平荘町・上荘町をゆく(25) カンス塚古墳の金のイヤリング
話題を平荘湖にもどります。
平荘湖古墳群のほとんどの古墳は7世紀のものです。その中にあって、カンス塚古墳は5世紀後半にさかのぼる古いものです。
カンス塚古墳は、平荘湖の建設に伴い湖底に沈んだ全長30メートルの古墳です。
一部盗掘されていましたが、玉類などの装身具・刀剣・鉾・やじり・鎌・斧・砥石・須恵器、それに鉄鉗(かなはし)・槌などの鍛治具など多くの種類の出土品がありました。 なかでも一対の金のイヤリング(写真)は注目を集めました。
県下でも、加古川市の他に2例(姫路市と龍野市の古墳)があるだけで、全国でも、50ほどの出土例しか知られていません。
朝鮮半島から
金のイヤーリングは、朝鮮半島からもたらされたものです。この古墳の主と、その交易関係に興味がわいてきます。
それにしても、カンス塚の「カンス」とはどんな意味でしょう。前々から気になっていました。
この古墳から出土した鉄鉗(かなはし)に注目してください。この鉄鉗の形がカンス塚古墳の形(帆立貝式古墳:前方後円墳の前方部が短いもの)に似ており、つまり、カンスはカナハシが変化した単語であるというのです。
また、「カンスは鉄・銅で作った湯沸かし器や茶の湯で用いる茶釜をいう」と辞書にあります。ホタテの形に似ていなくもありません。
定説はありません。不思議な名前のままでよいのでは・・・
*写真:カンス塚古墳出土の金のイヤリング