平荘町・上荘町をゆく(24) 井ノ口(2) 井ノ口の賑わい
日光山常楽寺は、井ノ口(上荘町井ノ口)にある真言宗のお寺で、薬師如来を本尊としています。
寺伝では大化年間の創建とするが、平安時代後期の寺院と想像されます。
まもなく、ツツジに埋まる寺院です。
少し離れて下の方に加古川がゆったりと流れています。
常楽寺の建つ場所は、約35㍍で、加古川の流れはこの辺りでは15㍍ですから、約20メートルばかり川から高いところに常楽寺はあります。
そのため、この場所は洪水の影響は受けていません。
井ノ口の集落は、全体的に山が川に落ちこむ坂の上の集落です。
洪水の心配はないのですが、農業のための水がありません。川から水を引けないのです。水は高いところへ流れてくれません。
そのため、農業はため池や湧き水にたよることになります。
井ノ口は、農業にたよるだけでは、生活が成り立たない地域であったのでしょう。
地図を見ながら想像しています。
だとすると、生活の糧は何でしょうか。
井ノ口は、加古川と湯山街道が交わる位置にあります。
そのため、農業に商業を加味した生活が考えられます。井ノ口は純農村のたたずまいですが、古くは商業が重要な役割をはたしていたと考えられます。
井ノ口村には、商業的な賑わいがありました。
そんな経済力が常楽寺を支えたのでしょう。
鄙の村では、堂々とした寺を維持することはできません。
*写真:九重の層塔(鎌倉時代)、この外にも常楽寺には多くの石造物があります。