「企業倫理の欠如明白」 高浜原発仮処分の元裁判官が批判
2019/11/22
高浜原発が立地する福井県高浜町元助役から、関西電力役員や県幹部が多額の金品を受領していたことが発覚。二〇一五年四月に福井地裁で高浜原発の再稼働を認めない仮処分をした樋口英明元裁判官(67)は本紙の取材に「関電経営陣の倫理観の欠如は明白で、原発を動かす資格はない」と批判した。
明らかに原発工事費の還流で、関電の経営者には倫理性が欠如している。怒鳴られるからお金を返せないという理由も信じがたい。事実なら会社としての危機管理能力を疑う。裁判のときの関電のイメージと重なった。
危険な原発を動かす企業には、極めて高い倫理性や危機管理能力が備わっていなければならない。今回の問題で、高浜原発を止める必要性はさらに高まった。
今回でも見えたのは、原発を巡る政と財のずぶずぶの関係だ。根源は安倍政権が、原発の危険を顧みずに運転を続けるべきだと決断したからで、電力会社もそれに引っ張られている。健全な経営者であれば東日本大震災後、徐々にでも原発から手を引いていくはずだ。
(金品受領について)収賄罪も特別背任罪も要件が厳しい上に、お金を渡した方が亡くなっている。だが、これだけ訳がわからないことが起きて、多額の金が動いているのだから、捜査はすべきだ。
(聞き手・森耕一)