hiyamizu's blog

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映画「新聞記者」を見る

2019年07月24日 | 政治

 

官房長官記者会見で執拗に質問し(て質問拒否を勝ち取っ)た中日新聞記者・望月衣塑子の『新聞記者』(角川新書)を原案にしたジャーナリズムを描いた映画「新聞記者」を見た(特設リンク)。

 

東都新聞の記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)の父親は優秀な新聞記者だったが、政治スキャンダルに関する誤報を出して自殺した。母は韓国人で、アメリカで育った。彼女のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届き、真相を求めて調査をはじめる。

一方、外務省から内閣官房の内閣情報調査室(内調)に出向している杉原(松坂桃李)は、反政権的メディアへの批判・揶揄をTwitterに投稿したり、反政権的な人物の信用を失墜させるスキャンダをでっち上げるなどの仕事に葛藤していた。愛妻の出産が迫ったある日、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するが、数日後、神崎はビルの屋上から自殺した。

妨害の中、真実に迫る新聞記者と、闇におびえながら選択を迫られるエリート官僚が交差し、社会が大きく動き始める。

 

首相肝煎りの大学新設をめぐる不正、職務と良心の板挟みの官僚の自殺、首相に近いジャーナリストによるレイプ疑惑など、現実の政権疑惑も混じりあう、展開。

劇中のテレビ番組に、原案の新聞記者・望月衣塑子氏と前川喜平元文部科学事務次官が出演し、ますます虚実が混じりあう。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

安倍政権にうんざりし、首相登場のTVに向かって吠えてすぐチャンネルを変える人、予想通りとはいえ選挙結果に絶望している人(それは私です)の欲求不満をいっときだけ治めるには良い。しかし、「自民党、しょうがないんじゃない」と言う人の心には届かない内容。

この映画は、フィクションの名のもとに、虚実をない交ぜにしている。こんな方法では政権の消極的支持派の心に訴えることはできない。きわめて地味であっても、本来の新聞のように、事実に基づく報道によってのみ、多くの人の信頼を勝ち取ることができるのだと思う。

 

熱血記者と、保身と良心に悩む官僚の図は典型すぎて新鮮味がない。いかにも記者といった野暮っぽさのシム・ウンギョンは好演。しかし、原作者の望月衣塑子と似ていて、混乱する。

 

安倍嫌いの人には受けるだろう。この映画、興行収入は上がっているようだが、見ているのは圧倒的に年寄だろう。隣りの席の夫婦が「本当は若い人にみてもらいたいんだけどね」と話していた。松坂桃李と本田翼は出ているが、この内容では無理だろう。翼ちゃんなんか、ほんのちょい役だし(不満!)。

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