語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【東京】都知事の豪遊 ~舛添よりもっと恥知らずな石原慎太郎~

2016年05月14日 | 社会
 (1)舛添要一・東京都知事が批判を浴びている。外遊時はファーストクラスにふんぞり返り、現地では高級ホテルのスイートルームに宿泊する放蕩。首都の知事なのに、毎週末のように温泉地・湯河原の別荘に滞在する危機管理感覚の欠如。しかも、別荘に行く際は公用車を使う公私混同。
 にもかかわらず、会見では悪びれた様子もなく反論する。
 新聞雑誌にテレビが声をそろえて批判するのは至極当然。同乗の余地はまったくない。

 (2)実は、前々任の知事のほうが、もっとひどかった。
 石原慎太郎は、1999年から計4期13年、東京都知事を務めた。
 例えば2006年、石原の登庁はなんと週に2~3日ほど。公用車で神奈川・逗子の別邸に赴いたこともあった。日ごろ口先では責任感を誇示していたが、危機管理の感覚はゼロであった。
 放蕩外遊は舛添に輪をかけてひどかった。30回以上の海外出張で使ったのはファーストクラス、宿泊先は超高級ホテル。2001年に観光まがいの出張でガラパゴス諸島を訪れた際には、クルーザーを乗り回した。2008年に北京五輪の開会式に出張した際は、1泊24万円のスイートルームに宿泊した。
 こんなのはほんの一例にすぎない。
 公私混同もすさまじかった。超高級料亭やレストランで「公費接待」を繰り返した。例えば、2006年に赤坂の料亭で行った会食は一人当たり料金が55,000円。1回の会食の合計が50万円以上のこともあった。1本数万円のワインを抜栓したことも数え切れない。その接待相手には友人や側近が多数含まれていた。
 挙げ句の果てには、石原の肝煎りで始めた文化関係の事業に自称画家の四男を関わらせ、報酬を与えたり、公費で出張させていたことが発覚した。ところが、石原は「息子でありながら立派な芸術家」「余人をもって代えがたい」などと開き直った。

 (3)石原都政では、このほか、1,000億円以上もの税金をつぎこんで大失敗に終わった新銀行東京など、都政上の問題も数々あったが、ここではさて措く。ただ、公私混同、放蕩外遊、危機管理感覚欠如は舛添の比ではないことだけ指摘しておく。
 だが、メディアの批判は、当時、借りてきた猫だった。石原の強圧的なメディア対策にびびったのか、いわゆる作家タブーのせいか、メディアの対応は微温的だった。結果、石原は都知事の座にながながと居座り、戦後では鈴木俊一に次ぐ2番目の長期都政を誇ることになってしまった。

□青木理「舛添氏の豪遊もひどいが、もっと恥知らずな都知事が最近まで居座っていたのでは?」(「週刊現代」2016年5月21日号)
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