岐阜県環境影響評価審議会 議事録(その2)2013年12月24日)

2014-03-09 08:51:33 | 桜ヶ丘9条の会
議事録(その2)は、動植物、生態系についてです。

【会長】
それでは区分 C、動植物、生態系に移ります。

【委員】 意見の概要等で皆さんが心配されているのは、水環境、もう一つは生物の多様性に関わって東濃の特異な
貴重な小湿地の消滅の心配が挙げられているわけでありますけれども、この中で、瑞浪、土岐、私が知る限 り御嵩だとか大森だとかあのあたりの小湿地は、土岐砂礫層の中に形成されているのですけれども、その下 は花崗岩のはずです。意見書の見解の中に、文献調査によると水を浸透させにくい粘土質の層云々とありま すけれども、実は粘土層ではなく、岩盤の上にのっかっているのではないかという気がします。この点につ いては、特に砂礫層について、あとで地質の先生に補足をしていただきたいと思いますけれども、そうだと すると岩盤ですから、少しでも亀裂ができると水ははけてしまうという心配がでてきます。粘土層があれば それは保全されるわけですけれども、そのあたりどうとらえるか。粘土層があるからその心配はないと書い てありますけれども本当にきちっと保全されるのかどうかという心配があります。本当に、この辺の植物と いうのは、環境さえよければすごく回復するものが多い。土砂をとったあとの池の周りに、また新たな植物、 モウセンゴケだとか、ミミカキグサだとか、そんなものがどんどん入り込んでくるというように、そのくら い強いのですが、いったん陸地化すると駄目です。水がきれると、本当に弱いものです。ですから、その辺 をどう保全するかということです。
それから具体的な植物、代表的なものは書かれていますけれども、調査の範囲で、意見の概要の中でご指 摘もあったのですけれども、全部調べていないじゃないのか。例えば、小湿地も他にあるよと、それに対し て事業者は、保全の観点から出してありませんと書いてありますけれども、実はもうわかっているのです。 すでにどこにどれだけあるかについては、すでに調べられているのです。逆にそれが公になっていなければ、 知らなければ、逆に私がもっと心配しているのは、工事によって無くなったとしても、何もありませんでし たよ、で済んでしまう。これで終わってしまうわけです。そういうことはものすごくあるのです。今までも、過去の例で。そういうことをすごく今心配しています。それに伴って、もうひとつは、代表的なシデコブシ だとかハナノキだとかそういうものの名前が出ていますけれども、あるいは東濃の湿地特有の、クロミノニ シゴリとかミヤマウメモドキだとかそのような湿地性の植物群、そういうものもありますので、大事にして いけたら多様性は保たれるのではないかと思うのですけれども、そのあたりの問題が一つあると思います。
私の方からも意見を出させていただいたのですが、5km ぐらいごとに脱出用の非常口が作られるという ことを聞いていますけれども、その位置がまだ明確にはなっていません。これからそういうところが明確に なったらきちっと調査されて、しかるべきものが見つかったらそのための対策を立てられるだろうと思いま すが、そこまではいいわけです。その後です。私はこの前から何度も申しているのですが、そこには業者が 入って、先ほどもありましたとおり、土砂の運搬が行われる、それからそれに伴う工事等により、色々な意 味で周辺部が破壊されることが多いわけですけれども、それらは直接、JRさんが全うされるわけではない だろうと思います。下請けが行うかもしれないとなった時に、取り付け道路も含めてそのあたりの周辺部で、 本当に小さな湿地と貴重なものが意外と見過ごされて、破壊されていきやすいということが、そのあたりを どういうふうに指導されるのか。若干の回答をもらっていますけれども、そういう不定期に採用する業者を 集めてどういうふうに指導されていくのか、最小限そういうことをしてもらいたい。そういう部分で、実は、 破壊される自然の方が大きいわけです。その部分を考えていただきたいということを思います。また戻りま すけれども、例えば、シデコブシがどこにあるという情報は出すべきであると思います。さきほどの断層の 話ではないですけれども、出さなくて知りませんでしたというのは、やっぱりダメなのではないかと思いま す。情報をだして、しかるべき、差しさわりがある場合はこういう方法で、こういう対応をしましたという のを、きちっと言えるようなものでなければならないのではないかというふうに思います。保護するときに いつも論点になりますが、この情報を出したりなんかすると、すぐに無くなってしまうのではないかという 議論がいつもなされるわけですけれども、そうじゃなくて、知ることによってそれをどう保全していくのか ということを考えていく方が、私は大事なんじゃないかというふうに思っています。

