語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>創価学会の「脱原発」 ~政界再編成への波紋~

2012年02月15日 | 震災・原発事故
 池田大作・創価学会名誉会長の提言が、創価学会機関誌「聖教新聞」1月26日および27日に掲載された。
 東京電力福島原発は、<未曾有の被害をもたらしました。>
 <原子力エネルギーを依存する現代社会のあり方や、巨大化する科学技術のあり方に対し、重大な問いを投げかけました。>
 <仮に事故が生じなくても放射性廃棄物の最終処分という一点において、何百年や何千年以上にもわたる負の遺産を積み残していくことの問題性>、<最終処分問題については、まだ根本的な解決方法がないことを決して忘れてはなりません。>
 <深刻な原発事故が再び起こらないと楽観視することは果たしてできるでしょうか。/日本のとるべき道として、原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべきです。>

 もともと学会内には、原発に対して推進派と反対派がせめぎあっていた。福島第一原発事故を受けて、公明党は生活重視や人間と自然の調和などを掲げているのに原発推進では選挙を戦えない、とする声が強まり、原則主義の青年部や婦人部の主張が通った。【創価学会の内部事情に詳しい関係者】

 ただ、創価学会が「脱原発」の動きを強めると、原発政策を進めてきた公明党の自民党との距離感が問題になる。
 公明党は、1999年以来、自民党と深い関係を築いてきた。創価学会の信者は827万世帯。参議院選挙(2010年)では比例区で764万弱の票を獲得し、得票数は民主党、自民党、みんなの党に次ぐ4位。この票が、小選挙区で自民党候補を支えてきた一因だ。

 池田提言で、公明党は自民党と組むことができなくなる。中長期的には、政界再編に影響する可能性がある。学会票喪失は困るはずだが、自民党には危機感がない。自民党本部職員のレベルも低下しつつある。政権奪取へのシナリオがまったく描けていない。【ベテラン政治記者】

 これまで公明党は、太陽水素系エネルギー社会をめざし、それまでの過渡的エネルギーとして原子力発電を容認してきた。しかし、今回の重大な原発事故を直視し、原子力発電に依存しない社会への移行に、今こそ取り組むべきだ。思いきった省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入、化石燃料の高効率化を推進しつつ、段階的に原発を縮小していくべきだ。今後、原発の新増設は、基本的には行うべきではない。核燃料サイクルも、実現性、安全性、経済性はもちろん、外交、安全保障的観点を含めて、慎重に再検討すべきだ。【井上義久・公明党幹事長、昨年9月15、衆議院代表質問】
 この主張は、池田大作の「早急に」の受け取り方次第で加速する。あるいは、再稼働への批判を強める動きにつながる。
 消費税増税に公明党の理解を得たい民主党の原発政策にも影響する可能性も出てくる。

 「もう原発は嫌だ」という人々の声をどう政治化していくか。これが今後の課題だ。脱原発を打ち出している宗教団体は既にあるが、創価学会も明確にした意義は大きい。政党の合従連衡といった戦略レベルではなく、脱原発の流れをさらに強める契機になるのではないか。【鎌田慧・ルポライター】

 以上、伊田浩之(編集部)「池田大作創価学会名誉会長が脱原発を提言 「早急に検討」が投げかける波紋」(「週刊金曜日」2012年2月10日号)に拠る。
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