hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

東野圭吾『白鳥とコウモリ』を読む

2021年08月29日 | 読書2

東野圭吾著『白鳥とコウモリ』(2021年4月5日幻冬舎発行)を読んだ。

 

幻冬舎の特設サイトにはこうある。

二〇一七年十一月一日。
港区海岸に止められた車の中で腹を刺された男性の遺体が発見された。
被害者は白石健介。正義感が強くて評判のいい弁護士だった。
捜査の一環で、白石の生前、弁護士事務所に電話をかけてきた男、
倉木達郎を愛知県三河安城に訪ねる刑事、五代。
驚くべきことにその倉木がある日突然、自供をし始める――が。
二〇一七年東京、一九八四年愛知を繋ぐ〝告白〟が、
人々を新たな迷宮へと誘う——.

 

弁護士・白石健介が遺体が東京竹芝桟橋近くの車の後部座席で発見された。倉木達郎が容疑者となり、まもなく自分の犯行だと自供した。彼は、『「30年前に容疑者死亡で処理された殺人事件の犯人は自分で、自殺した容疑者は冤罪だった。 贖罪のため、自分の遺産をその家族へ相続する相談がしたい」と白石弁護士に話を持ち掛けた。 白石弁護士からは「自分が真犯人であることをその家族に告白すべきだ」と、家族に告げようとしたので、阻止するために殺害した。』と警察に語った。警察は倉木達郎を犯人と断定し、検察も起訴する方針を固めていた。

 

しかし、倉木容疑者の息子の倉木和真と被害者白石健介の娘の白石美令はこの自供内容に疑問を感じる、それぞれ 和真は弁護側に、美令は検察側に疑問点を指摘したが、双方とも聞く耳持たなかった


事件現場で偶然出会った二人・容疑者の息子と被害者の娘は、互いに協力して真相を突き止めようとする。そして、倉木の自供の矛盾点を次々と明らかにしていったが、殺人の罪を被る動機がはっきりしなかった。

事件の真相に納得していない被害者側遺族と加害者側家族が協力して情報交換しているのは普通じゃない。

「光と影、昼と夜、まるで白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぼうって話だ」(中町p391)

 

 

「東岡駅前金融業者殺害事件」:1984年5月15日、名鉄東岡崎駅近くの事務所で金融業を営む灰谷昭造51歳が刺殺された事件。3日後に福間44歳が逮捕され、留置場で自殺した。1999年5月に公訴時効。

 

白石健介:弁護士。55歳。アシスタントは長井節子。妻は綾子。娘は27歳で元CAの美令(みれい)。

倉本達郎:元自動車メーカーの子会社社員。66歳。安城市在。息子は和真(かずま)。

堀部:倉本の弁護士。佐久間梓は白石美令・綾子の被害者参加制度の弁護士。公判担当検察官は今橋。

浅羽洋子:小料理店「あすなら」経営。旧姓福間。娘・織恵の元夫は安西弘毅、二人の間の息子は中学生の友希

五代:警視庁捜査一課刑事。相棒は所轄の28歳の中町。上司は桜川係長。捜査を仕切るのは筒井。

 

 

本書は、「小説幻冬」(2017年2月号~2021年2月号)の7作品をもとに加筆し、長編としてまとめたもの。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

東野さんの作品は、出だしから一気に引き込まれてしまうものが多いのだが、この作品はしずかに始まり、徐々にやめられなくなる。522ページという大部のための作戦だろうか。

 

80ページで犯人が自供し、事件が解決してしまうのだ。残り400ぺージ以上、どうするの東野さん!と思う。当然、この自供は「ウソピー!」と私にも分かってしまうが、誰のために、なぜ罪をかぶるのかが分からないまま一気に突っ込んで読んでしまい、最後の方で犯人が二転三転するのを、昼間やることもないくせに、夜中2時を過ぎてしまい、ただただ眠たくボーッとした頭で読み続けるだけ。そして、最後の最後で、それって、東野さん!

 

 

東野圭吾の略歴と既読本リスト

 

「この世の女は全員名女優、というのは五代がこれまでの刑事経験から得た教訓だ。」(p48)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする