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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  140

2019-10-14 16:56:07 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 建国の地の探索にともに旅立つ一同に向かって起つアエネアス、全員のまなざしがアエネアスに注がれている、その目に目線を合わせる。
 『おう、諸君!』と呼びかける、『おうっ!』と一同から声があがる。
 『建国の地の探索に旅立つ日が来た。我々は旅立つ!太陽が昇る、大日輪とともに広い海洋を西に向かう!全員で目指す建国の地に立とう!』
 一同を見廻す、目線が絡む、アエネアスが雄叫ぶ。
 『おうっ!』一同から『おうっ!』と返る。
 『おうっ!おうっ!』アエネアスが叫ぶ。
 『おうっ!おうっ!』一段と大声で雄叫ぶ、朝のしじまを震わす。
 イリオネスが大声をもって、この時とばかりに命令を下す。
 『一同!乗船!』
 『位置に就け!』
 『おうっ!』
 総員が船に向けて走る、海を走る、船に乗る、位置に就く、櫂座に就いた者らが櫂に手をかける、出航体制が整う、船長、副船長が体制を確かめる。
 アエネアスとイリオネスがハシケでくる、座乗する船に乗る。
 船上の者らが東の水平線に目を凝らす、陽の出が近い。
 軍団長のイリオネスが緊張を高めている。
 水平線を破った太陽の第一射が帆柱の先に届く。
 パリヌルスが声をあげる。
 『漕ぎかた!構え!』
 イリオネスの檄が飛ぶ、『出航!』
 パリヌルスの指示が飛ぶ、『漕ぎかたはじめ!』
 大日輪が壮途に就く彼らの背を押す。
 櫂が海面を泡だてる、凪いでいる海を船が割り始める。
 静かであった浜に突如、大喊声が轟く、喊声が船を押す、船上の者らが手を振る、浜の者らが手を振る、一行の壮途を送る。
 一番船が行く、二番船が続く、三番船が行く、最後に四番船が小船を曳いて行く。
 二本帆柱に改造された4隻の軍船が列をなして海上を往く、白く航跡を引いて遠ざかる、浜の一同が壮途に就いた軍船が小島を過ぎて船影が見えなくなるまで見送る。
 一番船上のパリヌルスがイリオネスに話しかける。
 『軍団長、この木板を見る限り、目指す方角は北西方向です』と言って方角時板の磁石鉄棒で方角を決める、進路を正確に定めて船を進める。
 追随する3船が一番船の航跡を追って進路を定めて航走した。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第8章  クレタ離脱  139

2019-10-14 06:58:15 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 閾下の意識がアエネアスを揺さぶり起こす。
 『おいっ!アエネアス、起きろ!旅立ちの刻だ、起きろ!起きるのだ、行け!』
 目を覚ます、真っ暗闇である、起きあがる。
 整えていた旅装を小脇に抱え持つ、寝ているアカてスを起こす。
 『アカテス、俺はいく!頃合いをみて父とユールスを連れて軍船の浜へ来てくれ。待っている』
 『判りました。朝行事をする余裕をみて浜へ行きます』
 アエネアスが浜に着く、天空を仰ぎ見る、星がきらめいている、海に目をやる、水平線方向に目を移す、水平線が見えない、抱え持つ旅装を砂上に置く、海に身を浸す、出航のことを考える。
 早番の兵卒が浜にかがり火を燃やす、大勢が姿を見せる、一斉に朝行事する。
 パリヌルス、オキテスの声がする、かがり火の先にイリオネスの姿が浮かぶ。
 水平線が目に見えてくる。薄明(航海薄明)がおとずれる、水平線と空の区切りがおぼろげに見える。
 浜の各所で朝の挨拶が交わされている、暗闇であった浜が明るんでくる。
 アレテスが一団を率いて姿を見せる、アレテスの後を継ぐジッタの姿も見える、彼らは大量の塩干魚を持ってきている。
 オロンテスがパン工房の者ら全員に焼きあげたパンを袋詰めにして持って浜に来ている、セレストスの声が飛ぶ、今日一日に食すパンを各船あてに配っていく、都合二日分のパンを四番船に荷積みする。
 イリオネスがアエネアスの許に来る。
 『統領、おはようございます。いい朝です。航海に最適となる日になります』
 『おう、おはよう、いい朝だ!急変さえしなければ、いい航海の一日となる』
 『荷積み業務がもう終わります。一同を集めます。父上、ユールス、アカテスの三人は、四番船に乗りました』
 『おう、世話かけたな、ありがとう』
 『統領の乗船は、二番船としています。私は一番船に乗り組みます』
 『俺が乗るのは、二番船だな。了解!』
 『これが決定した副船長役務担当です』
 副船長役務担当者の名前を書いた木板を手渡す。
 『全員を集合させます』
 『おう、やってくれ!』
 イリオネスが各船の荷役作業の完了を確認を終える、一同を集める、整列させる。アエネアスが隊列の前面に立つ、イリオネスが並んで立つ。
 ドックスが一団を引き連れてくる、隊列の背後に一同を囲んで立つ、ジッタとその連中も立ち並ぶ、リナウスの顔が見える、セレストスが荷積みの業務を終えて、一同に並んで立つ。
 イリオネスがアエネアスに報告する。
 『統領、建国の地の探索に旅立つ一行、373名揃いました。副船長役務担当の4名に下命します』
 イリオネスが隊列を整えている一同に身体を向ける、声をかける。
 『おう、諸君!おはよう、いい朝だ!空に一片の雲もない、いい日和となる、建国の地の探索の出航に際して君らに告げる。船長役を務めるのは、一番船がパリヌルス隊長、二番船がオキテス隊長、三番船がアレテス隊長、そして、四番船がオロンテス隊長である。次に副船長役を担当する4名は、一番船はギアス、二番船はゴッカス、三番船はカイクス、四番船はカジタス、以上である』
 空の星が眠りについていく。
 アエネアスが一同に向かって起った。