『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1325

2018-07-13 07:57:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ガリダ一行の見送りを終えた二人、オキテスは、建造の場へ足を運ぶ、ドックスは建造部材製作の場と建造用材の置き場を見て廻る。
 部材製作の場では、その場その場における整備具合を見て、もの造りにふさわしいカタチに整えていくよう指示をする。
 用材置き場では、用材の置き具合をきびしく指示して整備を促していく。
 用件を終えたドックスは、パリヌルスの居場所へ歩をと運ぶ。
 『パリヌルス隊長、遅くなりました』
 『おう、待っていたぞ!作業のほうはうまくいっているかな、また、建造用材の荷受けの方は?』
 『はい、部材製作の場は、少々改善して整備を進めています。建造用材の荷受けは支障なく終えました』
 『用材の荷運びは、陸路か、海路か?』
 『はい、陸路、馬車仕立てです。それはご苦労だったな。重畳重畳!』
 パリヌルスが木板をドックスに見せる。
 『俺の方も設計作業が終わっている。これが設計構想の図であり、こちらが仕様書きだ。念査してもらいたいのが、そこに書き記した設計構想に関する数字だ』
 『解りました。ここにかかれた数字に関してよくよく考えます』
 『建造に関しては、ヘルメス艇を修正して実験試走をしたうえで、設計構想を確かなものにして建造に取り掛かる。これに5日間ぐらい費やそうと考えている。それでどうだ?』
 『その段取りと手順、納得しました。実験試走で数字が確かなものになる、その運びに賛成です。早速、数字を検討すると同時に段取りします』
 『完成した船台での作業のこともある。それに配慮して衝角構造体の寸法を決めてある。新々艇の構造が決まり次第、建造工程、日程等について配慮を考えることに留意してくれ』
 『解りました。今日の夕めしのあとに、二、三話し合えるように予定します』
 『そうしてくれるか、ありがたい』
 『では、これにて私は、作業の場に戻ります』
 『俺も建造の場に行く』
 二人は、建造の場へと歩を運ぶ。
 建造の場には、アエネアスとイリオネスが姿を見せている。アエネアス、イリオネス、オキテスの三人が建造の場の各場を見て廻っている。
 アエネアスがオキテスに声をかける。
 『おう、オキテス、建造の場が様変わりしたな。これこそ内外に誇りうる造船場といえる』
 『統領の目に、そのように写りますか?』
 『おう、そのように見える』
 『ドックスの構想による構築です。奴を誉めてやってください』
 『おう、イリオネス、俺らも少々意識と見識を変えねばならんな。旧態依然では救いようがかくなる』
 『統領も私もですが、生まれ変わらなければなりませんな』
 『おう、お前の指摘、心に突き刺さる。激痛だ!』
 アエネアスは、言葉を吐いて両の手を左胸にあてた。