語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【アベノミクス】5つの大嘘 ~数字が示す日本経済の悪化~

2016年07月06日 | 社会
 (1)有効求人倍率は24年ぶりの高い水準となっています。それも都会だけの現象ではありません。就業地別で見れば、北海道から沖縄まで47の都道府県全て1倍を超えました。これは史上初めての出来事であります。
  ⇒2013年1月(第二次安倍政権発足直後)と2016年4月を比較すると、有効求人数は201万人から251万人に増えているが、有効求職者数は239万人から187万人へと20%も激減。求職者の数が減ったから、数字上、有効求人倍率が上昇しただけ。しかも、この3年3ヶ月間、ハローワークを通じて就職できたのは、2万9,000件減少。うち、正社員に関しては就職件数が約9,000件減少し、有効求人倍率も2016年4月で0.85倍だ。正規雇用は、求職者を下回る求人数しかない。

 (2)リーマンショック以来、減少の一途をたどっていた正規雇用は昨年、8年ぶりに増加に転じ、26万人増えました。
  ⇒2015年末の正規雇用者は、3,307万人。2014年末は3,281万人だから、たしかに26万人増えている。だが、民主党政権時代の2010年末と比較して、23万人の減少だ。逆に、生涯賃金が正規雇用の3分の1という低賃金の非正規雇用が、2012年末から2015年末まで172万人も増えている。

 (3)政権交代から中小企業の倒産も3割減少しています。ここまで倒産が減ったのは、25年ぶりのことでえあります。
  ⇒意図的に、倒産と見なされない経営悪化などによる休廃業数を除外している。中小企業数は、2012年から2年間でえ、実に4万4,000社も減少している。

 (4)所得アップについても、連合の調査によれば、中小企業も含めて、一昨年、昨年に続き、今年の春も3年連続で、今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現することができました。今世紀に入って最も高い水準であります。それを実現することができたのです。
  ⇒連合の春闘回答は、4,700組合に限定されている。しかも、連合が集計した2016年の平均賃上げ率は2%で、昨年より低い水準だ。加えて、実質賃金指数は2011年度から2015年度までえ5年も連続して減少し続け、今や1990年度以来最低の水準にまで落ち込んでいる。しかも、2012年から2014年にかけて年収200万円以下のワーキングプアは49.2万人も増大し、勤労者の貧困化をさらに進めている。 

 (5)3年間のアベノミクスによって、国・地方を合わせて税収は21兆円増えました。(消費税率引き上げの)2年半の延期によって、その間にアベノミクスをもう一段加速する。
  ⇒21兆円増大というが、そこには首相が2014年4月に強行した8%消費税率引き上げによる9兆円の増加分を含んでいる。自身が消費税率を上げれば、税収が増大するのは当然だ。しかも、この数字は、2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災によって税収が異常に落ち込んだ2012年度(78兆7千億円)と、2016年度(99兆5千億円)との比較にすぎない。リーマンショック前の2007年度は95兆3千億円だから、2016年度の税収(99兆5千億円)は消費税の引き上げ分(9兆円)を差し引くと90兆5千億円になって、2007年度以下の数字になる。「加速」どころか、「減退」だ。

□植草一秀(経済評論家)「さらばアベノミクス 数字で見る日本経済の悪化」(「週刊金曜日」2016年7月1日号)の資料編
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【佐高信】脱退のススメ ~連合東京のダラ幹~

2016年07月06日 | 社会
 (1)恐るべき鈍感、犯罪的な居直り。
 6月16日に出た「舛添要一東京都知事辞任表明に関する談話」(杉浦賢次・「連合東京」事務局長)のことだ。
 舛添の前の猪瀬直樹も、自民党と公明党、そして連合東京が推して都知事にした。それを深刻に反省しているかと思いきや、「決して間違いでえはなかったと判断」しているのだという。
 <連合東京として支持・支援した都知事が二代続けて金銭問題でこのような状況に陥ったこと、大変残念な結果であり、遺憾であります>
と始まる談話は、
 <様々な議論の結果、最終的には「政策制度要求が実現するための『政策協定』を結べる候補者を支援する」ことで舛添要一氏の支援を決定>
したと続き、舛添知事が誕生して、
 <連合東京の政策は過去に類を見ないほど都政の中でスピーディーに実行されましたし、公労使会議の開催や非正規雇用から正規雇用への転換、雇用分野については連携し、取り組んできたところであります。その意味で当時の判断としては舛添氏の支持・支援は決して間違いではなかったと判断します>
と、目を疑うような言葉が並ぶ。
 これを読む限り、連合東京は舛添に知事を続けてほしかった、としか見えない。
 公明党はもちろん、自民党でさえ、選択を誤った、自分たちに見る眼がなかった、と方向転換しているのに、自分たちの責任を問われるのを恐れて、強引に「舛添氏の支持・支援は決して間違いではなかった」と言い切っているのだ。
 これで、連合東京の「各構成組織、連合地域組織の皆様」は納得してしまったのか。

 (2)猪瀬、舛添と、およそ労働者の味方とは思えないマガイモノを「支持・支援」した連合東京の思惑は、つまり、脱原発の候補をはずすことだった。
 細川護煕や宇都宮健児を選ばない、という選択肢はそこから出ている。それをまったく改めていないから、猪瀬や舛添の支援は「決して間違いではなかった」という驚くべき談話が発せられるのだ。
 「二度あることは三度ある」
 このままでは、連合東京は三たびマガイモノを推すだろう。連合東京の組合員がその共犯者にならないためには、杉浦らの幹部の首をスゲ換えるか、連合東京から脱退するしかない。
 いますぐ行動を起こさないと、組織はダラ幹と共に滅びる。

□佐高信「脱退のスス ~新・政経外科~」(「週刊金曜日」2016年7月1日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【佐高信】激しい創価学会批判で当選した菅義偉官房長官
【佐高信】舛添を支援した自公と連合東京の責任
【佐高信】自民党と創価学会、水と油の野合
【戦争】おやじ、一緒に牧野村へ帰ろう ~戦没者の遺族の声~
【政治】岸信介の悪さの研究
【読売】「不正」を隠蔽する「不適切」という表現 ~東芝・不正経理~
【人】安倍首相とやしきたかじん“純愛妻”の共通点 ~百田尚樹~
【政治】巨大脱税疑惑隠しの自分勝手解散 ~安倍晋三~
【政経】竹中平蔵とアベノミクス ~ブラック国家ニッポン~
【本】『海賊と呼ばれた男』の著者、百田尚樹の実像 ~本屋大賞~
【震災】世論を買い占める東電、恥ずかしい広告を出す政府~佐高信と寺島実朗の対談~
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする