散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

根室の旅(3)

2001年07月21日 22時48分34秒 | 旅日記
さて、翌日21日。

朝食を取ると元気復活。今日はかなり暖かい。しばし散策の後、観光バスで「風連湖コース」へ。まずは、途中で丹頂鶴を眺めつつ,道の駅「S」へ。風連湖を見渡す出来たばかりの道の駅で昼食。再度エスカロップを食べるが、ここのはかかっているソースが平凡なドミグラスソースだ。そういうのもあるのかもしれないが、納得いかず。昨日の方がうまい。

続いて「春国岱」という湿地+野生林+野鳥の住処へ。時間が無く眺めるだけ。続いて「北方四島交流センター」へ。この北海道の施設、21億円かかったらしいが、心の中に「誰の金でこんな立派な施設作ってんだ」という言葉が湧き上がってくるのを否定できない。

観光バスの乗員14名以外誰も見学者がいないのだが、豪華な映像研修ルーム、日本文化ルーム、ロシア文化ルームなどがあり、ちょっとやりすぎだよ。

さらに道の駅にも11億円、野鳥観察小屋も数億円という建物に疑問を抱きつつ、観光バス自体は楽しい。運転手さんが気さくな人で「昨日は根室にしても寒いが、今日は普段より暖かい」などと話をする。「こっちは毎日35℃以上だよ」とぼやく名古屋から来たオッサンも含めて盛り上がる(この日の根室は最高気温21℃)。

バスを下り際にガイドさんに「楽しかったですよー」と声をかけると、新人らしく「えっ本当ですかー」と素で喜んでいたので、よかった。

また夕方まで時間つぶしで根室市図書館へ。17時半、昨日目をつけておいた店」へ。うーんいろいろ言いたい事があるけど、ちょっとダメ店だったのですぐ店を出る(2点ほど述べておくと、お通しの刺身があらかじめ切ってあることと、カウンターが3席で狭いことが問題)。

すると、何だか人が商店街のメイン通りに集まってきている。今日も何かイベントがあるらしい。商店街の親切そうなオバサンに何人か声をかけて調査すると、歴史はそんなに古くないが「根室千人踊り」というのをやるらしい。踊りの特徴は、

・盆明けにやるが、まあ盆踊りのようなものらしい
・今は800人くらいしか踊っていないらしい
・踊りは習ったりするらしい
・浴衣で踊るが、寒いため足袋を履く

といったことが分かった。さほど盛り上がる踊りでもないが、知り合い同士で声を掛け合うなど、地元密着の雰囲気がある。しばらく見てから,炉端の店「Y」へ。これも古めかしい建物に炭火がある。客層も年配の夫婦や一人で来ている商店主らしき人などで、ローカルな話が盛り上がっているが、私もさほど疎外感はない。

中のお母さんが声をかけてくれて、北の勝焼燗とホタテ焼を頼む。このホタテがちょっと尋常ではないほどの大きさで、塩をぱらっと振っただけで焼いたものだが、「これホタテとは思えない」、「甘~い」などのバカグルメタレント同然のコメントしか出せない。塩味のはずなのに、ホタテのうまみとあいまって「甘い」としか表現できない味なのだ。その後、カニ内子、鉄砲汁など。

年配の人が静かに飲める店に満足。帰りのバス時間まで後2時間。先ほどの千人踊りは既に終了し、どうやら「よさこい」に変わっているらしい。さっきより若い人が増えている。札幌市民が口を出すことではなく、根室市の事情があるのだろうが、よさこいはどうかなあと思う。商店街のおばちゃんにまた祭りの由来などを聞き込むが、やはり反応が醒めている。しかしそれと同時に高校生・若い夫婦等の顔色が先ほどより熱気を帯びているのも事実ではある。

