語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>東電の売却すべき保有資産1,400億円 ~天下り社長~

2012年02月26日 | 震災・原発事故
 東京都は、東京電力の一方的な値上げに対して、子会社168社のうち都内の24社を調査し、一等地にあるオフィスから移転して東電が所有する自社ビルを売却すれば100億円が捻出できる、とした【注】。
 <例>「東京リビングサービス」。想定月額賃料833万円、年間約1億円。東電グループの社宅や福利厚生施設の管理、運営委託を受けた子会社で、ホームページによれば「東京電力グループのお客さまにはパッケージ旅行の割引販売」を業務としたりもする。東京都港区の六本木交差点から脇道に入り、坂を下って徒歩3分、右手に見える地上6階建てのグレーのビルに入居する。1階はコンビニ、その横に広々としたエントランス。コの字型のビルは、中央部に中庭、上層階には植木で囲まれたバルコニーが設けられ、意匠に凝った造りだ。利便性の高い地で、坂をさらに下れば六本木ヒルズだ。

 東電東電の子会社・関連会社は、送電・変電設備などの保守といった本来業務に近いものもあるが、所有不動産の管理、福利厚生サービス、電柱の広告集めなど様々で、そうしたファミリー企業には東電本社の幹部の天下りポストが張りめぐらされている。
 東電不動産(中央区京橋・想定月額賃料2,432万円)や東電用地(荒川区日暮里・想定月額賃料202万円)の社長は、元は東電本社の執行役員だ。これら「天下り」先の子会社が、事務所を一等地に置いているのだ。
 電気料金値上げの前に、「天下り」社長たちの報酬もコスト削減の対象になる・・・・はずだ。しかし、子会社は本社と異なり、非上場企業なので、役員報酬さえ開示されない。

 東電グループが保有する超高額物件は、少なくとも19件、資産査定額の総額1,400億円もある。
 <遊休資産の例1>「三田中学校仮校舎跡地」13,000平米。資産査定額283.1億円。港区三田、JR田町駅から徒歩10分。
 <遊休資産の例2>「千住資材センター」60,000平米(東京ドームの2まわりほど)。足立区千住桜木、JR来た千住駅から徒歩15分。
 このほか、自社利用ビル、賃貸オフィス、賃貸住宅、娯楽施設、宿泊・保養施設と多岐にわたる。
 「FISH・ON! 王禅寺」(神奈川県川崎市、資産査定額0.5億円)は、50,000平米の敷地に4つの池が設置され、ナイター施設が完備。都心から車ですぐ行ける。釣り好きには有名なスポットだが、電気事業とは無関係なことを東電総務部広報も認めている。

 政府の「東京電力に関する経営・財務調査会(第三者委員会)」は、原則3年以内に時価ベースで2,472億円の不動産(具体的な物件は非公表)の売却を実施すべし、と最終報告をまとめた。年に824億円のペースだ。
 だが、今年度中に売却されるのは152億円だけだ。
 不動産売却が原則3年以内、とは、例外もある、ということだ。変電所を移して物件を売却することも可能だが、第三者委員会は正面から検討していない。そんな中で「値上げは権利」と言っても、国民は納得しない。【岸本博幸・慶應大学大学院教授】

 【注】「【震災】原発>東電にメスを入れる東京都 ~電気料金値上げ~」および「【震災】原発>東電にメスを入れる東京都(その2) ~子会社の整理~

 以上、武富薫と本誌取材班「電気料金値上げの前に、東京電力はこのグループ保有資産「19物件1,400億円」を売却せよ」(「SAPIO」2012年3月14日号)に拠る。
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