本日の第2メインイベントは神奈川県立近代美術館の鎌倉館、鎌倉別館巡りである。鎌倉館の方は耐震強度の問題で取り壊しになるという話もあったが、どうにか補強工事ができそうとのこと。恐らく近いうちに長期閉館になるのではあるまいか。
■神奈川県立近代美術館鎌倉館「鎌倉からはじまった。1951-2016」。かなり興味深い展示であった。
黒田清輝「逗子五景」:黒田のタッチが逗子の風景にピッタリ。
青木繁「真・善・美」:おお、こんなの書いていたのか。習作とのことで、これで大作を描いて欲しかったな。
坂本繁二郎「棕呂の見える風景」:淡い色は相変わらず。馬が出てこない作品を見たのは初めてか。
中川一政「静物(びん・白布)」:岸田や三岸も描いていた感じの卓上静物画。
関根正二「村岡みんの肖像」:超有名作品以外で関根の画を初めて見た。
牛島憲之「タンク」:私の大好きな牛島憲之。大変うれしい限りだ。
鷹山宇一「荒野の歌」:木の切り株に赤ちゃんがもぐり込もうとし、切り株の上にはカマキリが月光を浴びている。ヒプノシスを思わせる画風だ。
有名作家の作品が高橋由一、ワーグマンに始まり、浅井忠、藤島武二、有島生馬、中村彜、小出楢重、岸田劉生、須田国太郎、佐富勝蔵、村山槐多、鳥海青児、山口長男、香川泰男とこれでもかと並んでいる。見たことのない作品ばかりだったので、東京の国立博物館、近代美術館等に慣れて来た私も、初心に帰る良い機会であったように思う。
続いて強烈な暑さの中、10分ほど歩いて神奈川県立近代美術館鎌倉別館へ。
■神奈川県立近代美術館鎌倉別館「同 第二会場:版画の部」。
上野誠「牛市(薩摩)」:戯画チックな濃い顔である。
一原有徳「滴(2)」:そりゃあ一原さんの作品がなくては始まるまい。
加納光於「稲妻捕り PF-No.3」:色彩の中、白い稲妻が飛びまわる作品。
秀島由己男「風の船A」:紙風船に裸の人間が刺さって真っ暗な中を飛ぶという不思議作品。
柄澤齊「『死と変容』第1週 夜3.日触」:黒バックに黒い瞳の女性。不思議な顔の線。
李樺「真夜中の恐怖」:警察に踏み込まれるシーン。こんなの発表して大丈夫だったのか?
ピーテル・ブリューゲル「休息する兵士たち」:ブリューゲルらしい爽快な風景。
マックス・クリンガー「『手袋』II.行為」:これはあちこちで見かける作品だが、何とも言えない浮遊感がいいのだろう。
エドヴァルド・ムンク「二人の人物-孤独な人たち」:二人の間の微妙な距離感がいい。
マン・レイ「交響曲」:抽象版画。マン・レイがこういう作品を作っていたんだね。
ルフィーノ・タマヨ「夜曲」:夜空をバックに謎の黒い人物が手を振り上げるシーン。名古屋市美術館でこの人の作品を見たが、どこか気になるところがある。
鎌倉館、別館共に外に彫刻があったのだが、その辺は別途紹介することにしよう。