根室の町・店にほぼ満足したが、何かもうひとつ心残りが…。店名で気になっていた店BAR「J」へ。入り口を横からそっと覗き込むとロックのLPジャケットが飾ってあり、これなら大丈夫と思い入ってみる。オーセンティックなバーとまでは言えないが、酒の種類もまずまずあり、若い店主とロック・酒談義で盛り上がる。

根室でがんばっている彼の情熱には脱帽だ。正直、お酒の種類をいくら揃えても、頼む人がいなければ店としては場塞ぎなだけ。苦労が伺える。もちろんお世辞ではあるだろうが「酒の詳しい人と話すと楽しい」と言ってもらえたので、多少は彼にも楽しんでもらえただろうか。最後の最後で、店探しの超能力を発揮して会心の根室探訪となり、私の心は充実しいた。

根室のバスターミナルへ向かう道は、昼間の晴れが嘘のように霧に煙っていた。

根室の旅(2)

2001年07月20日 22時24分51秒 | 食べ歩き
と言うわけで昨夜は素面で10時10分に消灯され、全然眠れなかった。うとうとはしたのだろうが、1時間置きに時計を見た記憶がある。とはいえ、まださほどの疲労も感じずに根室着。午前6:30。

早朝6:30についても行くべきところも無く、天気は雨。しかも寒い。やむをえず、港へ向かってみる。あわよくば漁港の食堂といったものでもあればと思ったが、まったく見つからず。駅に戻り、途中のコンビニ「T」で焼鳥弁当350円。(根室市内のコンビニチェーンらしい)

暫く時間をつぶし、8:20の路線バスで納沙布岬へ。40分で着くが、海風も強く尋常ではない寒さ。みぞれが降っても納得しそうだ。外はとても散策できる状態ではなく、物産館の7面スクリーンでバーチャル海底散歩の映像を見る。さらに3Dシアターで「根室の四季」を見る。ずいぶん立派で感心するが,見る者は我一人。(この日は到着時点で13℃,最高気温が14℃。海風のせいか、体感温度が非常に低い)

10時頃また根室駅に戻り、観光協会のかわいいお姉さんに宿を紹介してもらう。当初は「宿なんて何とかなるさ」と決めずに根室についたのだが、今日の気温だと野宿したら死んじゃいそうだ。ついでに「エスカロップ」のうまい店も教えてもらう。

昼飯までの時間を持て余し、飲み屋街を散策。なんとなく一箇所に固まっておらず、散漫な町並みである。スーパーに入り魚屋チェック。カニ外子、こまい生、鯨生、北海シマエビ生などが特徴的だが、それ以外はさほど札幌と変わらず。

さて、エスカロップを食べに,さっき教えてもらった駅前の有名店(発祥の店らしい)、「NM」へ。このエスカロップという食べ物、今でこそそこそこ有名なのだが、長崎のトルコライスと並ぶ、珍しい2大・1都市限定洋食メニューである(どちらも、他の地域にはまったく存在していない)。

竹の子入りのピラフにポークカツを乗せ、その上から酸味のあるドミグラスソースとケチャップソースの中間のようなソースがかかっており、キャベツの千切りとポテトサラダが添えられている。一見くどそうな食べ物ながら、ソースの酸味が効いていてなかなかいける(根室人いわく、ドミグラスソースをかけるのだそうだが、いわゆる老舗洋食店のシチュー・ハンバーグソースに使われているドミグラスソースとは違うと思う)。

ここでちょっと早いが民宿「T」へ。夕方までだらだら休憩。17時、酒へのプロローグということで、市内の銭湯へ。さっと上がっていよいよ飲み屋街へ出発だ。まず一軒目は、炉端焼きの店「O」へ。

店内に入ると、店の中央に大きな囲炉裏があり、既に大量の炭が熾っている。奥には古い和箪笥があり、重厚な雰囲気だ。ビールを頼むと、お通しは余ったイカゲソ・ホヤの端っこを混ぜたような海鮮サラダ風のもの。しかし生きがいいからうまい。

