hiyamizu's blog

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辻村深月『傲慢と善良』を読む

2019年05月20日 | 読書2

 

辻村深月著『傲慢と善良』(2019年3月30日朝日新聞出版発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

婚約者が忽然と姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる―。作家生活15周年&朝日新聞出版10周年記念作品。圧倒的な“恋愛”小説。

 

坂庭真実(まみ)は、ストーカーが先に自宅に入っている、助けて!と西澤架(かける)に電話するところから始まる。その電話を契機として真実は架の部屋で一緒に住むことになり、迷っていた架はようやく真実にプロポーズする。そして2か月ほどたったある日、家に帰ったらそこには真実は居なかった。

架けるは必死に探し続け、義母の坂庭陽子、姉の岩間希実(のぞみ)、大学の親友・大原に連絡するが手がかりがつかめない。

 

架は父が始めたイギリスの地ビールを扱う会社を、父の急死で33歳で引き継いだ。それから6年、なんとか仕事も順調にいっていた。モテ男の架は、せかされての結婚に踏み切れずに、結局恋人三井亜優子(アユ)に去られてしまった架は、いまだに引きづっていた。アプリで婚活しても、これまでの恋愛のような楽しさが感じられず、就活のように感じてしまい、結婚に踏み切れないでいた。そんな中、出会ったのが真実だった。

 

女友達に「あの子と結婚したい気持ち、今、何パーセント?」と聞かれ、架は「――七十パーセントくらいかな」と答えた。

 

結婚相談所の小野里が言う。

「(婚活がうまくいかない人は)皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。」

「(相手に対してよく言う)ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です。」

「現代の日本は、目に見える身分差別はもうないですけれど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、“自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが、矛盾なく同じ人の中に存在してしまう、不思議な時代なのだと思います」

 

 

好書好日」の辻村さんへのインタビュー

 

 

初出:「週刊朝日」2017年3月3日号~2018年2月16日号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

414ページという大部なわりに内容が薄い。前半の架が真実を探す下りもトロイのだが、真実の姿を消したあとの話も長い割にあまり意味がない。週刊誌の連載で読むのは良いが、単行本でまとめて読むとダルイ。

ミステリとしても、ラブストーリーとしても中途半端。

 

アラサーの男性の結婚に迷う気持ちや、婚活で判断に苦渋する男女の気持ちはよく書けている。

 

八つ当たりぎみだが、真実(まみ)と、架(かける)という名前はどうかと思う。「真実」は「じんじつ」と読み間違えるし、「架」は読みにくい。

 

辻村深月(つじむら・みづき)の略歴と既読本リスト

 

 

コメント
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