ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

笹とマスと銀のシャリ

2011-05-10 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
池田「あぁ…」と昼間の事を思い出し「彼ね…」と目を泳がせた。
義経「あん?」
斯波「クッ」と笑って「あいつに手荒な挨拶してたなぁ。えぇ?」と面白そうに池田を見た。
池田「かわいい弟さんですね」とにっこり笑って、はぐらかしたから、
義経「その作り笑いッ!匠にもうつってんじゃねぇか!」と注意した。すると、
池田「違いますよ」と目を伏せ「俺が、うつったんです…」と淋しそうな顔で酒を開けた。
義経「え?」
斯波「しっかし、今度は、お前が、ただじゃ済まされねぇぞ」と池田の杯に酒を注いで、
池田「…斯波さん。ここの探題(守護代)だそうですね、土岐さんから聞きました。後始末の方…よろしくお願いします」と深く頭を下げた。
斯波「そう来るかぁ?」フキノトウの天ぷらを苦そうに「食えねぇ野郎」カリッとかじった。
後始末…という事は、検非違使の、池田の処分は…免れない。しかし、ここは、
義経「ふぅ…」と、杯を空けて「能子を…頼む」と池田に出した。
池田「了解しました」と俺の酒を注いだ。
その頃、酒田の料亭では、義隆のお誕生日パーティが開催されていた。
わぁ~!と大歓声、パチパチパチッ!と大喝采、みんなで「義隆5歳、おめでとう!」
義隆の前には木製の弁当箱“まぁるい”曲物(わっぱ)が並んでいた。蓋を開けると放射状に並んだ笹の葉に包まれた桜鱒がお目見えし、そっ…と、わっぱから押し寿司を取り出し、丁寧に、笹の葉を一枚ずつ広げると…桜色のマスの下に、銀シャリが光っていた。
忠「義隆ッ、入刀式だ!切り分けろっ!」
義隆「おう!」と真っ二つにぶった切り「やぁッ!」と8ピースに切り分けたが、
継「大きさバラッバラ」ひょいっと1ピース持ち上げ「切れ、悪ッ」ボロッと落ちた。
義隆「キッ」と睨んで「じゃ、やってみろよ!フッ」と包丁を突き出した。
継「ツネのガキん頃、そっくりだな」フッと濡れた布で包丁を拭いて、持とうとしたら、
与一「刀は…」包丁の柄を握り「立てに構え一息で突き、そっと優しく引き寄せる」
引き切り、という刀法をみせて、
義隆「わぁ…」きれいな切り口に「与一兄ちゃん、カッコイイ!」と目を輝かせた。
継「チッ」と与一から「俺の見せ場取んな!」と包丁を引ったって、8等分にした。
与一「すみません…つい」と茶目っ気たっぷりに笑った。
忠「女と刀は、力で落とさず、脇に寄せるって、な」と、能子をチラッと見た。


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