■2019年8月26日(月)~27日(火)
■ルート:
(26日)葛根田地熱発電所6:19~入渓点~お函8:30~葛根田大滝10:02~滝ノ又沢出合11:28(泊)
(27日)滝ノ又沢出合5:50~二俣(左俣へ)~奥の二俣(右俣へ)~15m滝7:33~8m滝8:21~大場谷地湿原9:04~八瀬森山荘9:11~関東森9:52~大深岳13:27~源太ヶ岳13:50~松川温泉15:20
■メンバー:単独
10日間の夏休みを利用して念願の葛根田川の遡行に行ってきた。
期待通りの美渓でこれまで自分が登った沢の中でも3本の指に入るほどの名渓だった。
【概要】
8月25日お昼に長野を出発し、北陸新幹線と東北新幹線を乗り継いで日の暮れる頃盛岡のビジネスホテルにチェックイン。
翌26日早朝、盛岡からJR田沢湖線で雫石に移動。沢靴を履いたまま電車でGO!
雫石で予約してたタクシーで葛根田地熱発電所に向かう。
道中タクシーの運転手から一人で大丈夫かね?と心配される。(料金は6,700円)
タクシー30分で葛根田地熱発電所に到着。随所から水蒸気が立ち上っており爽快な景観。
ここから葛根田川に沿った林道をしばし歩く。
途中から草ぼうぼうの林道歩きとなるが、トポのとおり道が大きく右に曲がるあたりから踏み跡を辿って入渓する。
沢はしばらくは平凡な河原歩きだが、ひざ下からひざ上の渡渉を繰り返しながら進んでいく。特に問題となる箇所はない。
通称ドクロ滝と呼ばれる明通沢の出合にかかる滝。おもしろい形をしている。
沢がゴルジュっぽくなるといよいよ葛根田川最大の見どころである「お函」が始まる。
白い岩盤をエメラルドグリーンの水流が洗う。
ガイドにあるとおり、左岸通しに歩いていけば特に困難な箇所はない。
ラバーソールの沢靴だがフリクションはよく効く。
このあたりが一番きれいだった場所
魚影はほとんど見られなかった。
葛根田大滝 2段15m 右側の明瞭な踏み跡を利用して高巻き。
腐ったスリングが下がっていたが危ないので使わずに登る。
高巻を終えて落ち口から下流を見る。
大滝を越えると魚影が走るようになったのでテンカラを振ってみる。
型は小ぶりだが、一つの淵で3匹が上がった。すべてリリース。
ほどなく目的地の滝ノ又沢との出合手前の左岸にあるビバーク適地に到着。
まだお昼前だがここでのんびり過ごすことにする。
ジャックダニエルをチビチビ飲みながら薪を集めてから滝ノ又沢でテンカラを振る。
今夜の肴分だけ確保してテンバに戻り宴会開始。
今回の装備は軽量化のため、ツエルト(又はタープ)+シュラフ+カバーにするか、テント+カバーにするか悩んだが後者を選択してみた。しかし、カバーだけでは明け方少々寒かった。
翌朝6時前に出発。すぐに二俣となり10m滝がかかる左俣を登る。
この滝を越えると渓相が一気に穏やかになる。
しばらくブナの森の中のゆるやかな流れをのんびりと歩くと小滝が連続するようになるが、どれも快適に乗り越えていける。
標高1050m、稜線まであと少しというところで突然大きな滝(15m)が現れる。
これがネットでよく見る「しょっぱい滝1」だ。
直登は無理なので滝の左側の草付帯を登っていくが、中間点でのぺっとした嫌らしい露岩帯に突き当たる。
重荷で登るには厳しいので空身で登り、灌木にロープをセットし、懸垂で戻ってからプルージックで登り返す。
単独なので「慎重の上にも慎重を重ねて」を心がけて行動する。
必要最小限で高巻を終えるとすぐに「しょっぱい滝2」が登場する。
8m滝。この北ノ又沢で登れる滝の中では一番難しいと言われる滝だ。
こちらも先ほどのシステムと同様、空身で登ってロープをフィックスしてからの登り返しだ。
まず右上するクラックを中間部まで登ってから上部の泥っぽい壁を登るのだが、足がずるずると決まらないので灌木をつかんでからゴボウで体を引き上げてクリア。重荷では厳しい登攀だ。
この滝を越えるといよいよ源頭の様相となり、水流の跡を拾いながら少しのヤブ漕ぎで大場谷地湿原に飛び出した。
後方の樹林帯から湿原に出たところ。
方向を見定めて草原を歩くとすぐに登山道に、そして森の中に佇む八瀬森山荘に着いた。
しっかりとした造りで中は清潔な小屋。
さて、松川温泉を目指して下山にかかる。といっても先は長い。
山荘から30分くらいで関東森。なぜか標柱はなく、標識のみが地面に置かれていた。熊に倒されたのかもしれない。
ここからの道がかなりのヤブで苦労する。一度倒木のある箇所で道を見失ってしまい、ぐるぐる歩き回って見つけた道を辿るとなんと関東森に戻ってしまうという失態をやってしまった。来た道を戻ってしまったのだ。
しっかりコンパスで方向を見ていればすぐに気付いただろうに、沢を抜けた安心感で気を抜いてしまったのが原因だ。
これで約50分くらいのタイムロスとなった。
「ボーっと歩いてんじゃね~よ!!」とチコちゃんに怒られた気分となり、以後しっかりと気を引き締めてヤブ道を歩く。
大深岳への途中、このような素敵な湿原帯が現れてヤブ道で疲れた心を癒してくれる。
三ツ石山方面との分岐にて。ここまで来ると道が良くなり、ヤブから解放される。
向こうに見えるのは岩手山。
来た道を振り返る。
八幡平は派手なピークはないが、たおやかな稜線がどこまでも続き、高層湿原帯が随所に点在する。
沢も倒木が少なく荒れていないし魚影が濃い。
森が豊かな証拠だろう。
自分好みの山域だ。
よやく着いた最後のピーク源太ヶ岳。ここから松川温泉に下る。3.8km
下山地にある松川温泉峡雲荘で温泉に浸かる。
登山口にこのような名湯があるのはうれしい。
東北の山ならではだろう。
ここからローカルバスで2時間かけて盛岡まで戻った。
そして盛岡駅前のぴょんぴょん舎で独り焼肉の打ち上げ。
締めはもちろん冷麺で。
お会計は7,500円。大満足です。