ギアスは艇上にいる、昇る太陽を見つめている。彼はうやうやしく両の手を高くかざす、そして、右手のこぶしを左胸に音をたてて打ちつけ、こうべを垂れる、何かを願う風景である。パリヌルスは、ギアスの姿の敬虔さに打たれるものを感じた。
『おう、ギアス、今のはなんだ?』
『はい、今日の航海が無事であることを願っています』
『ほう、そうか。祈ってではないのか、願いか。ポセイドンには礼を尽くさんのか?』
『ポセイドンには、出航してから手を差し伸べてくれるように頼むのです』
『そうか、それがギアスの艇長としての作法か。心が落ち着くか?』
『はい、瞬時の決断に手を貸してくれていると信じています』
朝の荷積みの時を待っている。
『おっ!オロンテスがが来た。荷積みだな、終ったら出航しよう。風の具合はどうだ?』
『凪が過ぎれば、いい風が来ると思っています。今日はいい西風が来ます。航海日和です』
『お前、うれしいことを言ってくれる。オキテスも来た。俺はちい~と打ち合わせてくる』
三人が顔を合わせる、今日の懸案事項を確認する。オロンテスが声をかける。
『おう、パリヌルス、木札だ』
『おうっ!では、行って来る』
『よろしく、頼む!』
『おう、心得ている』
パリヌルスがヘルメスに乗る、艇上を見まわす、売り場スタッフの顔も見える、ギアスにサインを送る。
櫂が泡だてる、ヘルメスは航跡を引いて浜を離れていく。ギアスが櫂舵を握っていた。
『隊長、指示があるようでしたら言ってください。展帆はまだしません。この頃合いだとキドニアまでの中間地点くらいまでこの状態で走行します。それを過ぎて、風を読んで展帆走行とします』
『解った。漕走時の横滑り具合を診ている。左右の漕ぎかたのバランスが極めていいからかな、横ブレが全くない』
ギアスが漕ぎかた一同に声をかける。
『ジグザグに操舵する。横ブレの試しをする』
『隊長、操舵を代わります』
『おうっ!』
パリヌルスが舵座につく、艇をジグザグに走行させる、考えていた横ブレが感じられない、艇の走行が安定していた。
櫂舵の効きを試す、的確な効きを感じる。横ブレ抑止桁の直進維持効果もうなずける、走行の安定性が確かに向上していた。櫂舵を大きくしたことの効果性にもうなずける効果が感じられた。
あれだけの造作でこの結果か、パリヌルスはうなずいた。
『おう、ギアス、今のはなんだ?』
『はい、今日の航海が無事であることを願っています』
『ほう、そうか。祈ってではないのか、願いか。ポセイドンには礼を尽くさんのか?』
『ポセイドンには、出航してから手を差し伸べてくれるように頼むのです』
『そうか、それがギアスの艇長としての作法か。心が落ち着くか?』
『はい、瞬時の決断に手を貸してくれていると信じています』
朝の荷積みの時を待っている。
『おっ!オロンテスがが来た。荷積みだな、終ったら出航しよう。風の具合はどうだ?』
『凪が過ぎれば、いい風が来ると思っています。今日はいい西風が来ます。航海日和です』
『お前、うれしいことを言ってくれる。オキテスも来た。俺はちい~と打ち合わせてくる』
三人が顔を合わせる、今日の懸案事項を確認する。オロンテスが声をかける。
『おう、パリヌルス、木札だ』
『おうっ!では、行って来る』
『よろしく、頼む!』
『おう、心得ている』
パリヌルスがヘルメスに乗る、艇上を見まわす、売り場スタッフの顔も見える、ギアスにサインを送る。
櫂が泡だてる、ヘルメスは航跡を引いて浜を離れていく。ギアスが櫂舵を握っていた。
『隊長、指示があるようでしたら言ってください。展帆はまだしません。この頃合いだとキドニアまでの中間地点くらいまでこの状態で走行します。それを過ぎて、風を読んで展帆走行とします』
『解った。漕走時の横滑り具合を診ている。左右の漕ぎかたのバランスが極めていいからかな、横ブレが全くない』
ギアスが漕ぎかた一同に声をかける。
『ジグザグに操舵する。横ブレの試しをする』
『隊長、操舵を代わります』
『おうっ!』
パリヌルスが舵座につく、艇をジグザグに走行させる、考えていた横ブレが感じられない、艇の走行が安定していた。
櫂舵の効きを試す、的確な効きを感じる。横ブレ抑止桁の直進維持効果もうなずける、走行の安定性が確かに向上していた。櫂舵を大きくしたことの効果性にもうなずける効果が感じられた。
あれだけの造作でこの結果か、パリヌルスはうなずいた。