『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  75

2013-08-07 07:39:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスが闇の中に目を光らせて一同を見渡す、彼は隊長連に確かめた。
 『全員上陸、異常はないな。船への火付け役の準備はいいか、点検するのだ。各隊の編成を確かめるのだ。カイクス、1番船からの人員の割り振りをするのだ』
 彼は少し間を取った。その間に上陸した浜の状態を確認した。
 彼は、ソリタンから島の南端の浜の状態、遠浅の具合を詳しく聞き取っておいた。その状態に誤りはなかった。それに基づく上陸要領で上陸を果たした。
 浜の闇は、上陸を果たした者たちを包んで静寂を保っている。彼らが手首につけている白布が夜目に鮮やかであった。
 『隊長、点検終わりました。全てOKです』
 『判った。集まってくれ』 パリヌルスは向き直った。
 『諸君、いいか。全員を奴らに気づかれないように戦闘配置につかせるのだ、いいな、判ったな。奴らは、略奪、そのうえ、集落の者たち200人を殺害した者どもだ、問答無用だ。やっつけるのだ。いけっ!』
 『はいっ!』
 『おい、リナウス、誰か、松明を三本だ。持たせて一人俺につけてくれ』
 『判りました』
 白手首の兵士たちは、闇の中を目立たぬように移動していく、隊長連が手合図で彼らを配置につけて行った。闇の中とはいえ、夜目のきく者には感づかれる、その恐れを抱きながら、闇を味方にして、揚陸されている船影に身をひそめる、舫っている船影には、海に身を浸しながら寄せていく、彼らは、戦闘配置に散開して、今にも来るだろう攻撃開始の合図を待った。アレテスはパリヌルスの許へ『戦闘配置完了』の伝令を走らせた。
 パリヌルスは、偵察隊からの信号合図を待っている。伝令がアレテスからの伝言をパリヌルスに伝える、時は迫ってきていた。
 


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