出張4回目。
(非常に長いので2記事に分けます)
今回の出張日が初めて週末に絡んだ。
土曜日の朝、札幌は霙ながら、遊ぶ気満々で出発。
昼頃、空港着。大門~清澄白河へ移動し、東京都現代美術館を目指す。
美術館に入る前に腹ごしらえ。
さんざん迷いに迷って、選択肢が無くなってから発見した、蕎麦屋「K」へ。
季節物らしい”湯葉そば”を注文(写真は一口食べかけ)。
湯葉は乾燥湯葉を戻したものだが、色々と載っている具がなかなか良い。
鶏肉、かまぼこ、しいたけ、たけのこ、いんげん、とどれをとってもそのものの
味を生かして下ごしらえがされている。
これは正解だったなあと思いつつ、美術館へ。
現代美術館では「イサムノグチ展」をやっているため、かなりの混みようだ。
札幌でも見た「エナジーボイド」を2階から見下ろす形で見る事ができた。
(写真は遊具)
しかし私の本題は「東京府美術館の時代 1926~1970展」である。
ここで開催された「第一回聖徳太子奉讃美術展覧会」、「紀元二千六百年
奉祝美術展覧会」、「日本アンデパンダン展(読売アンデパンダン)」
「第10回東京ビエンナーレ 人間と物質」の4つの展覧会をふりかえる
形で展示がされている。
芸術の森美術館のコレクション展なみに人が少ないため、
かなり落ち着いてみる事ができた。
印象に残ったのは古賀春江「月花」、竹内栖鳳「蹴合」、寺松国太郎
「天籟」などである。
「蹴合」はダイナミックな動きが、「天籟」は青木繁を思い出すような
神話っぽい画であった。
また、重松鶴之助の「閑々亭肖像」は小さいながら、描かれている人は
「一体この人誰?」と思わざるを得ないほどの存在感がある。
(ど素人の感想なので、ずれていたら笑ってくれたまえ)
ついでに見た常設展では、版画「新東京百景」が50枚以上あっただろうか。
風景、建築、橋梁、風俗と楽しめた。
続いて、大手町~竹橋へ移動して東京国立近代美術館工芸館へ。
「日本のアールヌーボー展」を見に行く。
工芸館に来るのは初めてだが、建物がなかなか立派である。
日本のアールヌーボーには過剰な装飾性は感じられず、どことなく
日本画の雰囲気が感じられ、同じ日本人としては良いバランスに思われた。
ここの入場券は近代美術館本館の常設展と共通なので、
ついでに最近見に来た常設展へ。
結果的にはかなり展示の入れ替えがあったため、来て良かった。
中でも、横山大観の「生々流転(の後ろ半分)」が展示されているのと、
岸田劉生ミニ特集で15点ほどの展示がされてるのは嬉しい。
「生々流転」は確かにこれは生々流転と表現するしかないような
流れ・濃淡・形が表現されている傑作。
また、岸田劉生の「道路と土手と塀」は子供の頃の眩暈のするような
暑い夏が思い出され、圧倒されてしまう。
本日の鑑賞は以上。
神田のホテルに向かう。値段だけで選んだら、客室にバスがなくて
ちょっと驚くが、地下の大浴場が空いていて快適だったため、ある意味正解
であった。
ひとっ風呂浴びてから、歩いて数分のStand Bar 「C」へ。
「C・・・・」の意はワインの樽の事らしい。
一応、立ち飲みやさんなのだが、椅子を進められてうっかり座って
しまった。まあ、既に10kMほど歩いているので、許されるか・・・
注文はレモンサワー、バラック・ド・ラ・ぺリエール・ボジョレー・ヌーボー、
クリームチーズとツナのカナッペ。
ボジョレーはバランスは良いが、やっぱり生々しすぎだよなあと言う味。
カナッペはチーズとツナを完全にペースト状にしてからパンに塗り、
上から小口ねぎ、オリーブオイル、コショウがかかっている。
なかなか旨い。
最後にもう一度、JLカンソン・ボジョレー・ヌーボーを注文。
同じ銘柄でヴィラージュものは切れているそうで、残念。
店員さんが一人客にも寂しくないように「今年のボジョレーの味はどうですか」
などと気を使ってくれるので、いい感じであった。
さて、N氏と待ち合わせをしている堀切菖蒲園へ。
普段の私は一人旅・一人飲み派なのだが、札幌で仕事をしたNさんに
お付き合いいただくことにしたのである。
日暮里からうっかり快速に乗ってしまい、青砥まで行ってから、あわてて
戻る。堀切の駅前は東京にもこんな所があるんですねえ、という感じの
普通の商店街。心落ち着く。
Nさんとさっそく「N」へ。
まず下町ハイボール、注文は良く分からないのでお任せしたところ、
レバ刺し、白タレ、レバ焼き、カシラ、タン焼き、モツ煮込み。
まずはレバ刺しから。にんにく醤油タレがかかっており、何の抵抗もなく
食べられる。実は私、普通にレバ刺しは食べるものの、ほんの少し
微妙な抵抗感があるのだ。
しかしこれはバクバク食べられる。やはり鮮度の違いか。
それから白タレ。いわゆるホルモンのタレをつけた焼き物だが、新しい
食べ物発見! というくらいインパクトがある。
表面はカリッとしかし中は柔らかく、歯ごたえ良し、味付け良し。
常にこれが食べられる人はうらやましい限りだ。
その他、焼き物はいずれも旨いのだが、またうらやましいのが
モツ煮込みである。
札幌では滅多に旨いモツ煮込み食べられないんだよなあ・・・
さてこの店「N」だが、雰囲気の良さも特筆すべきものがある。
店の大将は忙しく焼きをしつつ我々にも「これは一皿4本だから」とか
「2本づつでも大丈夫」とか優しく説明してくれる。
もう少し殺伐とした雰囲気が漂うのかと思っていたが、初めての
私でも落ち着ける雰囲気であった。
同時に、来ているお客さんも大抵1人か2人づれ。そのため、
各々楽しそうな雰囲気が漂っていながら、決して騒がしくは無い。
この感じも貴重なものである。
続いて、上野のジャズバー「G」へ。
グレンリベット、ワイルドターキーを舐めつつ、ライブの開始を待つ。
やがてピアノ・ドラム・ベースのトリオによるライブが始まった。
登場した時には明らかに飲んだくれにしか見えないドラマーの
オジサンはなかなかのテクニックである。
ピアノのお姉さん、ベースの兄さんも楽しそうに弾いている。
約1時間程度であろうか、楽しいライブであった。
そこそこの至近距離に座ったため、細かいドラムテクニックも見る
ことが出来て非常に興味深かった。
もつ焼き、ジャズバーと私一人では決して行かないであろう場所に
連れて行ってもらいました。
Nさん、ありがとう。