(1)病気や怪我で仕事を休む場合、休んだ2日目から2週間は、給料の80%が雇い主から支給される。15日目以降は、社会保険庁から「疾病手当」が、給料の約75%支給される。
失業者、自営業者など雇い主がいない場合、2日目から「疾病手当」が支給される。
なお、8日目以降は医師の診断書が必要となる。
疾病手当は最長364日間支給される。それ以降も、職場復帰ができない場合は、医師の診断書をもとに最長550日間まで延長することができる。
(2)スウェーデンの医療は、県(ランドスティング)が担当する。病院には3段階あって、一般的には、最初、地区の医療センター(日本の保健所に相当)に行く。最近では、ドロップ・イン(予約なしの直接訪問)は廃止され、電話で事前に予約しないと時間がとれないようになった。
電話で、担当看護師が、「その程度だったら暖かくして寝ていなさい。少し様子をみなさい」と指示されることもある。
医師の診療は予約制だが、看護師には順番待ち覚悟で行けばドロップ・インで直接すぐ会ってもらえる。
医師の診断を受け、さらなる専門的医療が必要だ、と診断された場合、その医師の紹介状が県立病院か専門医クリニックに送られ、それらの医療機関から来院日時の連絡が行く。
より複雑な症状の場合、全国に7つある大学病院に送られる。
救急の場合、県立病院か大学病院へ直接運ばれるが、救急であっても待ち時間は数時間かかる。
スウェーデンでは、正式の患者として受け入れるまでかなりの時間がかかり、それに耐える体力が必要だ。また、夏には医師や看護師が数週間の夏休みをとるので、緊急手術ができにくくなる。夏は、極力、病気にかかったり怪我をしないよう気を付けなければならない。
(3)受診料は、県によって異なるが、ストックホルムの場合、地区医療センターの医師の受診料は、200クローナ(約2,400円)、専門医は350クローナ(約4,200円)、救急外来は400クローナ(約4,800円)、看護師は100クローナ(約1,200円)だ。
入院の場合、1日当たり80クローナ(約960円)だ。
年間の自己負担額には上限が設けられ、外来治療は900クローナ(約10,800円)、医薬品は2,000クローナ(約24,000円)を超えると、それ以上は無料になる(県が負担する)、
18歳未満の医療費は無料だ。
子どもの健康チェックは、子ども医療センターで行われる。多くの場合、地区医療センターの中に併設されている。子ども医療センターは自由に選べるが、登録制で、いつも同じ子ども医療センターへ行くことになる。定期健康診断などの場合、その医療センターから呼び出しがある。
歯の治療にはもっとお金がかかる。歯科医は、民間と県に属する歯科医の2種類あるが、県によって治療費の設定が違う。民間の歯科医は自由に価格を決めてよいことになっている。ただし、患者の自己負担額が年間3,000クローナ(約36,000円)を超えた場合、超えた分の半分を社会保険庁が負担する。また、年間15,000クローナを超えた場合、超えた分の85%を社会保険庁が負担する。20歳未満の歯科治療は無料だ。
歯科医も登録制で、皆、自分の好きな歯科医を選び、継続してそこに通うことになる(定期的に呼び出しがある)。
(4)出産に要する費用は無料だ。
超音波による胎児のチェック、血液検査などの出産前のケアも、出産費用も無料だ。
□三瓶恵子『人を見捨てない国、スウェーデン』(岩波ジュニア新書、2013.2)
【参考】
「【スウェーデン】税金の使い道が透明な政治 ~高い投票率~」
「【スウェーデン】いじめ防止の取り組み」
「スウェーデン関係書誌」
↓クリック、プリーズ。↓
北欧では基本、すべての診療科目が予約制である。
問診の時間を多めに取れるメリットがあるが、
その分、医師ひとりあたりの診る患者数が減るので
北欧の国々では、常に医師不足が叫ばれている。
急外来の待ち時間が半日
予約制で直ぐ医師にかかれないのであれば
救急外来へ患者が殺到するのは当然である。
明らかに異常所見のある患者が優先されるので
少々の罹患であれば延々と後回しにされる。
歯科は保険診療対象外
18歳以下はおおむね無料であるが、成人には容赦ない。
虫歯1本あたり10万円以上の治療費がかかるらしい。
人件費の安い東欧まで出かけて治療する人も多い。
北欧地域の虫歯予防が進んでいるのも当然である。
入院患者放置でストライキ決行
北欧の国々では医師も看護師も公務員が多いため
給料が安くストライキなどはしょっちゅう起こる。
命の危険がある患者には、最低限の処置がなされる。
労働者の権利が守られている国特有の現象である。
産は複式呼吸指導→生まれるまで放置
日本だと複数のスタッフに囲まれて出産するが
北欧地域ではそのような人員の余裕がない。
代わりに父親が育児休暇を取って世話をする。
おおむね出産後は1泊、もしくは日帰りで強制退院。
風邪で受診すると「寝とけ」で終わり
寒冷地域に属する国々では、風邪は日常茶飯事で
また予約して診察を受ける頃には治っていたりする。
診察拒否を受けることもしばしば、当然薬も出ない。
「風邪をひいたらコーラを飲め」が北欧の合言葉。
手術した翌日に強制退院
よほど命の危険がある場合を除いてすぐ退院。
癌や骨折、全身麻酔の有無にかかわらず強制される。
平均入院日数は日本の4分の1以下といわれる。
その代わり在宅ケアなどが充実しているのも特徴。
患者に医療機関を選択する権利がない
まず市民には必ず1人ホームドクターが割り当てられる。
日本のように最初から眼科や皮膚科へ行くことは出来ず
このドクターの紹介がなければ、専門医にかかれない。
ヤブ医者に当たった時点で実質医療供給停止状態。
有能な医師は税金の安い国へ流出
北欧の医師は公務員のため給料は安く、税金も高いため
ある程度のキャリアを積んだら外国で働くのがデフォ。
医師免許はEU圏内で共有のため流出を止める術はない。
代わりに質の低い、移民の医師が働いていたりする。