『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第７章 築砦 1322

　『おう、一同、集まってくれたな、君らに伝える。本日、建造部材製作の場の整備を以って、建造の場の整備が完了する。それから、今日だが９月より始まる船舶の建造用材が到着する。これを受け入れて、明日からの船舶の建造体制が整う。今日は部材製作の場㋨整備及び建造用材の受け入れ業務を行う。いいな』
　『おう！』『おう！』と班長らから返事が返る。
　ドックスが話を続ける。
　『部材製作の場における各部署の担当班には、現場にて作業要領を説明する。建造用材受け入れ担当班は、ここにて待機していてくれ』
　ドックスが班長らと顔を合わせる、目と目が合う。
　『部材製作の場には、４つの部署がある。１つの部署を５班が担当して対処する。第１班から第５班、班員を連れて一緒に行く。第６班から第１０班班員を引き連れて次の部署にて待機していてくれ。第１１班から第１５班は次の部署、第１６班から第２０班はその隣の部署にて待機だ。いいな、では行く』
　彼らは、一斉に行動を開始する。ドックスは現場に着いて、一同に作業要領を説明する。彼らは直ちに作業を開始する。
　ドックスは、部材製作の場の全部署の整備作業をスタートさせた。
　ドックスは、次の手配にと作業を追いかける。
　建造用材の受け入れ担当班を用材置き場の担当部署に配置して建造用材の到着を待たせる。
　担当班の配置を終えたドックスは、建造用材を納入に来るガリダの到着を待つオキテスのところに来る。
　彼は、太陽の位置を確かめて、頃合いを計る。
　『オキテス隊長、もう、そろそろ到着すると思います。街道に見張りの者を出しています』
　言葉をかけるドックス、間をおくことなく見張りをしていた者が駆けよって来る。
　『ドックス棟梁、到着です。馬にひかせた用材を積んだ車が８台、じきに到着します』
　『おう、そうか。ご苦労！』
　オキテスとドックスが街道から建造の場への入口に向かう。
　二人が街道を眺める。
　ガリダが先頭にたって、建造用材を積載した馬車列を先導している。
　先頭のガリダと指呼の距離である、オキテスとガリダの目が合う、オキテスが右手を高くさしあげる、ガリダが手をあげてこれにこたえる、二人の気持ちが通じ合う。
　またたく間にオキテスが待つ入口に着くガリダ。
　『おう、オキテス！』
　『おう、ガリダ！』
　二人は絶句して手を握り合う、馬車列は入口を入ったところで停まる。
　『おう、オキテス、船を造る用材をもってきたぞ！受け取ってくれ』
　『おう、ありがとう！一日千秋で待っていたぞ！』
　二人は、目を合わせる、湧きあがる情を抑えられない、二人はガキッと互いの肩を抱く。
　時が過ぎていく、ようやく、肩を抱いた手を離す、見つめ合う。
　オキテスがドックスに告げる。
　『ドックス、建造用材が到着した受け取りかたを頼む』
　ガリダの指示が飛ぶ。
　『おう、タブタ、建造用材の引き渡しをしてくれ』