語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】毎日ハム5枚は多すぎ、気にすべきは量 ~亜硝酸ナトリウム~

2016年07月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)流通しているハム・ソーセージには、発癌性が一部では指摘される発色剤「亜硝酸ナトリウム」が含まれている。
 世界保健機構(WHO)傘下の国際癌研究機関(JARC)は、昨年、「ハム・ソーセージなどの加工肉の発癌性には十分な根拠がある。毎日50mg食べると、大腸癌になるリスクが18%増える」と発表した。
 加工肉メーカーは、ホームページなどで次のように説明する。「肉の色を固定するほか、獣臭さを消し、ボツリヌス菌などの細菌の増殖を抑制する」
 しかし昨年、JARCの発表によって、多くのスーパーで買い控えが広がった。
 昨年10月、首都圏を基盤とする食品スーパー「オーケー」は、販売するハム・ソーセージを原則として「無塩せき」とした。「無塩せき」には、発色剤「亜硝酸ナトリウム」が使用されない。

 (2)買い控えには、JARCの分類が一部で誤解された面が強い。
 JARCは、さまざまな食品や生活習慣と癌のリスクとの関連について、「科学的根拠の強さ」に応じて、5つのグループに分けている。世界中の研究論文のうち、人に対する発癌性について「ある」と認めて論文が相当数あれば「発癌性の十分な証拠がある」としてグループ1に、動物実験で十分な証拠はあるが、人では「限定的な証拠」にとどまるのであればグループ2Aに、といった具合だ。
 今回、加工肉はグループ1に分類されたが、同じグループにリスクが極めて高いとされる喫煙やアスベストも含まれていたため、騒ぎが大きくなった。
 だが、分類基準はあくまで「科学的根拠の強さ」であって、「発癌リスクの高さ」ではない。
 発癌リスク自体は、世界の、喫煙に起因する癌死亡率が年間100万人であるのに対し、加工肉は3万4千人。決して同等ではない。
 それでも、加工肉の摂取によって癌で死亡している人が世界に年3万人以上いる。

 (3)一番気にするべきは、食べる量だ。
 JARCが評価対象とする論文の中には、大量に加工肉を食べる地域での研究も含まれているが、日本の平均摂取量は1日当たり13gと世界の中では最も低い水準だ。
 さらに国立がん研究センターが日本人8万人を10年間追跡した調査では、加工肉と大腸癌に関連は見られなかった。
 つまり、日本人の平均的な摂取量の範囲であればリスクは小さい。
 逆に言えば、日本人でもハム・ソーセージを毎日のように50g(ハムならば5枚、ソーセージなら3本、薄切りベーコンなら3枚程度)を食べる、という人は、量を減らしたほうがいい。
 日本の加工肉メーカーは、亜硝酸ナトリウムを法律で定められた基準よりはるかに少ない量しか使っていない、という。
 気になる人は「無塩せき」を使うこと。
 ただし、何より食べる分量に注意して。

□石臥薫子・柳堀栄子(編集部)「~食べていい・悪いの境界線~」(「AERA」2016年7月25日号)
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1 コメント

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Unknown ( 武尊)
2016-07-28 09:24:33
情報を表面でしか見ていない人が陥る罠を如実に表した話。ハムやソーセージ類を毎日数十年食べ続ける人が居るわけないのにね。これってトクホなんかの逆バージョンだよね。
小池百合子が女性だから投票しちゃうのと同じパターンな(笑)投票して子供たちを保育所に押し込められてもらいなさい、という話だ。そうすると云ってるのに、そこまで聞かずに、決め込む悪い情弱だわ、、。
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