【委員】 地下水についてはいろいろなことがでていて、湿地に関係するところは、地下水については先ほどお二人の委員からお話が出ましたので、そこで出なかったことについて申し上げます。資料4の3ページの真ん中 あたりに書いてあるのですが、地下水を利用した水資源で、地下水については予測の不確実性があるとあり ますが、調査が十分であれば、予測できますので、いろいろな研究されて準備書を書くようによろしくお願 いします。戻りまして、土岐砂礫層、要するに東濃の湿地をつくる土岐砂礫層と書いてありますが、粘土層 の上の礫層の湿地というものはありません。粘土層の上の礫層に何ができるかというと、そこには湿地はで きません。そこには基盤ができるだけです。ちょっとした水の流れであって、そこは湿地ではありません。 私が野外で見たのはほぼ 100%硬い岩盤の上にのる礫層、そこに湿地ができる。ほぼ、間違いないと思いま すが、そういうことを書いた文献はありませんので、あらゆる現地へ行って見ていただければ素人でも分か ります。礫層があって、その下は1mも掘らなくても岩盤が出ます。それは花崗岩と言われましたが、美濃 帯の堆積岩類でもそうですし、他の瑞浪層群だってそうです。瑞浪層群の泥岩でも砂岩でもなんでもいいの ですが、つまり硬い岩盤がある上に礫層の湿地は、ほぼすべてだと思いますので、是非、現地で確認してい ただいて、本当はしっかり押さえていただければ、それは地質に対する分布構造と、湿地ができる岩盤の標 高というのは一定です。自然の現象は現地で見ないとだめです。文献には、色々ありますけれども、現地を 見ないで書いたものがたくさんある。そういう文献を見て、こういう文献を見て書きましたではだめなので す。現地を見ないで書いたものでは、いくら立派な人が書いても実際とずれるのです。破砕帯なんていうも のも、現地へ行けば、ちょっと地質が分かれば、すぐにわかります。恵那山トンネルの多量の出水がありま す、あれは硬い花崗岩が阿寺断層の延長線上で、花崗岩が全く砂みたいな粘土になってしまって、それが 20 m~30mあるのですが、それもわかっているのですが、最初に調査をしなかったのであれだけの出水になっ ています。地下水については、湿地の湧水など、現地に行けばすぐにわかりますので、調査をよろしくお願 いします。

