語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>原発関連施設に投資するNHK

2012年02月12日 | 震災・原発事故
 NHKが「2012年度の収支予算、事業計画及び資金計画」を発表した。
 事業運営にあたり、公共放送の原点に立ち返って、「公共」「信頼」「創造・未来」「改革・活力」を重点事項に定め、取り組むよし。
 そのうえで、国内放送は<国民の生命・財産を守るため、災害時の報道及び番組制作体制を強化して、正確で迅速な報道に万全を期すとともに、東日本大震災を検証し、復興を支援する番組を放送する>(「計画概説」)としている。
 では、今なお放射能汚染を広げ続けている原発事故の検証を、ここに併記して入れないのか。

 「ネットワークでつくる放射能地図」は文化庁芸術大賞(テレビ・ドキュメンタリー部門)を受賞した秀逸な作品だが、NHKはこういう番組を制作できる有能な人材を現場から外してきた。
 他に注目番組が散見されるものの、NHKのOBも参加する任意団体「放送を語る会」の調査報告「テレビはフクシマをどう伝えたか」を見ると、総じてNHKに厳しい評価が下されている。
 <例>「ニュースウォッチ9」・・・・<反原発、脱原発の立場からの発言を排除していることは異常ですらある。><ここに、これまでのNHK報道局の原子力政策に対する姿勢が示されているのではないか。>

 子会社も、原発推進団体との不可解な関係が見られる。
 <例>電気事業連合会のホームページの「電事連チャンネル」コーナーには、「今こそ『エネルギー教育』」という動画がある。原子力利用に熱心な日本生産性本部が主催・開催したフォーラムの記録で、フォーラムは原発の必要性を「教育」している。制作はNHKエディケーショナルだ。NHKエディケーショナルは、前記フォーラムの事務局を務め、フォーラム当日の運営までやっていた。そして、この動画はNHK教育テレビ「TVシンポジウム」で放映されている。

 このたび、NHKが保有する電力債の個別具体的な銘柄が明らかになった。
 NHKが購入した電力債の資金は、原発や核燃料関連施設の建設・改良等に使われたことはほぼ間違いない。
 視聴者にとって、選択の余地のない電気料で原発資金を半強制的に徴収されたうえに、NHKの受信料まで電力債購入という形で原発資金に流れているわけだ。反原発、脱原発をめざす者は、往復ビンタを食らったようなものだ。
 <それでもNHKが信頼性を向上させたいのであれば、せめて積極的に反原発・脱原発に関わる深みのある番組を、ほんの少し原発推進派の意見を交ぜて「中立性」を保持したうえで、適時制作していくべきだ。>

 以上、丸山昇(ジャーナリスト)「NHKが購入した電力債の資金が原発関連施設の建設・改良等に使われていた」(「週刊金曜日」2012年1月27日号)に拠る。
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