パリヌルスが点検整備している軍船は、彼がエドレミトの港にいるころに建造した軍船である。この時代としては、先端設計の船体であり、初期の竜骨構造であった。
第一船、第三船には、何等の不具合もなく点検整備を終えた。ところが第二船の帆柱の前部の竜骨部分に重大な不具合のあることを発見したのである。彼は思案した。第一船、第三船については、整備を終えたうえ、タールを塗り上げ洋上に浮かべて最終点検の段取りとした。
腹心の部下を呼び、要修理部分を見つめた。
『さて、この船だ。修理するのに手間がかかるぞ。即刻、やらねばならん。最善は無理としても限りなく最善に近い次善で修理を完了させねばならん。判ったか、いいな』
彼は決めた。
『残っている日は、今日、明日の二日のみだ。今日はもう半日が過ぎた。急いで取り掛かろう』
傍らにいる部下に告げた。部下は、修理要員を招集した。彼らは、信頼の手腕を持っている者たちであった。
彼らにとって、まさに焦慮の急であった。船体を浜に上げて修理手段を講じた。
パリヌルスは、次いで、船首の『衝角』を入念に点検した。『衝角』も傷んではいたが、重篤な傷みではなかった。
『あ~、あのときの衝撃の傷みか』
彼は、エノスに向かう洋上において展開した海戦の模様をしみじみと思い出した。
第一船、第三船には、何等の不具合もなく点検整備を終えた。ところが第二船の帆柱の前部の竜骨部分に重大な不具合のあることを発見したのである。彼は思案した。第一船、第三船については、整備を終えたうえ、タールを塗り上げ洋上に浮かべて最終点検の段取りとした。
腹心の部下を呼び、要修理部分を見つめた。
『さて、この船だ。修理するのに手間がかかるぞ。即刻、やらねばならん。最善は無理としても限りなく最善に近い次善で修理を完了させねばならん。判ったか、いいな』
彼は決めた。
『残っている日は、今日、明日の二日のみだ。今日はもう半日が過ぎた。急いで取り掛かろう』
傍らにいる部下に告げた。部下は、修理要員を招集した。彼らは、信頼の手腕を持っている者たちであった。
彼らにとって、まさに焦慮の急であった。船体を浜に上げて修理手段を講じた。
パリヌルスは、次いで、船首の『衝角』を入念に点検した。『衝角』も傷んではいたが、重篤な傷みではなかった。
『あ~、あのときの衝撃の傷みか』
彼は、エノスに向かう洋上において展開した海戦の模様をしみじみと思い出した。
