hiyamizu's blog

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幸田真音『人工知能』を読む

2019年05月14日 | 読書2

 

幸田真音著『人工知能』(2019年3月4日PHP研究所発行)を読んだ。

 

本の宣伝文句は以下。

中学生の頃から悪さばかりしてきた、新谷凱。いつも行き当たりばったりの人生を送ってきた彼が、唯一興味を持てたもの―それは「人工知能」の世界だった。携帯電話会社でのアルバイトや電気機器メーカーでの企画開発などを経て、AIに携わる仕事に就いた凱。その企業で彼は、ある事件の捜査に協力することになる。その事件とは、自動運転技術が搭載された試験中の車が、人を轢いたというものだった…。人気経済小説家が描く、衝撃のサスペンス!

 

中学、高校と主人公の新谷凱(がい)は、賢也、浩史など悪ガキと遊びまくり、授業をさぼっていた。親に無理を言って私立の嘉永大学付属高校へ進んだ。凱は要領よく、複雑な機能をすぐマスターし、携帯電話の新規顧客開拓のアルバイトに精を出し、授業はさぼり勝ち。内申ゼロ点で継続大学へ推薦されず、ともかく入れる大学の理工学部情報科学科に学び、コンピューターや人工知能の授業に魅了された。

 

大学で、清楚で頭脳明晰だが口の悪い藤堂知花と知り合いになる。知花は政権与党の重鎮で大手企業創業者の直系子孫でもある藤堂彌之助の孫娘だった。凱は英語力不足を実感して1年間、カナダへ語学留学する。

 

大学を卒業し、老舗の電気機器メーカー「エッジ」に就職し、研究開発部門に配属。「しゃべる掃除機」を提案して開発プロジェクトを任され、同期の坂口と頑張っていた。しかし、会社は倒産状態となり、プロジェクトは中止され、地方の工場に飛ばされる凱は退社。

 

失意でなんのやる気もしない中、先端人工知能論の授業をしていた外池(とのいけ)客員教授が、3年前にベンチャー企業・ATMを立ち上げ、参加しないかと誘われた。

高度な技術を持つ繁崎、佐伯ゆかりなどのスタッフ、営業担当取締役の太田垣などが集まっていて、凱は喜んで参加する。

 

凱は得意のしぶとさであるプロジェクトを成功させた後、自動運転のプロジェクトに参加し、ここから本題が始まる。

試乗運転中の事故が引き続いて2社で起こる。2件とも被害者は担当の役人だった。凱は警察の特別チームに加わり、小杉などと自動運転ソフトの解析に加わる。

 

 

幸田真音(こうだ・まいん)
1951年生まれ。米国系銀行や証券会社で外国債券セールスなどを務める。
1995年『小説ヘッジファンド』で作家デビュー
2000年『曰本国債』(上下)がベストセラー
2014年『天祐なり、高橋是清・百年前の日本国債』で新田次郎文学賞受賞
その他、『日銀券』『代行返上』、『バイアウト』『マネー・ハッキング』『あなたの余命教えます』『CC : カーボンコピー』など

 

本書は、月刊『』の2016年1月号~2018年9月号『しぶといやつ』を改題、加筆・訂正した。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

467ページと大部の割には、スイスイ読めるのだが、内容が薄い。

 

前半は新谷凱がいかに悪ガキで気ままに好き勝手したかと、いざという時にはバカ力を発揮するしぶとさぶりが延々と描かれる。後半に繋がらない部分も多く、人口知能がメインならもっと簡単にして欲しかった。

 

後半は、人工知能を使った自動運転に伴うミステリー。しかし「人工知能」については、どこにでも書いてある程度の内容で、軽い。

題名は、人工知能よりも、新谷凱のしぶとさぶりをメインテーマとして全体をまとめ、雑誌連載時の題名「しぶといやつ」とした方が面白く読めるだろう。

 

 

自動運転には五つのレベルがある。

 

レベル0(通常の運転)

ドライバーだけが車をコントロールする。

 

レベル1(運転支援)

アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作の内、一つだけ自動運転システムが行う。例えば、自動ブレーキによる衝突回避、あるいは走行車線をはみ出さないようにハンドル自動制御。

 

レベル2(部分運転自動化)

アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作の内、複数を自動運転をシステムが行う。例えば、車線変更など。

 

レベル3(条件付運転自動化)

アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作をのすべてを自動運転システムが行う。緊急時にはシステムの要請でドライバーが対応。

 

レベル4(高度運転自動化)

高速道路や日常使用道路など限定領域で、すべてを自動運転システムが行い、ドライバーは操作に関与しない。

 

レベル5(完全自動化)(最終目標)

限定領域がなく、あらゆる場面で。ドライバー(?)は操作に関与しない。

 

コメント
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