今日は1日中自由行動の日である。6時すぎに目を覚まし、6時半ころ昼食。
このホテルの昼食サービスは、パン4種類(毎日日替りあり)、スープ3種類、ジュース2種類、ゆで玉子、コーヒー・紅茶という、朝食としては十分なものなのだが、4日連続して食べるとさすがに飽きた。紹介は今日だけにしておく。
東日本橋をぶらり散歩。寒くないがかなり涼しい。ホテルで時間をつぶしてから出発。
さて、今回、かなり興味を持っていた展覧会の一つが東京藝術大学美術館「国宝 興福寺仏頭展」である。一日時間もあるし、そんなにあわてまいと思っていたのだが、到着した時間がちょうど開館のタイミングになってしまった。結構な行列ができているのだ。
今回、時間つぶしのために美術館の裏手のほうを始めてみてみたが、さすがに藝大だけあって作りかけの彫刻や沢山の丸太が保存されているのであった。
さて、何とか館内に無事入り、早速見ていくことにしよう。
「木造弥勒菩薩半跏像」「厨子」:厨子から取り出した形で弥勒菩薩が展示されていた。作られた時期も微妙に違うらしい。厨子の天井部に6体の飛天が取り付けられているのが、なかなか良い。
「閻魔大王(護法善神扉絵)」:12面の扉絵が勢ぞろいしている。
「玄奘三蔵像(護法善神扉絵)」:他は帝釈天、増長天、閻魔大王と言ったメンツの中に、一人だけ人間が参加している。
「国宝 板彫十二神将像」:今回は4面の御堂を模した展示スペースに3枚づつ板彫十二神将が展示されている。興福寺では何気なく足元に置いてあって目立たないのだが、今回は日の目を浴びたと言えるだろう。見ている客の感想は「3センチに見えないね」というものが多かった。3センチもの厚彫りが特徴なのだが、確かにもう少し薄く見えるのだ。
さて、私が一番気に入ったのは、当然のことながら木造十二神将立像である。「お手を触れないでください」と注意書きがあるような近距離で、しかも180度の方向から見ることができるのだ。
「毘羯羅大将立像」:帯の流れが素晴らしい。ついていきたいリーダータイプの顔である。
「招杜羅大将立像」:胴に厚みのある作りだ。トンガリ髪もなかなかいい。
「真達羅大将立像」:祈るポーズが静的な立像。
「摩虎羅大将立像」:口をあけ、とがった歯がよく見える。手斧がかっこいい。
「波夷羅大将立像」:色彩がかなり残っている。この辺は像によって違うみたい。
「因達羅大将立像」:蛇の顔部分が切り落とされ、手指も一部折れている。
「珊底羅大将立像」:何だか顔が大きい像だ。鉄拳制裁ポーズに、頭部の馬も炎のような髪の毛から飛び出している。
「頞儞羅大将立像」:何となくボス顔だ。
「安底羅大将立像」:赤い顔が頭に乗っている猿をイメージさせる。スリムスタイル。
「迷企羅大将立像」:ニワトリが頭に乗っている。
「伐折羅大将立像」:刀を逆手にしたアクションポーズが決まっている。
「宮毘羅大将立像」:兜が特徴的。
つい興奮して、すべての像を180度回って見てしまった。
昨今の仏像ブームのせいか、女子の観覧者も多いのだが、彼女らの感想を聞くと、やはり女子目線というのは違うものだと思わされた。私が聞いた中では「木靴が可愛いね」「サスペンダーみたいのいいよ」「お尻可愛い」など、ファッション的観点に着目したものが多かった。私からすると、言われるまで十二神将が何を履いているかなど全く気がつかなかったのだが、確かに言われてみると、一人づつ履物が違うのであった。
「銅像仏頭(興福寺東金堂旧本尊)」:興福寺で見るよりも何だかカッコイイ。火事に会った際に、左耳が折れてその付近が上に食い込んでいるのが分かる。髪の生え際にひびが入り、うっすら中が透けて見えるのだ。それでも奇跡的に表情にゆがみが感じられないんだよな。
「銅像釈迦如来倚像」:東京深大寺の参考出品。興福寺仏頭と同時代であるはずなのだが、どこかオリエンタルで時代がかった感じがする。もちろんこれもいい仏像なのだろうが、興福寺仏頭の超時代性が一層わかるような気がする。
これは素晴らしい展覧会だった。昼食をとるために上野周辺をさまよう。