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語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】野菜は水にさらし、炒めるより蒸す ~アクリルアミド~

2016年07月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)多忙な共働き家庭の定番メニュー「野菜炒め」に発癌性がある?
 2016年2月、内閣府食品安全委員会の発表にギョッとした人も多いだろう。問題になっているのは、野菜などを高温で加熱調理したときに発生する「アクリルアミド」だ。
 アクリルアミドについては、これまでJARCなどが「人に対しておそらく発癌性がある」と指摘してきた。
 今回食品安全委員会は、日本人のアクリルアミドの平均摂取量を割り出し、発癌性のリスクを評価した。その結果、
   日本人の摂取量は海外と比べて「同じか少ない程度」で、リスクは極めて低いものの、
   「懸念がないとは言えない」
と結論づけた。

 (2)アクリルアミドはスナック菓子、パン類、コーヒー、お茶などにも含まれるが、日本人のアクリルアミド摂取の56%を占めるのは高温調理した野菜。
 むろん、野菜はビタミンやミネラルが豊富で癌の予防効果もあると言われているので、アクリルアミドが出るから摂らないというのはナンセンス。食材の準備段階と調理法の工夫で、極力アクリルアミドが生成されないようにすればよい。

 (3)アクリルアミドは、炭水化物を含む食品を120度以上の高温で調理した際、アミノ酸の一種であるアスパラギンが、ブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してできる。ポイントとなるのは120度という温度だ。似る、蒸す、ゆでる、といった水を使う調理法なら、食材の温度は120度を超えることはないため、アクリルアミドはできにくい。
 揚げる、炒める場合は、還元糖とアスパラギンを準備段階で減らすこと。
 揚げ物の場合、加熱時間は短めが基本だ。フライドポテトは軽く色がつく程度が目安。天ぷらやフライの場合は、具の部分に水分が残っている限りアクリルアミドはほとんど生成しないので、神経質になる必要は無い。
 市販のフライドポテトなどのアクリルアミド濃度も、販売業者の努力で減っている。2013年度は2006,2007年度に比べて4割以上減少していた【農林水産省の調査】。
 カリカリに揚げたり、高温で炒めたりした野菜はおいしいが、風味を損なわずにリスクを減らす方法は覚えておいたほうがいい。

 (4)炒める、揚げる場合のアクリルアミド低減策のポイント(農林水産省まとめ) 
  (a)じゃがいもは常温保存・・・・長時間冷蔵庫で保存するとアクリルアミド生成の原因となる還元糖が増加する。
  (b)いも類や野菜類は切ったあと水にさらす・・・・いもや野菜の表面から還元糖やアスパラギンを落とす効果がある。
  (c)炒める時はよくかき混ぜる・・・・120度以上の高温調理が危険。よく混ぜることで高温化が防げる。
  (d)炒めたあと、蒸し煮にするとよい・・・・水分があると高温化を防ぐことができる。
  (e)揚げる時は短時間で、色は薄めに・・・・高温で長時間になるほどリスク大。具の中の水分を飛ばさない。 

□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「野菜は水にさらし炒めるより蒸す ~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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 【参考】
【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~
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【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~

2016年07月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)流通しているハム・ソーセージには、発癌性が一部では指摘される発色剤「亜硝酸ナトリウム」が含まれている。
 世界保健機構(WHO)傘下の国際癌研究機関(JARC)は、昨年、「ハム・ソーセージなどの加工肉の発癌性には十分な根拠がある。毎日50mg食べると、大腸癌になるリスクが18%増える」と発表した。
 加工肉メーカーは、ホームページなどで次のように説明する。「肉の色を固定するほか、獣臭さを消し、ボツリヌス菌などの細菌の増殖を抑制する」
 しかし昨年、JARCの発表によって、多くのスーパーで買い控えが広がった。
 昨年10月、首都圏を基盤とする食品スーパー「オーケー」は、販売するハム・ソーセージを原則として「無塩せき」とした。「無塩せき」には、発色剤「亜硝酸ナトリウム」が使用されない。

 (2)買い控えには、JARCの分類が一部で誤解された面が強い。
 JARCは、さまざまな食品や生活習慣と癌のリスクとの関連について、「科学的根拠の強さ」に応じて、5つのグループに分けている。世界中の研究論文のうち、人に対する発癌性について「ある」と認めて論文が相当数あれば「発癌性の十分な証拠がある」としてグループ1に、動物実験で十分な証拠はあるが、人では「限定的な証拠」にとどまるのであればグループ2Aに、といった具合だ。
 今回、加工肉はグループ1に分類されたが、同じグループにリスクが極めて高いとされる喫煙やアスベストも含まれていたため、騒ぎが大きくなった。
 だが、分類基準はあくまで「科学的根拠の強さ」であって、「発癌リスクの高さ」ではない。
 発癌リスク自体は、世界の、喫煙に起因する癌死亡率が年間100万人であるのに対し、加工肉は3万4千人。決して同等ではない。
 それでも、加工肉の摂取によって癌で死亡している人が世界に年3万人以上いる。

 (3)一番気にするべきは、食べる量だ。
 JARCが評価対象とする論文の中には、大量に加工肉を食べる地域での研究も含まれているが、日本の平均摂取量は1日当たり13gと世界の中では最も低い水準だ。
 さらに国立がん研究センターが日本人8万人を10年間追跡した調査では、加工肉と大腸癌に関連は見られなかった。
 つまり、日本人の平均的な摂取量の範囲であればリスクは小さい。
 逆に言えば、日本人でもハム・ソーセージを毎日のように50g(ハムならば5枚、ソーセージなら3本、薄切りベーコンなら3枚程度)を食べる、という人は、量を減らしたほうがいい。
 日本の加工肉メーカーは、亜硝酸ナトリウムを法律で定められた基準よりはるかに少ない量しか使っていない、という。
 気になる人は「無塩せき」を使うこと。
 ただし、何より食べる分量に注意して。

□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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