【事業者】 湿地の話ですが、準備書に必要な調査は行ってきております。ただ、専門の先生方からみればそこはもう少し書いた方がいいのではという意見もあるということで、今後検討してまいりたいという考えでおります。 準備書としては必要な文献は集まっていると考えますし、決して全く調査をしていないということではござ いませんので、専門の先生方からすると十分ではないというふうなご意見もあるかもしれません。これは他 の事業から考えて準備書としては十分な水準であるというふうに考えています。
それから、湿地の成り立ちということでございますけれども、この準備書資料編の環 12-1-13 ページをお 開きください。
こちらはこれまでも説明会等で、示した図ということで、湧水湿地の概要という図になりますが、その図 の出典は「里山の生態学」という本です。模式図ということで書いてあります。砂礫層と基盤岩盤、砂礫層 の中にも粘土質のものが入っているということから、決して基盤岩の上にそのまま湿地があるというわけで はなく、何らかの不透水層があるから湧水が出てきているということです。メカニズムを含めた資料収集、 現地調査等を行ったうえで当準備書での記述をしています。
それから、希少種に関しまして、公表したらどうかとそういったご意見もありますが、私どもとして、猛 禽類等を含め、動物・植物の希少種、地点情報を出してしまうと逆にその生態を脅かしてしまうので、そう いった観点から位置情報につきましては、今回は示していないということです。ただし、そういうものがな いと議論ができないというのであれば、それは非公開の場で議論するといったようなご配慮をいただいた上 で、検討するということはあろうかと思います。
非常口の位置ということで、5km毎というお話がありましたが、これは大都市部の方は5km毎に概ね 立坑というものを作って非常口を作ります。岐阜県内は、山岳部であり、決して5kmピッチというわけで はありません。どのような位置にあるのかというのは、5万分の1の図面に書いてあります。例えば、先ほ どご覧いいただいた準備書資料編の環 12-1-2 を見ていただくと、調査位置図ということで、非常口には丸印 が付いています。5万分の1で直径1cm の円で示しています。このあたりに非常口を作るということです。 この丸い円を含む範囲で動植物調査を行っています。改変していく範囲周辺というところではどういったも のがあるのか、そういったことの把握というものを行ったうえで今回の準備書は作成しています。ご理解を いただきますようお願いします。

【委員】 植物の先生からもお話が出ていますが、埋め立てというか、トンネルの残土についてですが、具体的な工事計画で場所等はっきりしていないようで、それがきまったらということで、アセスもこれについてはない というお話だったと思うのですが、とはいえ、現実に、この後、どんどん工事・建設等が進めば、それから 残土処理のことを検討するということでは、スケジュール的に非常に不備があって、最後の方、これだけの 土砂を処分するところが足りなくなってこないかというこういう心配があるのですが、もう少しこの段階で ある程度、残土についてもどのような時期に検討するかというスケジュールなどを是非示していただきたい なと思います。
それから、見解書の 110 ページのあたり、事業者の意見として書かれているのですが、今回、生物につい ては、かなり影響が低減されていることは確かだとは思います。しかし、先般、現地を見た車両基地につい ては、確認した時点でもオオタカが飛翔しているというようなことがあるのですが、65ha という非常に大 きな広い規模の車両基地が計画されています。その中でこの希少種の保全措置として、オオタカなどへの影 響については人工の代替巣等で保護していくというようなことが書かれているわけですが、人工の代替巣等 についてはちょっと疑問もあります。それはそれでいいと思いますが、ただ、人工の巣が直接、有効という のは、その人工の巣が、実際の営巣木を直接事業で撤去しないといけない場合とか移動しないといけないと かこんなようなときには、人工の巣を作って、それにやむを得ず移動させるという措置はそれなりの効果が あるのではと思います。今回のこの車両基地の 65ha、ここがこのオオタカにとって非常にいい環境ですの で、そのオオタカ等が営巣あるいは餌の採取場所として利用している場合、そこの 65ha が消失するという ことは、それに対してどのようなお考えを持たれているのか、代わりの巣を作ったとしても元の巣を利用し ていたオオタカが餌をとっているところが、これだけの規模で消失することに対して、どのようなお考えなのかもお聞かせいただきたいと思います。

【事業者】 発生土の処理場については、確定していただきたいということですが、現在、岐阜県を通じて各市町の方に照会をかけている状況であります。実際、具体的な場所が決まればもうちょっと深い話もさせていただけ るということですし、どのようなスケジュールでやっていくのかというのも示すことができると思うのです けれども、現在のところでは、そこまでは示すことができないという状況です。ご理解いただきたいと思い ます。
車両基地のあたりのオオタカというお話がありました。オオタカにつきましては、代替巣は保全措置とし ては行いません。オオタカに対する保全措置は、発生源対策ということで、なるべく低騒音にするとか、防 音シートを使用するとか、トンネルの入り口の防音扉、発破等の騒音を低減するための措置を行うことで、 我々としてできることをまずやりたいということです。オオタカの行動に関しては、具体的に概要について 調査を行っておりまして、どのあたりに巣があるとか、どのあたりが主要な行動域か、そういったような解 析は行って把握はしております。そのうえで何らかの影響を受ける可能性があるというふうに判断をしてい るものにつきましては、事後調査をしっかりと行うと考えております。

