『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  811

2016-06-27 04:57:08 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは船だまりに帰ってきた。
 『隊長、お帰りなさい』
 『おう、どうだ?ギアス。自分の提案をカタチにして、実際に使った気分についてたずねている』
 『全く冷や汗をかく思いです。もし、とりえもなく、役に立たなかったらと考えると背筋に寒さが走ります』
 『馬鹿を言ってはいけない。そこであきらめるやつには未来がないと思え!簡単なことだ、元に戻ればいいのだ、そこで足踏みをして、次の一歩を考えればいいのだ』
 ギアスは、パリヌルスの言葉を受け止めた。
 『おうおう、話をしている場合ではない!彼を待たせている。ギアス、彼から荷物を受け取ってくれ。そしてヘルメスに積んでくれ。おう、昼のパンに余裕があるか?』
 『はい、少々であれば大丈夫です』
 『そうか、よかった。二、三個でいい、彼に、ご苦労の言葉とともに渡してくれ』
 『判りました』
 ギアスは荷物を受け取り、ヘルメスの前部上甲板下の収納部へ受け取った荷物を収めた。
 パリヌルスがヘルメスに乗ってくる。
 『ギアス、キドニア沖の海の状況はどんなだ?』と言いながら、陽の光を射しおろしてくる空を見上げた。
 ギアスは沖を眺めて状況を告げる。
 『沖ゆく船を見た感じでは、風は西からの風です。朝方の風に比べて、少々、強めであると考えられます』
 『そうか、それはいい!即、船だまりを出る、いいな。方角は北西方向へだ。半刻くらい沖へ出る。そのあたりで方向転換して東へだ。展帆して帆走する。走行安定度の最終チエックをする。それで試走を終える。終わったら船だまりに帰って昼とする。昼を終えて、帰途につく』
 一拍の間をおいて話を継ぐ。
 『浜に帰ったら、ヘルメスに統領、軍団長、ドックスを乗せて、小島を一巡する。それで今日の業務を終了する。ギアス、以上だ』
 『解りました。隊長、先ほどの言葉ありがとうございました。では、沖へ出ます』
 『方向転換地点で操舵を代わる』
 『解りました』
 ギアスは、ヘルメスをキドニア沖へと出していく、パリヌルスは、試走条件として風、海浪のチエックをする、空を仰いで天候の変化にも気を配った。
 『おう、ギアス、これなら、充分に試すことができる』
 『そうですか、何よりです』


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