『隊長、船長たち全員集まりました』
『おっ、よし、行こう』
『皆、集まってくれたか。いま、我々の向かうクレタ島へは、島ひとつない海原を渡るわけだ。航海は、一日に及ぶ、朝早くミロス島をはなれ、クレタに着くのは日没後である。ただし、深夜になることはないと考えている。この海洋を渡るについて天候の如何んをクレタ出身のクリテスに聞いた。彼が言うのでは、この荒れた天気は、雨は止むが風は一晩中吹くそうだ。そのあと風の吹き返しがあるそうだ。明日の出航は無理と判断した。そのようなわけで明日は天気待ちの日とする、いいな。しかし、明後日は天気はよくなる、十中八九は信じてよい。明後日、空に星の輝く朝まだき、この浜を出航する、いいな。星をかついでの出航だ。船を押す風は期待できない、手漕ぎでの出航だ。その後も風に船を押す力を期待できないと考えている。出航したら真っ直ぐ南へと向かう。我々の航海を阻むものは何もない、我々は一路クレタへと向かう。以上だ』
パリヌルスの口調は、聞いている者たちの心をゆすぶった。彼らは強くうなづき答えた。
『質問はないな。では、身体を休めてくれ。明日は、明後日の航海に備えて、船の点検、整備に努めてくれ、わかったな。では解散する』
浜は短い秋の日の夜のとばりにつつまれていた。雨は小降りになってきている、風は陸に上げている船をゆすった。
『おっ、よし、行こう』
『皆、集まってくれたか。いま、我々の向かうクレタ島へは、島ひとつない海原を渡るわけだ。航海は、一日に及ぶ、朝早くミロス島をはなれ、クレタに着くのは日没後である。ただし、深夜になることはないと考えている。この海洋を渡るについて天候の如何んをクレタ出身のクリテスに聞いた。彼が言うのでは、この荒れた天気は、雨は止むが風は一晩中吹くそうだ。そのあと風の吹き返しがあるそうだ。明日の出航は無理と判断した。そのようなわけで明日は天気待ちの日とする、いいな。しかし、明後日は天気はよくなる、十中八九は信じてよい。明後日、空に星の輝く朝まだき、この浜を出航する、いいな。星をかついでの出航だ。船を押す風は期待できない、手漕ぎでの出航だ。その後も風に船を押す力を期待できないと考えている。出航したら真っ直ぐ南へと向かう。我々の航海を阻むものは何もない、我々は一路クレタへと向かう。以上だ』
パリヌルスの口調は、聞いている者たちの心をゆすぶった。彼らは強くうなづき答えた。
『質問はないな。では、身体を休めてくれ。明日は、明後日の航海に備えて、船の点検、整備に努めてくれ、わかったな。では解散する』
浜は短い秋の日の夜のとばりにつつまれていた。雨は小降りになってきている、風は陸に上げている船をゆすった。
