『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1326

2018-07-16 07:38:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『お~、痛い!』
 アエネアスが両手を胸に当てて、痛みをこらえるポーズをする。
 『統領、痛みますか?こらえてください』
 『お~お』と、二人は笑みを交わす。
 『軍団長、なら、行こう!』
 アエネアスとイリオネスは、話し合いながら、建造の場の巡察に歩を進める。パリヌルス、オキテス、ドックスが同道する。
 アエネアスが四人に話しかける。
 『ここ二日ほど建造の場に足を運ばなかった。その間に大変な様変わりをしている。俺は驚いた!俺は少々手を加えての改造であろうとタカをくくっていた』
 アエネアスの言葉にドックスが応える。
 『そうですか。私らがこれから展開する事業の規模を考えて改造を発起した。そういうわけです』
 『そうか、俺の考えの度を越しての驚きである』
 アエネアスがそのように言って一同と顔を合わせる。
 ドックス、建造に携わる者らが持てる力を結集しての船舶建造工期日程1か月、4艇同時完成を目指しての船舶の建造である。
 それに対する建造の場の構築である、建設と言った方がふさわしいと考えられる。
 四基に及ぶ船舶建造の船台、建造部材製作の場、建造用材置き場、整然と積まれている建造用材。彼らは、大きく変革された建造の場をつぶさに見て廻る。
 アエネアスが一同と顔を合わせ言葉を継ぐ。
 『見て、目を見張る、新規構築と言っていい、まさに建設ではないか!ドックス、オキテスから事の始終を聞いた。ご苦労であった』
 『ありがとうございます』と、ドックスがアエネアスにこたえる。
 『いい船舶建造事業遂行の三位一体の考えに関しての俺の持論の一部門の建設をやってくれた。船舶建造の母体建設をやってくれた。ドックス、ありがとう。礼を言う』
 これを傍らで聞いているパリヌルスが手を打つ、それにつれてドックスを除く四人が拍手をする。照れるドックスが顔を赤らめる。
 イリオネスが声をかける。
 『ドックス、やったな!この建造母体なる設備があればこそ、いい船を世に送り出すことができる。ありがとう』
 イリオネスがアエネアスに体を向ける。
 『統領、明日に予定している建造開始式、胸を張って挙行します』
 『おう、いいだろう。盛大にやれ』
 イリオネスがパリヌルスとオキテスに話しかける。
 『おう、明日の会議だが、早朝からやる。朝行事を終えたら、そのまま、統領宿舎の前庭に集合してくれ。ドックスも呼んでおいてくれ。オロンテスには、今日の結果報告時に俺から伝える』
 『解りました』
 ドックスが小声でオキテスに伝える。


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