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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1198

2018-01-10 08:26:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『テムノス浜頭殿、ありがとうございます。ところでイラクリオンからこのマリアに向かう時に乗っていただいた戦闘艇ですが、妥当と考えられる売り渡し価格は以下ほどが適当と考えられるでしょうか?クレタ島の船舶の価格相場に全く通じていない私らです。考えのほどを聴かせていただければ幸いです。売り渡し価格の設定に反映したいと考えています』
 エドモン浜頭がテムノス浜頭と目を合わせて口を開く。
 『そうですな、難しい質問ですな。船舶の価格相場から考えて、買いやすい価格であることが望ましい。原価計算をしてはいないが、2000ドラクマを超えない価格が望まれる。テムノス浜頭、考えを聞きたいのだが』
 『そうですな―ーー』
 テムノス浜頭が頭をかしげる、口を開く。
 『私の考えを言うと、ズバリ言って、1950ドラクマ以下であることが望ましい。1950ドラクマ以上であれば、それは2000ドラクマだな。買いたい客が妥当と考える価格より、少々でいいから安い価格が購入意思決定に結びつきやすい』
 エドモン浜頭がうなずいて口を開く。
 『そうだな。イリオネス殿、クレタ人は心持ちの優しい民族だ。物を買い求めるについて値切ったりはしない。そのような民族性だ。そのあたりをよ~く考えて値決めすることが肝心といえる。掛け値なし、値決めの良心が肝要と考えられる』
 『よく解りました。ありがとうございます。私らがクレタで営業活動を遂行していくうえでのことですが、クレタ島には五つの集散所があります。営業活動の重きをおいて活動すべき集散所は、どちらの集散所であるかと考えています。これについて、両浜頭の見解を聞かせていただければ幸いです』
 『それについての俺らの考えは、あなた方の居住地に最も近いところのキドニア集散所、そしてもう一つは、今回、船の引き合いをしたマリアの集散所だ。イラクリオンの集散所は忙しすぎて船舶の取り扱いが無理と考えられる。そこは私が話をつけて、マリアの集散所扱いとするようにする。また、ザクロス、フエストスの集散所には、船舶を取り扱う知恵者がいない。キドニアとマリアの集散所での取り扱いが最適である。いかがかな』
 『解りました。それから、船舶の修理改造の事業を考えていますが、どのようにすればいいか迷っている次第です』
 『その件は、船舶を建造に付随したものと考えて、事業とする必要がないと考えられる。それには、来る客を拒まず親切対応で充分と考えられる』
 『ありがとうございます。よく解りました。ちょっと休憩しましょうか』
 イリオネスが一同に声をかけた。