。そのためには、新たな知識を身に付けたり、何らかの資格を取得したりするなど、前もってセカンドキャリアに向けた準備をしておく必要がある。

 (3)いまさら勉強といわれても、大学卒業以来、まともに勉強したことがないという人も多いだろう。そんな人におすすめなのが「独学」である。
 (1)の侍留氏は、自身の経験から「大学受験のやり直し学習が効率的で効果が高い」と語る。大学受験用の参考書や問題集は、①網羅的で分かりやすく、②値段も安い。ために、独学の教材として好適だ。

 (4)誰もが勉強しなければならない時代になったが、ポジティブな環境変化もある。ネット環境が充実し、オンラインで学習できる教材が多様化していることだ。
 ユーチューブには英語を勉強できるさまざまな素材がアップされているし、「いつでもどこでもスマホで学べる! 独学に最適のスタディサプリ」で紹介する「スタディサプリ」のように、スマートフォン上で人気講師の動画講義を受けられるものもある。
 独学の最大のメリットは、いつでも、どこでも、自分のペースで勉強できること。オンライン教材は、まさに独学にはうってつけだ。

 (5)社会環境の変化に加えて、健康面からも独学の重要性が高まりつつある。
 健康寿命(日常的・継続的な医療・介護に依存しないで自立した生活ができる生存期間)と平均寿命のギャップを見ると、介護なしに自立した生活を送れない期間を意味している。男性は約9年、女性は13年近く、何らかの介護を必要とする生活が続くということだ。
 「健康寿命を延ばすためには、脳が健康である必要がある」【瀧靖之・東北大学加齢医学研究所教授】
 認知症予防に役立つのが、勉強することなのだ。
 キャリアアップのためにも、健康のためにも、いま「独学力」が必要とされている。

□記事「なぜいま「独学力」なのか ~特集「独学力」~」(「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号)
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