hiyamizu's blog

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上野千鶴子『最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく』を読む

2022年08月09日 | 読書2

 

上野千鶴子『最期まで在宅おひとりさまで機嫌よく』(2022年6月10日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社の内容紹介

女性学の第一人者であり、「おひとりさま」を貫く生き方のロールモデルとしても知られる社会学者・上野千鶴子。本書は、上野氏が過去10年間で「おひとりさまの生き方」について語り合った女性10人との対談を1冊にまとめたもの。各記事の後に、上野さんが当時を振り返って心境を綴った「うえのの目」を収録。終章では上野氏が人生100年時代を迎えた今の時代に叶える「在宅ひとり死」を徹底研究。これから人生後半を迎える女性たちに勇気を与えてくれる1冊です。

 

 

まえがき

ある調査によると、高齢になってからの生活満足度が一番高いのは、慣れ親しんだ家で、信頼のおける友人などとつきあいながら独居を続けている人でした。施設暮らしは味気ないし、管理されている感じがする。子ども家族と同居すると、何かと気を遣う。高齢夫婦二人暮らしの場合、夫は満足度が高いけれど、妻は低いという結果も。…

 

ある週刊誌で組まれた「妻・夫を喪った後に間違える人が続出…」という特集の「してはいけない」の項目を見て、思わず笑ってしまいました。

自宅を手放す/子どもと同居する/投資に手を出す/マンションに引っ越す/息子や娘に財産を渡す/再婚する/老人ホームに入る

 

対談相手は、澤地久枝/橋田壽賀子/下重暁子/桐島洋子/村崎芙蓉子/若竹千佐子/稲垣えみ子/香山リカ/柴田久美子/荻原博子。

 

第1章 人生100年時代、先輩方の覚悟

澤地久枝(1930年生)、橋田壽賀子(1925年)、下重暁子(1936年)はこれまで一人でやってきて、今後も国や他人の世話にはなりたくないという気持が強い。

桐島洋子(1937年)は、国や他人の世話になるより子供に世話になりたいと言う。

 

第2章 節目を超えて、さらに輝く

朝日新聞の論説委員を辞めて退社した稲垣えみ子さんは、電気を使わず冷蔵庫も持たず、毎日、玄米と野菜を食べ、東京の昭和密着型地域コミュニティーで禅僧のような生活をしている。

 

第3章 老後は怖い? 怖くない?

高齢で健康でなくなっても、介護保険により支援を受けて、日々機嫌よく生きていくことは可能になった。

「老後」は自分の親が死んだ時に始まる。死と自分の間にある衝立が親だ。

 

医療的行為が必要なくなったターミナル(終末期)に入ったら、平均1ヵ月、食べられなくなってから亡くなるまでは2週間ほど。今の保険制度では看護師と介護士は最大で4時間しか見守りできない。そこで「看取士」が必要になる。

 

終章 最後まで自宅での暮らしを全うする「在宅ひとり死」徹底研究

訪問医療・訪問看護・訪問介護の3点セットがあれば(NPO法人を調べ、委任しておく)、最後までおひとりさまで過ごすことは可能。自己負担は月10万円~15万円程度で、個室の特別養護老人ホームは月額15万円程度で同等。

合鍵を誰かに預けておくこと、第一発見者は119番や110番に電話しないことが必要。

 

あとがきに代えて

介護保険が改悪されようとしている。制度と権利は闘い続けなければ守れない。

 

 

本書は「婦人公論」「女性セブン」「女性自身」に掲載の対談に加筆修正したものに、各対談後の「うえのの目」、および終章を書き下ろしで追記したもの。

対談の初出は、2013年~2021年。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

10名との対談は興味深いが、世代の差や、対談年も違っていて、「在宅ひとり死」に対する考えも様々。

 

上野さんの在宅ひとり死可能の論拠は明快だが、誰もが、上野さんのように友人などのサポートが十分得られるとは限らないだろう。

普通の人が認知症の親を看取るまで自宅で面倒みるのは、私の経験から言っても、一般には困難ではないだろうか。
私自身は、引越しを繰り返し、自宅への未練もないし、地域へのつながりも強くないので、あっさりした病院での死を望む。

 

上野千鶴子の略歴と既読本リスト

 

コメント (2)
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