【委員】 生息場所が改変されるということの心配に対してのお答えをいただいたと思いますけれども、やはり工事をする時期により、とても影響が大きいのではないかなと思うのですが、車が走ったり、残渣を運んだり、 営巣しはじめる時期とか、その時期の範囲といいますか、そういうことも対策として見込んでおられないと 理解が得られないのではないかというふうには思います。実際にコンディショニングというのは、騒音をで きるだけ小さく工事をするということでしたけれども、おそらく騒音対策だけではなかなか難しいのではな いかというふうに思います。

【事業者】 そういったところはご意見にありましたように、状況に応じて対策をとっていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

【委員】 現段階でオオタカについての人工巣を設置する考えがないのであれば、この見解の中では代替巣を作ることもあるということで、対策としては目玉的な印象を取られがちだと思われるので、この辺の書き方とか出 し方をもう少し考えるとよいかなというふうに思います。

【事業者】 今回、私どもは、この調査で必要な、影響を受ける可能性がある猛禽類として、オオタカのほかにハチクマとサシバを入れております。こちらにつきましては、今申し上げたような人工の巣を設けて、そちらの方 に誘巣する対策というものを考えております。オオタカについては、今申し上げたような人工的な巣を作る ということは今のところ考えておりません。

【委員】 実際に気をつけながら工事を進めていく段階で、抽象的で答えにくい質問かもしれませんが、影響がなかったというふうに判断する根拠というかその辺は実際にはどうでしょうか。気をつけてやったから多分大丈 夫である、だから影響がなかったというふうに解釈するのか、それとも工事前と工事後、できた後で影響が あったかどうかという判断基準といいますか、事後に新たな対策を立てるということを考えるうえでの判断 基準について特に設ける気があるのかは、非常に問題となるところですが、もし何らかのアイディアとか参 考にされるような資料があるのであれば、教えてください。

【事業者】 具体的に国が定めた基準はありませんので、営巣地ごとに専門家の先生のご意見を反映していきながら進めていくことを考えています。事後調査につきましては、準備書の 8-4-1-111 ページのところに、動物につ いての事後調査の時期、場所、調査方法を示しています。ハチクマ等の猛禽類については、工事中及び工事 後の繁殖期に営巣地の周辺での生息状況について任意観測を行っていきます。実際どういった地点において、 結果を踏まえてどのように判断するのかということについては、私どもの調査結果と専門家の意見というも のをまとめて、示すことになると考えています。
【委員】 細かいところですが、事後調査の中でクマタカを外した理由というのは。

【事業者】 クマタカについては、私どもが改変する区域とは離れた区域に生息しているということで、影響を受ける
可能性はないというふうに判断しました。

【委員】 岐阜県での影響評価で行われたのでなんですが、多分、他県では入るところもあるのではないかというふうに想像するのですが、他県で調査されて岐阜の影響があるかというのは、岐阜の調査と抱き合わせで評価 をした方がどうせ県をまたいでいますので、そういう意味でここを埋めた方がいいのではないのかなという 考え方をご紹介したのですが。

【事業者】 鳥類、猛禽類を調査するなかで、クマタカがいた事例というのは当然存じ上げているのですけれども、距離が離れているということ、それから、彼らの生息環境は私どもが工事する場所から影響を受けない場所で あろうという判断をしたということです。例えば、長野県側から飛んでくるところを見たということはなか ったということです。ちなみに、数字で申し上げますと、私どもの工事範囲から3km以上離れている所と いうことですので、そこまでは影響はないであろうということで判断して今回は全く触れていません。