二人は、見つめ合う、見つめ合ったまま凍りついている、声を出せないでいる。
感情の極まるときがおとずれる、ためらっている問いかけの想いが堰をきる、アンドロマケがアエネアスに声をかける。
『あなた、どうしてここへ?』
アンドロマケがアエネアスに身を寄せてくる、手を伸べる、アエネアスの手に手をそえる、たずねる、目が潤む。
アエネアスがこみあげてくる感情をかろうじて抑えている、抑えきれない、アンドロマケに声をかける。
『俺がケルキラ島に着いたのは四日前だ。ケルキラ島の西岸、コリッシオイの浜に着き、その浜を仕切っている浜頭から、トロイの王妃なる者がこのプトロトウムにいるという風聞を耳にしているという。それではとということで急ぎここに来た』
『そう、そういうことなの』
アンドロマケがそのように言って空を見上げる、雲を通して薄い陽の光が見える、太陽の位置を見る、時を計る。
『この頃合いだと、もうじきじきに夫が帰ってきます。館のほうへ行きましょう。一行の皆さんも一緒にどうぞ』とアエネアスに声をかける。
アンドロマケは館に向けて歩みだす、促されるままに歩を運ぶアエネアスと一行。
1スタジオンくらい歩いて館に着く、一行を招じ入れる、応接の間に通す。
アンドロマケの挙措ふるまいに王妃としての風情が漂っている、なお、現在の生活の落ち着きを見せている。
召使に言いつけて、一行の者らに茶を供する。
アンドロマケが頭をかしげる、イリオネスに声をかける。
『イリオネスじゃないの、元気だったの?』
『はい、なんとか。アンドロマケ殿もつつがなく過ごしていられるかな?』
『イリオネス、トロイがあのようになって、つつがなくはないでしょう。それなりの事情を経て、今日を生きています』
『アエネアス、よく知っているあなたと私、呼び方に気を使わなくてごめんなさい。アエネアス殿と呼んでよろしいのかしら』
『俺の方こそ呼び方に気をつけなければいけないかもな。人前は別としてお前と俺だ呼び捨てでいい。アンドロマケ。それでいい』
『それでいいの、アエネアス。今、私が夫としている人もあなたが良く知っている人よ。もうそろそろ帰ってきます』
『俺が知っている?誰だろう?』
アンドロマケの言葉を聞いてアエネアスは、脳漿を搾って考えた。
感情の極まるときがおとずれる、ためらっている問いかけの想いが堰をきる、アンドロマケがアエネアスに声をかける。
『あなた、どうしてここへ?』
アンドロマケがアエネアスに身を寄せてくる、手を伸べる、アエネアスの手に手をそえる、たずねる、目が潤む。
アエネアスがこみあげてくる感情をかろうじて抑えている、抑えきれない、アンドロマケに声をかける。
『俺がケルキラ島に着いたのは四日前だ。ケルキラ島の西岸、コリッシオイの浜に着き、その浜を仕切っている浜頭から、トロイの王妃なる者がこのプトロトウムにいるという風聞を耳にしているという。それではとということで急ぎここに来た』
『そう、そういうことなの』
アンドロマケがそのように言って空を見上げる、雲を通して薄い陽の光が見える、太陽の位置を見る、時を計る。
『この頃合いだと、もうじきじきに夫が帰ってきます。館のほうへ行きましょう。一行の皆さんも一緒にどうぞ』とアエネアスに声をかける。
アンドロマケは館に向けて歩みだす、促されるままに歩を運ぶアエネアスと一行。
1スタジオンくらい歩いて館に着く、一行を招じ入れる、応接の間に通す。
アンドロマケの挙措ふるまいに王妃としての風情が漂っている、なお、現在の生活の落ち着きを見せている。
召使に言いつけて、一行の者らに茶を供する。
アンドロマケが頭をかしげる、イリオネスに声をかける。
『イリオネスじゃないの、元気だったの?』
『はい、なんとか。アンドロマケ殿もつつがなく過ごしていられるかな?』
『イリオネス、トロイがあのようになって、つつがなくはないでしょう。それなりの事情を経て、今日を生きています』
『アエネアス、よく知っているあなたと私、呼び方に気を使わなくてごめんなさい。アエネアス殿と呼んでよろしいのかしら』
『俺の方こそ呼び方に気をつけなければいけないかもな。人前は別としてお前と俺だ呼び捨てでいい。アンドロマケ。それでいい』
『それでいいの、アエネアス。今、私が夫としている人もあなたが良く知っている人よ。もうそろそろ帰ってきます』
『俺が知っている?誰だろう?』
アンドロマケの言葉を聞いてアエネアスは、脳漿を搾って考えた。