続いてイカ刺し、サンマ焼き。サンマに串を打って炭火のわきに立てて焼いている。この風情はいい。火の通り加減が実によく、はらわた丸ごと苦く、うまい。飲み物を日本酒に切り替えると、炉端のわきに置いてある甕から根室の地酒「北の勝」が出される。炭火で暖めるのを「焼燗(やきかん)」と言うのだが、丁度いい温度だ。

もう一品というところで、鉄砲汁(もちろん花咲ガニ)を頼む。北海道の人って大してカニに執着がないと思われるし、私自身、これに特別の期待をしていたわけではないが、食べて驚いた。「4大カニのどうせ4番目だろ」と思っていた花咲カニに詫びたい気持ちだ。

カニ汁をつまみにして酒を飲もうと思っていたのだが、酒に手が伸びない。汁がうますぎてそっちに行ってしまう。結局、これを食べきるまで酒には一回も手が伸びなかった。恐るべし、鉄砲汁である。非常にいい店だったが、別の店にも行ってみたくなり,1時間半ほどで店を出る(カウンターほぼ満席)。「うまかったですよ」と真剣に言ったら、店の女将さんの顔がほころんだ。

今日はお盆(根室は旧盆)の仮装行列があるらしいが、相変わらず雨がちで、どうなることやら(結局、22日に順延)。商店街を散策して、酒屋の主人に「根室にカクテルバーはありますか」と聞くが無いらしい。「ではショットバーは」と聞いて教えてもらった店に行って見る。

酒屋の主人に教えてもらった「TB」と言う店へ。和洋酒とりまぜて置いてあるが、本式のバーという訳でもないのでしょうがないだろう。お通しとして柳タコの蒸し物、ワラビ和え、冷やしナスなど。酒は芋焼酎2、スコッチ3を飲んだ。

40歳くらいの店主にエスカロップの話を聞くと、「あれは30年以上前から今と同じ形であったはず。全然進歩していない。一軒の店でヒットしたら、我も我もと真似した。根室人はダメだなあ」なんてことを言う。酒に関しても「北の勝、まずかったでしょ」などと言う。何となく地元を貶す気持ちも分からなくも無いが…
(例:「札幌ラーメンなんて全然だめ」など)

それはともかく、このマスター、エスカロップに対して「30年前と同じかよ!」と三村ツッコミ(*)をしていて、会話も楽しく気分良く飲めた。

(*)当時、さまぁ~ずとして人気が出だしていた頃。

続く

根室の旅(1)

2001年07月19日 22時22分05秒 | 旅日記
どこかに旅をして旅先でふらりと居酒屋に入るというのをやってみたく、行き先をどうしようかしばらく考えていた。そういえば、TV番組「水曜どうでしょう」で、非常に印象深い乗り物が『深夜バス』である。あれを見ていて強烈な思いが湧き上がってきた。「私も深夜バスに乗ってみたい!」と。

しかし、番組で評判となった東京~博多(そこを走るのが,通称キングオブ深夜バス「はかた号」)を旅するのは北海道人にはいくらなんでも無謀というもの。かわりに北海道には深夜バスはないのだろうか?

ということで探した結果、『キングオブ深夜バス in 北海道』=オーロラ号に乗ることにした。札幌~根室間を移動する深夜バスである。体力的にどうか、腰痛は出ないのかなど不安を抱えながらも、ついに7月19日22時、札幌大通でオーロラ号に乗り込む。

深夜バスと言われると、貧乏なバカ学生が騒いでいそうな予感がしており(自分も昔そうだったが)、正直憂鬱であった。しかし次々乗り込んでくる面子を見ると、大部分が20代の女性。しかも一人旅ばかりのようだ。こりゃラッキー(何が?)と思っていると、バスは発車後10分で消灯とか。皆、すかさず寝る体勢に入り、ほぼ無言のまま消灯。せっかくワンカップ持ってたのに、とても酒飲む雰囲気でも無い。

続く